11月5日 木曜日
米国の選挙報道一色のような昨日今日です。さて、今日はタイムリーな注射の話題でも書いてみましょうか。インフルエンザワクチンの真っ只中かと思います。当院も今年は65歳未満の方については予約をお願いしております。事前の報道などで、接種希望の方が増えると予測し、薬剤の確保にも影響すると考えたためです。今のところ大きな混乱はなく推移しております。よく尋ねられるのですが、ワクチン接種の効果の持続期間とタイミングです。免疫反応を利用したものですから、個人間の差が当然ありますので一概には言えないです。一般的には接種後2週間から数ヶ月(3−5ヶ月)と言われていることが多いです。毎年12月及び1月頃に流行のピークが来ることが多いですので、今が接種タイミングであることは言うまでもないと思います。昨年は2−3月の流行はみられませんでしたから結果的にはそこまで効果がなくても大きな影響はなかったのだとも言えます。さて、注射は痛いですよね。特に子供さんに接種を受けさせると言う親御さんには頭痛の種かと思います。日頃から予防接種を担当する身として何かアドバイスができるのか考えてみました。まずは私が普段から子供さんへの注射に際して大事にしていることは・・・①事前になるべくきちんと痛いことをする理由を説明してあげること ②頑張ったら褒めてあげること ③なるべく痛くない方法を実施すること このくらいかと思います。①について、時々病院に来て診察室に入るまで注射のことを言わないで来られるケースがありますが、ほとんどの場合その雰囲気を察した時点でその作戦は破綻します。そしてその後は病院に行くたびに、子供さんが疑心暗鬼となり、注射ではない時でも全ての処置を嫌がられるようになることもあります。いくら小さいとは言え、やはりだまし討ちはよくないと思います。どうしてわざわざ痛い思いをしてまでその注射をしないといけないのか、きちんと説明してあげることはとても大切だと考えています。少なくとも3歳を過ぎると言わんとすることは頭では理解できていると思います。ただし理解できたからと言って、そうですか・・・じゃあどうぞ、とはならないのは致し方ないかと思います。しかしこちらの思いは伝わっているし、その後に活きて来ると思います。②については、もしも注射の時に大泣きしたとしても、何か一つ褒めてあげられる点を見出してそれについて言葉にしてあげると良いと思います。褒められると誰しも嬉しいですし、ささやかではあっても成功体験となるのです。③についてはほとんどこちらの配慮の問題ですのでちょっと企業秘密(!)ではあるのですが、一つだけ開陳しますと、色々とそのことから気を逸らしてあげることが大事かもしれません。それには話しかけも大事ですし、子供さんの腕に触れる際のやり方にも工夫があります。科学的な立場から申しますと、注射の際に「ショ糖」を口に入れておくと痛みが和らぐと言う論文もあります。甘いものを食べておくと良いということですね。まあいずれにしても、何も説明せずに病院へ行って、診察室に入れば看護師さんに羽交い締めにされて医師に痛いことをされ、泣いて抵抗すると、終わったらご褒美にスーパーでお菓子を買ってあげて一件落着・・・みたくするよりは、事前にじっくりと説明しておき(どうしてそれが必要なのか、一度頑張っておくことで、病気になってなんども痛い目をしなくて良いことなど)、診察室ではなるべく声かけをしながら、終わったらモノでご褒美だけではなく、よく頑張ったねと十分に褒めてあげることで、痛くて思い出したくもない、ただただ悪夢のような体験を、ちょっとしたほろ苦い成功体験に変えてあげることができるかもしれません!