1月25日 日曜日
週末にかけて、高熱と頭痛、関節痛の患者さんや、嘔吐下痢をともなう患者さんが明らかに増加しています。ひと昔前でしたら、ただ単純に「胃腸かぜですね」とか「流感ですな。家で水分と栄養をとって熱が下がるまで休養をとって下さい。」で終わっていたものでしょう。しかしながら医学の(?)発達とともに、その原因が特定され、さらには診察中に迅速キットで即座に原因ウイルスの特定までできるようになって来たわけです。一見すると、科学の進歩で大いに良いことですね・・となるのですが、現実はそれほど単純ではありません。患者さんによっては、とにかく原因が特定できないと安堵の気持ちが得られなくなってしまい、それが高ずるとインフルエンザキットで陽性が出たとたんに ”ああ良かった” なんて感想が出たりする事もあります。白黒はっきりさせることは非常に大事なのでありますけれど、検査そのものに100%の保証を求める事ができない事も冷静に考えておかなければなりません。実際には、熱が出た⇒検査をする⇒陽性だったらお薬を・・という流れだけでは解決できないグレーゾーンの症例の患者さんが半数くらいおられますので、個別の状況に応じて対応をしなくてはいけないと日々感じております。でもそれが難しい・・・
余談ですが・・多くの人たちが時間を切り刻んで、幼い子供さんを保育園に預けて働いたり、あるいはご高齢の方々が施設で集団生活をしながら成り立っている現実社会では色々な問題が生じているようです。多くの人が集う施設では、一旦集団感染騒動を生じてしまうと、保健所の監査、マスコミの取材、施設利用者への対応(感染予防策)、勤務者の健康状態の把握と欠員補充への対応など大変な事態となります。責任の所在を争う訴訟等も実際に起こっていると聞きます。なにせ相手は目に見えないウイルスですので、予防対策と言ってもどこまでいっても充分完璧ということはできません。情報化社会ですので、色々な情報が多くの人の耳に入るのは良いのでしょうけれど、危機感や恐怖を煽りすぎるようなことは好ましくないと考えます。エボラ出血熱などの一定の致死率をもつ感染症とはやはり分けて考えなければなりません。こういったことが乗じて、責任の押し付け合いという様相を呈してくると、施設側の萎縮に繋がり、結局しわ寄せは我々ひとりひとりに帰ってくるという事になるのですから・・・。