9月29日 日曜日
昨日今日はオンラインのお勉強会です。ノンスポンサーの有料回ですので、忌憚のない演者の本音講演を聞くことができます。こういうのはいいですね。お値段もさほど高くないので、よく利用しております。今回特に興味深かったのは・・・呼吸器内科関連、肺炎のガイドライン深読みと、意外に多いマダニ媒介感染症の話題でした。ガイドラインというのは、日本全国医療機関によって治療に大きな差異がないように、言い換えるとどこでも標準的な良い医療が受けられるようにという意図で各学会が作成しているものです。推奨される検査から、薬物療法までに影響が及びますので結構色々な思惑が入りやすいのかもしれません。その辺がほんのりと伝わってくる演者の先生のお話しっぷりが、なかなか趣があってよかったですね。リケッチアとか重症熱性血小板減少性症候群など、マダニ媒介感染症というのは当地域でも十分に考慮すべき疾患になっています。シカや猪などの野生動物などに付着するマダニに刺されることによる感染症になります。リケッチアは抗菌薬による治療が効くのですが、後者の方は有効な薬剤が現在のところ一つだけなので困ったことになりやすいです。診断の決め手になるのはなんと・・・マダニの刺し口なのですね。なので、疑ったときには身体中に刺し口を探さねばなりません。講演では血液中のPCRで検出されなかったのが、刺し口の生検ではじめて菌が同定されたというものでした。最後、タイトルにつながることとしては、10数年前に始まった小児の肺炎球菌ワクチンが高齢者の肺炎を少なくしているという統計結果です。インフルエンザとかコロナとかに比べると、肺炎球菌の実行再生産数は高くないためすぐには見えてこないのですが、小児の罹患数が少なくなることにより、高齢者の罹患する肺炎の発生率も少なくなっているというのが、この数年の統計データで明らかになっています。病気をもらわないためのワクチン・・という以外に、他者をまもることにもつながるのがワクチンなのですね。エドワード・ジェンナーさんはえらい!