5月22日 土曜日

梅雨の晴れ間の朝です。

今になって大慌てで各地の大規模接種センター設置の動きがあります。何度もこの場に書いていて、くどいようなのですが、今回ばかりは本当に私たち、遅かったですね。早晩この問題は起こるだろうと考えていたのですが、何も声を発信できなかったことも含めて、医療者としての反省をしています。当院も接種回数がようやく100回を超えましたが、これからも微力ながら、できる範囲で協力していこうと思います。さて、ここからが今日の本題なのですが、このワクチン接種業務ですが、接種後に二つのシステムに登録する作業があります。感染者の登録システムを合わせるとなんとこのコロナ禍で、4つものオンラインのプラットフォームが存在することになります。G-MIS, HER-SYS, V-SYS, VRS・・・なんとも複雑なものです。ワクチン接種後の作業に話を戻すと、二つのシステム入力作業を別のプラットフォームに行う必要があります。一つは接種者の情報入力作業と、もう一つは薬剤管理と総接種回数の入力です。少し前には、近隣医療機関の事務員の方達が集まり、その作業の講習会のようなものが開かれました。みなさん現在一生懸命その入力作業に取り組んでおられることと思います。実はその作業も思ったよりも機械の読み取りなどがスムースではなく、色々と改善点があるのですけど・・。私も一度訪問出張ワクチン接種の方達の登録作業をしたのです。12名の登録に30分以上もかかってしまいました。こういう作業って、ルーチンでやれということになっているので、何の疑問も抱かずに没頭してしまうのですが、少し考えると不思議に思います。どうしてそれぞれ別のシステムにログインして、別のタブレットとか端末で作業しないといけないのだろう?とか、一元化できなかったのかな?とか、こんな読み取りエラーが続出するのって、事前に誰も気づかなかったのかな?とか。そもそもこの作業は誰が何をするために強いられているのか、その意義を理解している人は意外と少ないのかもしれないなと思います。私たち(というか、少なくとも私)は、お上の決めたことは正しいだろう・・という性善説のデフォルトが頭に実装されているので、そういうことに疑念を持たずに、よく言えば素直にしたがう傾向にあります。いわばお上におまかせの考え方ですね。しかし今回のコロナ禍では、色々と考えさせられることがたくさんあり、そういった物事の考え方が少し変わってきたかなと感じています。もっと早くにそういうことに気づくべきで、おまかせの文化を変えていくほうが良かったのではないかとさえ思います。これは国と個人の関係ですが、身近なところでは、医師と患者の関係にも同じことが言えるのかもしれません。よく患者さんが「何の薬飲んでるのか知らんで。お医者さんが出してるから毎日飲んでるだけや」と言いながら、抗凝固薬とかを服用されているケースがあります。もとをただすとその服薬に至った理由がわからないという場合もあります。医療の世界での「おまかせしますの是非問題」は古くて新しい問題ですが、Mindsという日本医療機能評価機構のエビデンス普及活動の一旦で行われている講演会の動画が公開されているのでリンクを貼り付けておきましょうか。冒頭の基調講演の、東北大学の田代志門先生のお話です。とっつきやすくて面白いお話ですが、医療上の意思決定について考えるきっかけになるものかもしれません。それでは、土曜日です、みなさんお元気で良い週末をお過ごしください!

医療上の意思決定についての基調講演:Mindsフォーラム 2019『「おまかせ」しない医療に向けて:患者と医療者は何をシェアしていくべきか?』 田代志門(国立がん研究センター)