10月7日 月曜日 晴れ
夏に舞い戻ったような日差しです。月曜日の祝日が多いので、月曜日に伺っている訪問診療の患者さんへは毎週変更となりこの時期は不規則な日程となっております。往診途中の車内でラジオを聞くことがありますが、経済情報のコーナーはとりわけ興味があるので聞き入っています。今週は米国メリーランド州のボルチモアの話題でした。ご存知のようにかつて世界の工場と言われたアメリカ合衆国は、コストカットの視点より、製造業を人件費の安い諸外国にどんどんと移動させていき、いわゆる空洞化と呼ばれる現象が起きているそうです。オバマ大統領は製造業をふたたびアメリカへ、というスローガンを張って対策を講じているそうですが、なかなか事はそう簡単ではないようです。ボルチモアでもコダックやゼロックスといった世界を代表する企業がかつては栄えていたのですが、いまでは地元の雇用の中心はジョンズホプキンス大学の付属病院ということになっているそうです。製造業から医療サービスにその雇用の中心が移り変わってしまったということですね。医療の世界はともすると、財政難のA級戦犯と解釈される向きもありますが、雇用の受け皿としての役割も果たしている事を考えると、そう悪い事ばかりではないのではないかな思います。病院関係者曰く、医療サービスを担っている人材は、一人一人が重要な仕事を担っているのだという自覚も大きく、他の職種と比べて低い給料であったとしても、離職率は格段に低いそうです。ちなみに米国の大きな病院では、すべての医療のステップが分割モジュール化されて、ある人は採血ばっかり一日中しているとか、ある人は患者さんの搬送ばかりやっているとか(これは腕っぷしの強そうな、マッチョなお兄さんが多かったように思います)、とっても細分化されているわけですね。さて、1960年代には雇用の花形であったGM,フォード,GEなどの製造業が、2010年にはウォルマートやマクドナルドなどの小売業やサービス業にその座を奪われてしまっているそうです。さらにそのサービス業だって、アマゾンなどのネット系の企業では、究極のコストカットによって社員一人当たりの売り上げを飛躍的に伸ばし、同じ書店のボーダーズという手売りの業者と比較するとおよそ十倍もの開きができてしまっているそうです。これでは小売業も限られた企業にさらわれていってしまうわけですね。日本でも最近は、主要都市の駅前の店舗のラインナップを眺めてみると、いわゆる大手チェーン店が牛耳っており、まさしくどこの都市も、金太郎飴状態だなあと感じることが多くなっています。特にこの話題にオチはないのですが、成るほどな、フーンということです。個性的な町づくりは、待っていてもやって来ないのかなと・・・。
縦貫道の周辺に霧がかかっている景色を撮ろうとしたのですが・・・