4月22日 木曜日
色々ちょっと凹んでおりましたが、多種多様な方と(患者さんを含みます)お話ができて、ちょっと自分の気持ちというか心の中も落ち着いてきました(^^) やはりにんげんコミュニケーションが大事ですね。今は、水前寺清子さん並みに前向きになって365歩のマーチ状態となってしまっています!励ましてもらったり、背中を押してもらったり、あるいはまた、苦言を呈してくださるのもすべて自分にとって大切なことだと感じています。
さてと・・・関西圏の医療が大変なことになっているのではないかと思い出してはや数日・・・医療の崩壊、いのちのトリアージとかって言葉だけが見出しを踊っていますが、現実にどういう世界なのかちょっと解説してみましょうか。小生もかつては二次~三次救急の場に身を置いたことのある医師の端くれのさらにすみっこぐらしの人物ですのでね。日に日に増加する重症者数ですが、多くは酸素投与が必要です。リザーバーマスクと言われる高濃度の酸素投与を必要とする患者さんが増悪した時に次に進むステップは気管内挿管と人工呼吸器装着です。それでも低酸素が改善されない場合にはいよいよECMOという機械の出番になります。ここまでくるともうベッドの横にもう一つベッドと同じ大きさの体外循環回路をおいて、技師・看護師・医師が束になってかからないといけないレベルとなります。ECMOは大きな病院でもふつうは院内に1台あるか2台あるかというレベルではないでしょうか。一台使用しているところに残りの一台を必要とする患者が複数名発生したらどうするのか?医療サイドが命の選別をして機械使用の順序を決めねばならない状況がいわゆるトリアージの段階です。医師は未だかつてそのような選択を迫られたことはありません。常に患者さんの望む医療で、可能な技術があるのなら躊躇なく資源を投入してきているわけで、患者を切り捨てることになる選別作業など行ったことがないのです。1台しかない機械を2名の患者さんが必要としている場合には、その究極の選択を行わざるを得ないのです。そんな未曽有の状態が今そこに起こらんとしている状況のようです。
最後に、人工呼吸器を装着する時点で、患者さんには苦痛症状緩和のためにセデーションという鎮静処置が行われます。必然的に意識がなくなる(眠った)状態となります。次に目覚めるのは・・・うまく治療が奏功して薬が打ち切られる場合のみです。悪化してECMO、それでもダメな場合には、二度と・・・(以下省略します)。人工呼吸器をつける前には、ご家族と最後になるかもしれない会話をして頂くことになります。こんな悲しいことが隣の町では起こらんとしているのですね。どうかこの感染症パンデミックがはやく収束しますように・・・・。