8月3日 月曜日

事務仕事の合間に本を読んでいたのですが、昨日は「ブルシットジョブ」というなかなかに辛辣な単語を知りました。邦訳はクソどうでもいい仕事っていう意味です。「負債論」を著した、数年前のoccupy wall street運動の元アクティビストで社会人類学者でもあるデビッド・グレイバーが唱えたセオリーです。アマゾン書評欄から引用すると・・・ブルシットジョブの5類型:①取り巻きが誰かを偉そうに見せることで気分をよくさせるために存在する太鼓持ちの仕事 ②雇い主のために他人を脅したりするチンピラの役割の仕事 ③永遠に続く組織の欠陥を修正し続けるための仕事 ④書類穴埋め人、組織が実際にはやっていないことを、やっていると主張するために存在している仕事 ⑤他人に仕事を割り当てたり、管理するためだけに存在する仕事(中間管理職)

どうでしょうか?まだグレイバーの著書は読んだことがないのですが、なかなか面白そうな視点で書かれた著作であると思いました。そもそもはたらくことが美徳であると考えられだしたのも、そう昔の話ではないようです。ギリシャの都市国家では奴隷や最下層の人たちが苦役として労働させられていたので、その頃の上層階級の人々はお茶を飲みながら(?)政治や学問の話をしていただけなのですね。仕事は卑しいものとされていたわけです。時は経ち、ピューリタニズムの普及とともに、禁欲や勤勉が労働とともに宗教的規範となり、仕事は良いものであると位置付けられ始めたようです。考えてみると、この度のコロナで浮き彫りになった問題の一つに、かつて合理化やコスト削減といった美名の下に削られてきた、公衆衛生に関わるポストや病院統廃合の影響があると思います。こうしたことはもちろん財政的な問題が背景にあるのでしょうけれど、万が一に備えて無駄を確保しておくということの重要性にようやく私たちは気づいたということですね。まあ昔から気付いて警鐘を鳴らしていた人はいたようですが。今は感染患者の収容のために、空床確保とか、施設拡充とか、増員を自治体から要請された挙句に、無駄が山ほど発生して大赤字を計上せざるを得ない状況に陥っている有床病院の苦境があります。もともと大きな病院ほど、収支トントンに近い状況での経営でしたからほとんど内部留保もない状態であったわけです。数ヶ月続く億単位の赤字は、私立病院なら即破綻に結びつくような状況なのではないかと想像します。他方で、いくらキャンペーンを打ってみたところで、それほど大きく揺り戻しがきて活況になるとは思えない状況でもあります。航空産業や輸送業も大きな統合再編や業態転換が今後生じざるを得ないのではないかなと考えています。やっぱりコロナの影響は大きいですね。

 

毎回大切な情報提供は他のメディアに依存するという傾向の当コーナーですが、現在「SNS医療のかたち」という動画配信が4人の先生方によって定期的に配信されています。そのうちの一人のほむほむ先生からの情報発信を紹介しておきましょう。赤ちゃんの気道閉塞の処置についての啓蒙です。もちろん私たち医療従事者でも、そのような事故に遭遇したらかなり動揺するのですが、冷静にやらねばなりません。万が一に備えて・・・