6月14日 日曜日

うっとおしいお天気が続いています。昨日から今日にかけてフランス・パリの共和国広場が人で埋め尽くされているというたくさんの画像を見ています。BLMの訴えがアメリカからヨーロッパにも飛び火したということでしょうか。平和的な抗議デモとして計画されたものが、投下される催涙弾などによってあたかも暴徒化したような趣に変化していったような印象です。コロナ感染症から人種差別デモ・・一体2020年はどのようなことに落ち着いていくのでしょうか。

さてさて・・・新たに最近知ることになりそうな概念ふたつのお話を少し。一つ目は「CIAMS」シャムズと呼ぶのでしょうか。病理医ヤンデル氏とこの概念の提唱者である国松先生の対談を視聴しました。CIAMS(Covid-19/Coronavirus-induced altered mental status)一言で言うとコロナ騒動に影響を受けて変わってしまった精神状態ということです。普段穏やかなはずの人がちょっとしたことで怒ったり、泣いてしまったりということ経験しませんか?まあ今は人との対話がしづらい状況ですからなかなかわかりにくいかもしれませんね。外来をしていると私はそういうことを結構な頻度で感じています。あるいは変わってしまったのかな?と推測せざるを得ないような初診患者さんもいます(初診なので変わる前を知らないわけです)。世の中がどんどんと変わっていく、テレビでは変わらないと死ぬ!みたいな伝え方をされる。医者がでてきてこれもダメ、あれもダメという。知らずと精神状態が不安定になっていくのですね。こんな変化のスピードについていくことができないだけならまだ良いのですが、過剰に適応しようとすることがより危険であると国松医師は言います。私は今振り返ると、医師とて同じではなかったかなと思います。先に述べたような患者さんが、拠り所として病院や診療所にやってくる。その時に、受付にでかでかと貼られた”有熱者は入室せずに待機を”みたいなポスターを目にするのです。まずはそこで軽く頭を殴られたような気持になるかもしれません。そして診察室に入ると、対話をしたかった医師が防護メガネにフェイスシールドで出てこられると、そこでもうこれは危急存亡の事態であると最後通告をうけるような気持になるのでしょうかね。だからと言って病院側も自院が感染症伝播の起点になっては困るので一定の感染対策が必要であることはもちろん言うまでもないのですけど。私自身が今回の緊急事態宣言下でいちばん心を砕いたのはまさにその境界線であったのかもしれないなとお二人の対談を聴いて感じました。感染症そのものは確かに恐れなければならないし、細かな対策をいくつも講じるべきだとは思ったのですが、それにより損なわれるかもしれないもの、口で言うのは困難なのですけど、そういったことを恐れて「完全な感染防御マン」になれないでいた(ま、かかったらかかったでしゃーないか・・と思っている自分)のではないかと思います。皆さんも自分の心の中で起きた変化を一度冷静に振り返られてはいかがでしょうか?こういった騒乱の時代には、自分の中に変わらないものを持つことができるということが大切なように思います。

あ、新たな概念の二つ目は・・ちょっと時間が無くなりましたので次回に!

それではお天気は悪いですけど、良い休日をお過ごしください。