6月30日 木曜日
今日も雨がしとしと曇り空です。アメリカ女子サッカーのラピノー選手が記者会見で、来月末から始まる女子サッカーのワールドカップについて話しておられました。3日間の一次リーグでは日本もスペイン・コスタリカ・ザンビアを相手に2位に残ることができれば、次のステージに進むことができるそうです。応援ですね。さてさて、最近の診療で話題になった肝臓とアルコールと体重の問題について少し。つい先日も肝臓学会のステートメントが大胆なものであるとお伝えしたのはその通りなのですが。健康診断で赤字になりやすい項目の一つが肝機能です。その2大原因とされるのが前記の二つ、体重超過と過剰なアルコール摂取となります。そもそも肝臓って何をしている臓器なのでしょうか?消化管を通じて吸収されたり排泄された物質は、門脈という血液循環を経由して、まずは肝臓に直送されます。そこで栄養素を分解吸収したり、不要な物質を処理したりします。できてくるのはビリルビンという色素ですね。尿とか便に色がついているのはこのためです。身体の維持に必要なホルモンやビタミンなどがリサイクルされます。解毒という観点から言うと、飲酒を通じて体内に入ったアルコールは一晩かけて水と二酸化炭素にまで分解処理されます。途中で生成されるケトン体などは二日酔いの原因物質でもあります。酔っ払って眠っている間中、肝臓は一人黙々と化学工場をフル稼働させて体を元に戻そうとしてくれているわけですね。過剰に体内に入った糖分はグルコースからグリコーゲンの形で肝臓に蓄えられます。運動をしているときに必要なエネルギー源として、それらは肝臓から適時動員されて筋肉で使われます。このように・・・肝臓は24時間365日黙々と休みなく、下水処理・化学工場・輸送機関などとしてフル稼働してくれているのですね。ここに腫瘍が発生したりしてしまうと、私たち外科医が病巣を健康な肝臓ごと切除するのですが、なんとその後肝臓は切除前の体積近くまで自己を再生するのです。健康診断でAST(GOT), ALT(GPT), γGTPという項目に赤字警告が出ている方がおられるかもしれません。その場合は、どんなしんどい時でも、黙ってひたすら働き続けてくれている、自分が傷ついた時には自分で再生してまた頑張ろうとしてくれる健気な肝細胞がSOSを発しているのだということで、彼らを労ってあげて欲しいのです。以上、肝臓の原告代理人である私からの陳述を終わらせていただきます。