12月11日 木曜日 あめ

つめたい雨・・ユーミンだ。雪の方がましか、いやいや車が走れなくなるしな・・。いろいろ寝床で考えながら、なかなかそこから抜け出せない季節。また週末は雪なのか?

往診先で上がりかまちの奥に高くつまれた段ボール箱。その脇をふと見ると、「進撃の巨人・・」近寄ってじっくり見るとそれはニンテンドーDSのゲームソフトのパッケージであった。おばあちゃんの内職なのだ。え〜っこんなところで作られてたのか〜、と思い尋ねてみると、「大したアレにもならんのだけど、知り合いからどうしてもやってくれって言われると断れなくてね〜」とのお返事であった。そうか・・そういうことだったのか。グローバル企業(?)も所詮行き着く先はおばあちゃん頼りなんだ。奥の居間ではおじいちゃんが、鼻に酸素チューブをつけながらコタツに足を突っ込んで横になっておられた。子供達よ!お父さんとお母さんに買ってもらったゲームソフト、粗末に扱ったらこのフクロウ様が許さねえぞ!!(こんな偉そうなことを言える義理ではないのだが・・・)でもって、窓の外では、♪♪この週末は衆議院議員総選挙です♪♪ っていう放送車が走っていたのであった。そうかと思えば、診察時間に来られたご高齢のご夫人・・・短期記憶障害、右上肢の筋力低下、意欲減退、不眠・・・などを訴えておられる。聞けば同じく体調思わしくないご主人との2人生活。「どうやってここ迄来たの?」「バスに乗ってきました」「バスなんか乗れるの?寒いし、待つの大変じゃない?」「まあ、まだ乗れますわ・・・」遠い目をしてこう仰っていた。御身内の方は他府県で生活されているそうで、その不安感と言ったら、お二人の心中を察するにあまりある。そういえば、前回の診察時にも同じような事をお聞きして、こちらから介護保険の申請をお勧めすべく申し出たのであった。カルテの裏表紙には主治医意見書依頼の茶封筒が突っ込んである。「これ、近日中に書いてあげるから、あとのやり方聞いているよね?」と問うと「はあ、よくわかりません。持って来たら終わりかと思ってましたけど・・・」あとは看護師さんから受付担当の事務員に申し送ってもらい、書類の提出と申請の方法を説明してもらう事とした。・・・などと書いてみたが、こんな事珍しい事でもなんでもないのだ。もうすぐ90歳を迎えんとする同様な境遇の方達が、軽乗用車を運転してこられると、眼科からの白内障診断の書類。「もう運転はしないで・・・」などと言いかけて、そんな事言っても無駄か、と考え直す。何か別の方法なり、アプローチをしなければと思い直すのである。こんなこと、珍しい事でもなんでもないのだ。御身内を責める事はできない、あたり前だ。人間、仕事をせねば暮らして行けぬ。ご高齢のお二人を置いて遠方で住まなければならない方々の思いも分かってあげなければいけない。かと言って、行政、地元のケアマネジャー、訪問看護その他医療機関などのマンパワーも限りがある。財政にも限りがある・・・。事は重大かつ、それこそ政治家の好きな言葉 ”待ったなし” である。そう、待ったなしとはこういう事に使う言葉ではないか・・。そもそも少子高齢化なんて今更分かった事のように皆は言うけれど、ずいぶん前から分かっていた事で、分かっていたけど本気で取り組んで来なかっただけの事だよね。衆議院選挙か・・・争点は経済?経済が良くなればすべてが回り出す?本当か。高騰する医療費って評論家は言うけれど、当たり前じゃん。ご高齢になるほど病気にはなりやすいし、その高齢者人口が増えているのだから・・・。医療費に使えるお金が限られているのなら・・大きな目線で、どこにどういう配分をするのか。何を保険適応にして、何を非適応にするのか。そういう分配の議論を聞きたいものだし、しなければいけないのではないか、と思う。でも、街頭演説をきいてもそんなもの分かりはしない。選挙ってほんとお祭りみたいなものだな。

でもっ!行くぞ、選挙・・ぜったいに。ついこの間迄は恥ずかしながら、他のイベントを優先させたり、二の次だったのだが。頭の中には意中の信頼できる候補者の名前・・など、ない。けど、鉛筆転がしでも、あみだくじでも、なんだっていいんだ。何か考えて一票入れたんだぜっていう事がとっても大事な事なの・・だと・・思う(たぶん)。