11月3日 ぶんかのひ
今年は長嶋茂雄氏が文化勲章を受章されるのだそうです。他にも加山雄三さんとか漫画家の大島弓子さんとか、ガンダムの生みの親さんらが文化功労者の栄誉に浴されるとのことです。なるほどね。
さて、最近というよりも以前からそうなのですが、不眠とか不安とかを訴えて来院される方がおられます。どちらも一筋縄ではいかない厄介な病です。一昔前の医者なら(ちょっと悪い意味で言ってます)、「あ、眠剤出しておきますね」で終わり。その結果、日本は眠剤処方大国になってしまいました。とはいえ、私もそんな処方をしていたクチなので、偉そうなことは言えません。「ベンゾ」とも称される眠剤の弊害が叫ばれるようになって久しく、いまでは医師のアプローチはこれと異なるものが望まれているわけです。不眠はやがて必ず眠りますので(理屈としては)まだましかもしれません。不安はもうすこし厄介な難敵です。不安は不眠を引き起こすこともありますし、抑うつを伴うこともあります。かく言うわたしも当然不安の中に生きています。個人病院を経営しておりますので、まずはあすの健康が常に不安ですね。個人の生活に不安のない方でも、子供たちが暮らす将来の世の中がどうなるのだろうという不安はあるでしょう。この世に不安のない人などいないといっても良いのではないでしょうか。みな、程度の軽重こそあれ、不安とともに、不安の中に生きているのです。現代社会で生きるには、不安とは同居していくほかありません。解決策は・・・ありません。むしろないからこそ不安なのでしょう。現代社会で生きるには・・と申し上げましたが、原始社会でも不安はたくさんあったはずです。むしろ今よりも不安が多かったかもしれません。明日の食いぶち、危険な動物や災害などから身を守るすべも今よりうんと希薄であったはずですから。でも、何となく今よりも天真爛漫に原始人たちは生きていたような気がするのは何とも不思議なものです。不安への対処に話を戻しましょう。不安と同居するほかないと述べました。まずはその認識を持つことができるかどうか・・・が初めの第一歩だと思います。不安のない世界を目指してもだめです。昔から不安のないという人のことを”能天気”と呼んできたのですから・・。解決策の一つはもしかすると、情報を遮断するということかもしれません。やや語弊があるのですが、生きていくうえで必要な知識とか知恵は大事です。しかし噂の話とか、他人の話とか、まあ分かりやすく言うとワイドショーネタですね。これらをまず遮断してみましょう。なるべく他人に余計な気を遣わずに、自分の思うことを行う。人の悪口を言わない。自分の発する言葉を整えて、行動を自制して、最後に気持ちが整ってくるのではないかと思います。言うは易いのですが、それが本当に難しいのですけれど・・・。そんなことを「常識のない喫茶店」という本を読みながら考えさせられました。では今日もみなさま、文化的な良い一日をお過ごしください!