1月20日 月曜日

今年はどうやら暖冬のようです。climate crisisが叫ばれ、昨年はグレタさんが声をあげて注目をされたわけですが、なんとなく例年と異なる天気と感じられます。暖冬とはいうものの、やはりインフルエンザは流行しています。感染を回避する秘策は・・・やはり一番はワクチン(予防接種)でしょう。あとは、人混みをなるべく避けるとか、咳エチケットを守りましょうとか、少しでも感染の疑われる症状がある時には無理をせず休める環境作りをしましょうとか、地道ですけどそういうことになるのでしょう。診療所としても、シーズンに予防接種をさせて頂いた患者さんがインフルエンザに罹患してしまうと非常に申し訳ない気持ちがします。ワクチンによって感染を予防する確率はインフルエンザの場合には60%前後のようなデータとなります。”えっ?100%ではないの?”って思う方もいらっしゃると思います。麻しん風しんなどはもっとその確率は高くなると思いますが、残念ながらインフルエンザは年にもよりますが、そこまで高確率とは言えないのが現状でしょう。もちろん感染したとしても、その症状はワクチンをしていることによって軽減されることが多いですから全く無意味であったとは言えないと思います。今回さらにそれを支持する論文が出たようです・・・。

Influenza vaccine effectiveness against influenza-related mortality in Australian hospitalized patients: a propensity score analysis. Clinical Infectious diseases 2020.

オーストラリアでの臨床研究のようですが、2010年から2017年までに呼吸器系の症状で入院した患者を調べてみたところ、インフルエンザで入院した患者における疾患死亡率は、ワクチンを前もって受けておくことで31%減少しているようだとの結果です。

ワクチンを受けていたのにインフルエンザに罹ってしまったから、もう来年からやめようかなって思ってしまうのが人情というものかもしれませんが、こんなデータもあるんですよ〜ていうお返事になるのかもしれません。

予防接種というと、そろそろHPVワクチンのことも情報提供しないといけないかなと思っています。いわゆる子宮頸がん予防接種ですね。小生外科の出身ですので、かつて婦人科の先生から紹介を受ける患者さんで少なからず子宮頸癌の患者さんがおられたわけです。残念ながら治療が奏功せずに悪くなっている方がほとんどなのですけど、腹水が溜まったり、腸閉塞で辛い症状が出ていたりする方々でした。病気の性質上比較的若い方が多いのもこの疾患の特徴です。そんなことを知っていますので、それがワクチン一本で避けられるのなら・・・と思っているのです。未だに”積極的勧奨から外れている”予防接種ですので情報発信に少しためらってしまうのですが、なるべく早期に勧奨再開の判断となり、接種者が増えるようになることを望んでいます。