3月30日 月曜日

子供達の人気者が亡くなられたようです。昔は土曜の夜八時といえば・・・でしたよね。で、そのあと刑事コロンボ見ておやすみ〜みたいな。入院される前にはご家族に愛犬の世話を託して出てこられたそうです。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

で、”えくも” が話題になっています。ECMOとは何でしょう。Extracorporeal membrane oxygenationという体外循環式膜型人工肺という医療工学機器ですね。肺炎に限らないのですが、呼吸機能が低下して、肺での酸素交換が悪くなり、低酸素血症となった際に血管にカテーテルを差し込んで、人工的に血液ポンプを回し、その回路内に静脈血の酸素化を行うという人工肺のことです。「エクモを回して・・・」などと簡単に言われていますが、それほど簡単な医療行為ではありません。人工肺を回す・・・酸素を吸うみたいに鼻にチューブをちょっと差し込んで・・とか想像されるかもしれませんが、違います。大腿部の太い血管にカテーテルを2本差し込みます。これには外科医が2−3人で取り掛かります。その上で1本のカテーテルから血液をポンプで体外に引き出してきて、大きな機械に繋いで酸素化を施したのち、もう1本のカテーテルで体内に血液を戻します。当然循環状態が変化しますので、集中治療担当医がつきっきりで血圧の管理などをしなくてはいけません。看護師もそう多くの患者を担当することはできません。機械の管理は臨床工学士が行います。延べ人数にして10人以上の医療従事者が一人の患者にかかりっきりとなるのですね。そんな患者さんが一つの病床に数人いるだけで現場の混乱は容易に想像できます。大学病院でも平常時にこのような膜型肺を稼働させるのは年間に10人もいないと思います。東京の病院ではもう集中治療担当医が声も上げられないくらい疲弊しているのではないかと想像します。何か協力できることがあれば良いのだけれど・・・ま、小生にできることはこの地域の人たちの平穏と安心を保証できるように精一杯頑張ってお仕事に励むことだけですね。