5月12日 水曜日
昨日夜のニュースを見ていると、酸素飽和度70%でようやく入院指示・・・という内容の放送が流れていました。パルスオキシメーターという指先に洗濯バサミみたいなものを挟んで、動脈血中を流れる血液の中の酸素の濃さを見るものです。通常は99とか限りなく100%に近い結果が出ます。慢性の呼吸器疾患を持っておられる方ですと94%とかいう数値でも通常通りの生活を送っておられる方は珍しくありません。ところが一度90%を切るとなると、酸素吸入を考えるようなことと同時に、何か体内で大変なことが生じているのではないかと、私たちは外来で顔を青ざめることとなります。それが・・・70%というのですから、これはもうほとんど正気の沙汰ではないと思います。入院後即命を落としてもおかしいとは思わないレベルです。市内の救急対応の先生からの情報ですが、すでに重症者の療養先にホテルの一室があてがわれて、そこで酸素投与がなされているのは当たり前の状況のようです。少人数の医師がそこに張り付いているとはいえ、なんとも心細い限りです。そこで症状が悪化しても、バックアップの受け入れ先の保証がないという状況下でしょうから、担当医師の心中をお察しするにあまりある状態です。こんな状態ですから、救急搬入されたコロナ患者さんでも、そのまま救急室で動かせず・・・みたいなことも多数起きているようです。当然、他の疾患で搬送される患者さんも適切な医療がすぐに受けられずに、通常なら助かるはずの命が危険にさらされているのはいうまでもないでしょう。まさに未曾有の事態になっているのは、大阪兵庫などの都市だけではなさそうです。今はとにかく慎重な行動をして、コロナに限らず、病気や事故と無縁の生活を送ることができるように注意しましょう。オリンピックをどうするのかが国会でも議論されているようです。私は絶対に中止もしくは延期すべきであるとまで言うことはできませんが、決行するのならば、安易な楽観論の答弁をするのではなく、実態に即して国民の判断を仰ぎながら決めるべきであろうと思います。開催の時期に感染症が制御できているのかどうかなど、誰にもわからないのですから、それ相応のプランで対応する方が良いと思います。最悪、現在のような流行状況の場合に”行う”となると、選手や関係者が罹患することなども想定されますし、その体調不良に、ただでさえ逼迫している医療のリソースが奪われるわけですから、現場の士気は下がりますし、国民の中でも不公平感が渦巻いてしまうと思います。その可能性に目を背けて、いくら安全安心で国民の命を守る大会・・・と言われてもそれは違うかなと思います。ワクチン接種のことでも大混乱などと現在ニュースで報じられていますが、そんなことやる前からちょっと考えればわかっていたことです。2−3月のアンケートが昨日手元の保管書類から出てきました。眺めてみると・・・予約システムから大混乱して、現場の作業も通常診療に支障をきたす心配があるので、なんとか集団的な一元管理のシステムを考えることを模索して欲しい・・・と言う回答をしていました。なかなかの先見の明ですね、我ながら。でも・・それを皆に説得できなかったら何の意味もなかったよね、がんばれもっと・・俺。