11月19日 金曜日
昨日は診療後にまたまたオンライン会議を視聴しました。この度のパンデミックを振り返って、今後の感染症対策のあり方に関するシンポジウムです。今までのデータを解析した先生方の報告を基礎にして、問題点の抽出と今後の課題が討議されていました。科学者としての提言を、政策決定の過程で折に触れて担当してこられた先生の発言が印象的でした。本来科学者からの提言は、純粋に客観的データに基づいて、忖度なくありのままを述べるべきものであるはずだが、我が国では往々にしてそこがブレてしまうのだということです。忖度・根回し・落とし所・・・みたいな形容がなされるのでしょうけれど、本来科学的な見地から議論をする際にはそんなことを交えるべきではないということなのでしょう。政策決定者はそれを受けて、国としての方針を決めるのですが、その前段階での実態把握に忖度など入れるべきではないというのは、本当にその通りだと感じました。コロナ禍では、全てがごっちゃになって行ったなと思います。科学者の発信される内容、政治家から発出される政策、経済界からの提言、マスコミや識者と呼ばれる方達の意見などなど、科学データと政治、イデオロギー、好き嫌い・・・SNSやメディア、TVでそれらの区別なく、一般の人々も研究者も医療者も本当に無用なバトルが繰り広げられていました。議論は最終的にACP(人生会議と呼ばれているものですね)とか、科学教育のあり方にまで発展していました。日頃は偉そうなことばかり言っておられるだけの先生方かと思いきや、柔軟な思考を巡らせて、本当に建設的な意見を述べられていたのがとても印象的でした。医療が逼迫した段階で、一般医療にも食い込んでくるかもしれないしわ寄せにまで実態把握と対策を考えて下さっていることがひしひしと伝わってきました。さすがです・・・。最後にはノーベル賞受賞の先生もご登壇されておりました。日本学術会議と政権のやりとりなどにも触れて、学問の中立性を保つことがいかに大事なのかということを訴えられていたのは、完全に同意するところでもあります。
さて、週末の1日、みなさん穏やかにお過ごしください。