賢明な方であれば今の状況が良くないのはすでにお気づきのことかと思います。未だに風邪と一緒という言葉が踊っていたり、スポーツニュースで沸いているメディアを見たりすると、今ひとつ切迫感が伝わらないのも無理がないかもしれません。東京や大阪で実際に病棟を診ている方達の声もよほど忙しいのか、状況が悪くなればなるほど呟くどころではなくなるのでしょう。確かに、部分的に数字だけ見ていると色々な論が立てられるかもしれません。重症の比率は・・・とか、高齢者はワクチンで守られているので・・・云々、確かにそれらは事実だと思いますが、現場を一眼見るとだから安心とは軽々には言えないと思います。他方で、若い人たちが感染の主体で・・・というと、彼らはなんとなく責められているような気がすると思います。実際には、ワクチン接種の優先度を高齢の方に譲ってくれている方達なわけです。感謝と慰めの声をかけてあげて然るべきで、ゆめゆめ  “勝手で軽率な彼らの行動が・・・”   などとは言ってはならないのではないでしょうか。

最後に一つ希望の持てるニュースで締めくくっておきましょうか。今回のワクチンの立役者である独ビオンテック社が、マラリアに対する新たなワクチンをmRNAの技術で開発中であるとのこと。この技術の素晴らしい点の一つは、抗体製造などに比べてはるかに早いスピードで進められることだと思われます。すでに指摘されているところですが、感染症予防の領域は今まさに時代の分岐点を観ているような気がします。後から称賛の目で振り返られるようになるであろう時を、私たちは今過ごしていると思っています。

それでは今日も皆さん良い1日をお過ごしください。