10月8日(だと思う) 水曜日

70歳代の男性が肺炎にかかり、基幹病院の先生方が見事入院治療で治して下さった。だが、悲しい事に男性の嚥下機能(のみこむちから)は急速に低下して、肺炎が治った頃には、まったく飲み食いができない状態になってしまった。病院は肺炎が治った段階で、次に控えている患者さんのために、治癒した患者さんには当然の事ながら退院をして頂かないといけないわけで、その後の栄養療法についてご家族に選択をせまることとなる。これまた当然の振る舞いである。しかし問題はそれからで・・・男性の介護の担い手は、ご高齢の奥さんであるのだ。栄養方法について、例えば鼻から管を入れる方法とか、胃ろうとか具体的に説明を受けられたのだが、自分では決められないと途方に暮れてクリニックにやって来られる事となる。無理もない、日頃から半分寝たきりのご主人に寄り添って、一生懸命介護なさっていた矢先にふって湧いたような災難である肺炎、そしてこれまた突然ご飯が口から摂れなくなったから今後どうするか考えて欲しいと言われたのである。我々は、常日頃からこのような栄養方法については熟知しているのであるが、一般の人々にとっては、話としては理解できるものの、何の事やら良くわからないというのが本音であろう。ましてやその決定が自分の一存にかかっていると言われても・・・。そして今日、その方の退院前カンファレンスが開かれるというので、色々な障壁はあったのだが、何はともあれ馳せ参じて来た。病院の先生の名誉のために断っておくが、このように各種医療関係者にお声をかけて頂いて、時間を割いて下さるのはまだまだ一般的ではなく、とっても有り難く参加させて頂いたというのが本当のところである。そこで決定すべき事は、とどのつまり胃ろうか、鼻から管か、その他か・・と言う事なのだが、これを決めるには、1時間あっても2時間あってもまったく足りないのである。やれやれ・・・ 勤務医をしていたころには、そんな事、想像のカタスミにもなかった事なのであるが、これが高齢化社会の現代医療の現実なのかな。改めて思い知らされる事となった。退院後の主治医として(勝手にそう小生が思っているだけかもしれないが)、思い切って提案をさせて頂いた。吉と出るのか否か・・・皆さん助けてね。

bunta

「俳優をやめた菅原です・・」だそうです。奇しくも、この間当ブログに書いていましたクウェンティンタランティーノと同じような趣旨の事を仰っていました。やっぱり映画はフィルムだっていうことのようです。