3月29日 月曜日

テレビ各局の長寿帯番組がいくつか終わるとのことです。TBSのちちんぷいぷいは20年以上オンエアが続けられたプログラムですので、ご存知ない方はおられないのではないかと思います。私も水曜日の午後に往診が早く終わった時など、前川清さんのコーナーをみながら事務仕事をしていることがあったのでちょっと寂しい感じです。

さて、昨日は私の超優秀な仕事片付け能力(ちょっと端折ってやるだけですけど)が発揮されて、結構読書時間が確保できました。今日はちょっと朝の時間がありますので、書いてみましょうか・・・。昨日読んだ本は「推し燃ゆ」(宇佐美りん著)です。今年の芥川賞受賞作です。ずいぶん前に手に入れてはいたのですけど、2−30頁読んでは少しおいて・・・これは一気に読み通さないとあかんな、と思ってまた一から読む、みたいなことを繰り返していたのです。昨日読み通しました。名だたる作家や書評家が絶賛する理由の10分の1くらいは理解できたようにも思います。個人的には彼女の一作目である「かか」の方が好きかもしれません。まず文体は独特です。高橋源一郎さんをして天才と言わしめたのですからそれは当たり前かもしれないですけど。いわゆる推理小説とかと異なって、純文学というジャンルに色分けされるのでしょうけど、その場合何がどう良かったのかとか、どう味わったのかとかを表現するのは難しいです。でも集中がちょっと途切れた部分があると、少し前に戻ったりして何とか読み終えました。冴えない私生活を送るちょっとオタクな女子高校生が、幼い頃に出会い、その後自分の「推し」の存在になっていったというアイドルとの関わりを通して描かれた人生の物語です。人生の重さを抱えた自分にとって、空を飛ぶような軽やかさを身にまとった眩しい存在だったアイドルが炎上し、やがて表舞台から去っていく間に、彼女の心の中に現れる変化が描写されていきます。読後に色々な人の書評を読んだり聴いたりしました。そんな時外せないのは、先ほど触れた高橋源一郎さんと、書評家の豊崎由美さんです。それぞれの読み方を教えてもらって、読書って深いのだな〜と改めて感じました。高橋さんの著者とのトーク(飛ぶ教室というやつです)は、愛があって、大好きです。何度も聴き直しています。自分の中ではこの番組の神回と呼んでいます。ところで、本を読むときにいつも考えるのは、多読と精読問題です。たくさん読みたいものがあるので、どうしても多読傾向に走りがちですが、精読の大切さを今回は学んだような気がします。今回のように、読んだ後に色々と書評を調べてみたのも、これが初めてかもしれません。挙げさせてもらった二作品は共に単行本で100ページちょっとのものです。ご興味があればぜひ手にとってみてください!

最後に豊崎さんのインタビュー記事を見つけたのでリンクしておきます。ご自身の、特に駆け出しの頃から今に至るお話が色々と示唆に富んでいて、これから旅立つ若い方達の参考になれば・・・と思います。

好きなジャンルで食べていくには?書評家・ライター豊崎由美の半生から学ぶ