12月7日 月曜日
週末の報道によると自治体によっては医療体制が逼迫しつつあるとのことです。だいたいこういう情報は現場の実感と乖離する傾向がありますので、すでに相当なプレッシャーが医療機関にはかかっていると思います。当然そこで働いている医師、看護師はもちろんのこと、ロジスティクス部門にも相当な疲労が蓄積しているでしょう。今後離職者も増えてくることが想像に難くありません。現在の状況は春頃と異なり、他の救急疾患も抑制傾向にはないようですので、感染症以外の救急医療体制にも影響を及ぼしていると思います。諸外国に誇る保険医療体制を敷いている私たちですが、ことコロナ感染症への対応については他の国と比べて遥かに少ない桁の患者数でクライシスを起こしているということに私たちは自覚的であるべきだと感じています。
さてさて、今日の本題はまたまたHPVワクチンのお話です。現在積極的勧奨を控えられている小学校6年から高校一年生までを対象とした子宮頸がんワクチンですが、この予防接種のターゲットはヒトパピローマウイルスという微生物ですので、これに感染する可能性のある男性にも接種している国は少なくありません。今回日本でも男性への適応が拡大されたというニュースです。もちろん適応拡大されれば即定期接種化とはなりませんが、このウイルスはさまざまな臓器の発癌に関係しているので、性別に関わらず効果が期待できるのです。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hpvv-gender-neutral-3
HPVの情報といえばバズフィードの岩永さんですね。当院でも1−2ヶ月前から数名の方に定期接種として注射しています。現在一定の年齢になる接種対象者には、ダイレクトメールで情報提供が郵送されているようです。ただそれについて電話で担当部署に問い合わせても、(想像通りですが)現状で積極的勧奨はされていないという情報が同時に伝えられるようです。厚労省の方針を元にするとこのような対応はやむを得ないものでしょうから現場の方に何も言うつもりはありません。しかし郵送を受け取った親御さんらからすると、勧められてるのか止められているのかよくわからない・・・という感想を持たれるのも仕方がないかなと思います。ちょうどアクセルとブレーキを同時に踏んでいると形容される、コロナウイルスに対する「GO TO」と「ステイホーム」の状況と同じですね。子供の発達段階で大きな負の影響をもたらす可能性があると言う「ダブルバインド状態」はグレゴリー・ベイトソンの提唱する概念ですが、背反する命令を同時に受けた時に生ずる人の心へのストレスは非常に大きいものがあると思います。ここはひとつ煉獄さんに強い言葉で私たちを導いてもらわないとダメなのかも・・・