7月11日 金曜日
台風一過。秋の台風シーズンとは違い、快晴とはいかないのであった。でも当地にそれほど影響をおよぼすことなくそれてくれたのはよかったよかった。参加しているメイリングリストで最近抗生剤に関する話題が上っている。抗生剤・・・青カビから生まれた世紀の発明・・・それはペニシリンである。今までに、われわれ人類が、どれほどの恩恵を被っているのか計り知れないものがある。でもでも、その使い方はと〜っても奥の深いものなのです。一口に抗生物質と言っても、現在には多種多様の性質・特製を持ったものがあるわけであり、その使い方はひとえに我々医師の裁量によるわけである。効果の強いものや弱いもの、いろんな微生物を殺すものや、一定の種類の微生物にしか効果を持たぬもの。その疾患や、宿主(患者さんの特性)に応じて使い分ける必要があるわけである。小生はこれをめっぽう苦手にしておりまして・・・ややこしい事この上ない。ひと昔前、研修医の頃に遡って、いわゆるオーベンと呼ばれる先輩医師の外来補助についていた頃の事を思い出すと・・・風邪の患者さんには、いわゆる「セ◯ゾ◯・ム◯ス◯・ロ◯ソ◯ン」という三種の神器的になされていた処方があった。翻って今、小生のカルテには、いずれの薬剤も風邪の患者さんのファーストチョイスには上がって来ないのである。風邪症候群に抗生物質は不要である・・というのは、すでに我々医療従事者の間では常識になりつつある。のであるが、なかなか世間的にはそう一筋縄ではいかぬわけでありまして・・。ここまで書いても、一般のみなさんには何の事やら合点がいかぬ事でしょうね。我々医師達は、ある一種類の細菌を・・・原爆で焼け野原にするのが良いのか、短銃で狙いを定めてパンパンうつのが良いのか(ちょっとこの表現は語弊があるか・・)という議論をああでもない、こうでもないと繰り返しているのであります。患者さんにしたら、自分の病気が治ったか治らなかったのか、2つにひとつ。その裏っかわで、医師達はその治療が、必要最小限で、必要最小コストで、必要最小リスクで治ったのか、あるいは結構な紆余曲折を経て、いろんなリスクをかいくぐって、運良く治ったのか・・・はたまた、はなっからそんな”治療”なんてなくても自然治癒したはずの病気なのか・・・・そんないろんなことと取っ組み合いながら日々過ごしているのであります。なんて切ない・・・ でも、ペニシリンが臨床で使われ出したのって、まだたかが5〜60年前の事なのですね。ビックリ!
生まれて始めて購入したレコードだったかな? YMOとスネークマンショー・・・教授、治療頑張ってね。