5月28日 木曜日

小中学校、高校も授業が始まっているようです。一時期(今も?)よく話題になっていた”9月入学制度導入”も慎重論が出ていると聞きます。9月入学制度の理由付けとしてよく聞くのは、諸外国に倣って・・ということが挙げられるでしょう。確かに海外に留学したり、逆に留学生を受け入れたりする際にはそのギャップが少なからず障壁として存在するのだと思います。よく考えると、私のたどってきた医学部教育制度、医師養成の制度も各国でかなり相違があります。例えばアメリカでは、医学部入学までには一般の四年制大学で、物理化学とか社会学心理学などの履修を終えて卒業(undergraduate)してから、医学部入学のための専門的な試験に合格して、メディカルスクールに入学し、そこで4年間を過ごさなければならないと聞きます。専門的な高度な学問を履修する前には、いわゆるリベラルアーツを学び、さらに医学部入学に際してはMCATという専門的な試験でよい成績を収めなくてはならないだけではなく、人間性や倫理観、ボランティア精神などの評価も推薦書や面接で検討評価されるということです。日本では、高校卒業と同時に医学部入学をして6年間を過ごします。最近では、より早く前倒して専門的教育がなされるために、一般教養課程は削られる傾向にあります。医学部教育を受ける年齢が18歳と22歳と聞くと、さほど違いがないと思われるかもしれませんが、その頃の4年間って自分に当てはめて考えると精神的な年齢として相当異なってるのではないかなと考えたりもします。いったん医学部を卒業して、国家試験に合格してから専門医となるまでの制度になると、さらに両国間では差異が大きくなってきます。もちろん私たちの国独自の良い点とか、他国の制度で見習うべき点とか様々あって、どちらが良くてどちらが良くないということではありませんが、教育システムというものはその国の方向性がかかっていると言っても過言ではないと思います。もちろん良い制度にはそれなりに経済的投資も必要となるでしょう。ある意味、教育と福祉にかける予算はその国の豊かさと比例しているのかもしれません。