3月23日 日曜日 快晴
週間天気予報にお日様の印が連なっています。老若男女問わずに時々診せていただくのが爪の病気です。爪周囲炎とか爪囲炎とか呼称されるこの病気ですが、ひどくなるととっても痛いのです。爪の周囲にはいろいろな細菌が常在しており、小さなキズやささくれから細菌感染が生じてしまうのです。特に指先の組織は小さなコンパートメント(小部屋)状の構造をしており、また先端で行き止まりの場所ですから、化膿すると膿みの逃げ場がなくなり果ては赤く腫れ上がった”ひょうそ”と呼ばれる状態になります。こうなると切開処置をしないと治らなくなります。多くの場合に陥入爪と呼ばれるいわゆる”まきづめ”が合併していますので、そういう時には爪の処置が必要になることもしばしばです。しっかりと麻酔を施してから爪の一部と、巻き込まれた不良肉芽(にくげ)と呼ばれる組織を切除することが必要です。当然のことながら患者さんによって、炎症の度合いは様々な段階で受診されますので、初期ならば抗生物質の内服のみで経過をみることもありますし、すこし圧迫排膿をして薬を出して終わりのこともあります。いずれにせよ指先の炎症は早めの受診が良いですね。昔は巻き爪の根治手術として爪母と呼ばれる根元の組織を完全につぶしてしまう手術もしていたのですが、今はもうほとんどすることはなくなりました。根治手術をしなくてもその後必ずしも再発するわけではないようです。
中くらいの炎症で来られたときに、どこまで処置をするか、お仕事や学校にもっとも差し支えない範囲で、効率的に治癒させることができるかを考え、ほどほどに処置を施すのがポイントですね。ほどほどが難しい・・・というのは何事にでも共通でして。数日後に、あんまり良くならないんですけど〜って再診させていただくこともあります。そのときは素直にすみませんって、方針を修正して治療して差し上げます。そうして良くならないときにでも、もう一度来ていただいた時には医師として非常に嬉しいものです。多くの場合は他の医療機関に行かれることが多いと思うのですが、信頼してもう一度治療を受けてみようと言って下さっているのですから・・・。必要最小限の薬剤と費用で治療するのが良い医師であると考えていますので、少し足りないかな?と思うこともありますし、処方し過ぎかな?と迷うことも、時にはあります。そんなときには患者さんに、いついつまでにこうなったら◯◯してくださいねということを伝えるようにしています。