11月8日 水曜日
徐々に気温は下がってきているようですね。さて昨日興味深い論文を教えてもらいました。
Surgeon Sex and Long-Term Postoperative Outcomes Among Patients Undergoing Common Sugeries JAMA Surg. Published online August 30, 2023. doi:10.1001/jamasurg. 2023. 3744
「外科医の性別が一般的な外科手術後の結果に与える長期的な影響について」というタイトルです。私も以前に女性外科医と一緒に仕事をしていた時期がありますが、別段性別間の能力の差異を気にしたことはありませんでした。こういった論文が生まれる背景には、やはり女性についての負のジェンダーバイアスが人々の意識の中にあるのではないか?という問題意識が根底にあるからなのでしょう(残念ながらフルテキストで読んでいないのでBackgroundでの議論は分かりませんが)。結果はそれどころか、女性に手術を受けた患者群の方が、長期的な成績は上回っていて、術後合併症の割合も低かったということのようです。投稿に対するレターの批評を読むと、いくつかの論点は指摘されています。例えば、患者割り当ての際に、技量が考量されて担当医が決められていた可能性があるとか、時間経過による影響なども考えうるといった指摘です。つまり、やりやすい手術が技量に応じて担当医に割り振れていた可能性があったり、女性担当医は比較的年代が現在に近く、その間の医療全体のレベル向上の影響が入っている可能性があるのではということです。様々な論点が残されているとはいえ、なかなか興味深い結果を導いた論文であることは間違いないのではと思います。