11月27日 日曜日

比較的良いお天気です。まだ冬型気圧配置には程遠いようですね。今日は年に幾度かのおべんきょうネタをご紹介しておきませう。感染症科の先生に教えていただいた論文 The Lancet infectious diseaseという雑誌に掲載されているものです。

Protection against symptomatic infection with delta (B.1.617.2) and omicron (B.1.1.529) BA.1 and BA.2 SARS-CoV-2 variants after previous infection and vaccination in adolescents in England, August, 2021–March, 2022: a national, observational, test-negative, case-control study

12歳から17歳の若い人たちが、ワクチンを打つことや、実際にコロナに感染することで、その後どのくらいオミクロン株に感染しにくくなるのかということを検討した研究結果です。コロナに感染してしまえば、ワクチンなど打たなくても免疫がつくから大丈夫だということを聞かれたことがあるかもしれません。果たしてそれはどのくらい真実なのでしょうか?確かにポリオや麻疹などのウイルスのように、一度感染すると一生その病原体に対する免疫が獲得できるもの(終生免疫)もあります。果たして新型コロナでそういう現象が起こっているのかという疑問です。もうすでに周りに2回目の罹患患者がおられることもあり、残念ながら終生免疫は新型コロナ感染症で生じることはなさそうです。さて、論文の内容を要約しますと、おおよそ以下の通りとなるようです。

①ワクチン接種をしていない若者が、過去に一度新型コロナに感染したことにより、新たにオミクロン株を発症することが避けられる確率(感染しない確率)は・・・30〜60%です。特に一度めの感染がオミクロン株であった場合には、比較的高い確率で、再度オミクロン感染が抑えられるとも言えます。

②一方で、過去に一度も感染したことがない若者が、ワクチンを3回接種することで、オミクロン株に再感染することを避けられる確率は63%でした。過去感染と同程度の抑制効果が見られます。

③最後に、過去に一度感染したことがある若者が、ワクチンを3回接種すると、オミクロン株の再感染を80−90%抑制することがわかりました。

すなわち・・・過去に感染していても、ワクチンを3回接種することでさらに上乗せ効果が期待できる(最大90%の抑制効果)。また、一度感染することでの未知の後遺症リスクなどを勘案すると、やはり3回の接種により罹患予防をすることのメリットが認められるということになりそうです。最後の部分はわたしの私見ですので、色々な解釈のし方があるのかもしれません。