3月1日 水曜日

朝蛇口をひねって出てくる水があまり冷たくないことに少しだけ驚きました。水道水ってここまで外気温を反映するのでしたっけ? 50年以上生きてきているのにいまだにこの感覚ってなんなのだろう。毎年そこまでめちゃくちゃ冷たい水になっていなかっただけなのかも知れないけれど。さて、私の口唇に時々発生する厄介者のHSVの話題です。HSV:Herpes Simplex Virus(単純疱疹ウイルス)で1型と2型があります。最近テレビなどで予防接種のCMが流れているヘルペスとは違います。こちらは帯状疱疹というもので、水ぼうそうウイルスがその原因となっており、ワクチンもあります。さて、私の敵の方ですが、体が疲れている時などの隙をついて出てきます。かつてはほとんどの方が罹患しているとされていたのですが、最近の調査では抗体保有率はそれほど高くないとの報告もあります。ひどい時には年に数回お出ましになるので、なかなか厄介です。おそらくご経験されている方だと大いに同意していただけるのではないかと思います。時々小児の初発を診断することがありますが、再発と異なり、病変がやや拡大して発症する場合があります。口の周りに広い範囲で皮疹を認めたり、歯茎の腫脹を伴う歯肉炎タイプもあります。いずれはワクチンも開発されるのではないかと思っているのですが、まだ論文レベルでもそこまでインパクトのあるものはなさそうです。ただし抗ウイルス薬は存在しているので、治療は発症初期に対応すると比較的コントロール良好です。とはいえ、発症早期にすぐに医療機関にかかれるとは限らないので、実際にはなかなか難しいところもあります。現在定期的に再発する患者さんにはPIT (patient initiated therapy)といって、あらかじめ患者さんに処方しておき発症早期に患者さんが判断して服用を直ちに開始するという治療方法が保険治療の適応として認められています。他には(HSV2型の場合)抑制療法という1年間継続して抗ウイルス薬を服用し続けるやり方もあります。