9月27日 日曜日

まだまだあると思っていた賞味期限がほんのちょっとすぎているミルクが残されていることに気づいた朝です。

さて、先週末に流れていたニュースで気になっていたものがあります。彫り師の方の無罪が確定したというもの。医師でなければ施術してはならないと一審有罪の判決がなされていたタトゥーについての判断が最高裁で覆されたということです。その裁判を支援するクラウドファンディングなども立ち上げられていたこともあり、ある一定の耳目を集める裁判であったのですが、その結審を耳にしたわけですね。タトゥーが医療行為にあたるとして、彫師の方が医師法違反であるとされたのが一審判決でした。それにより職業が奪われたとして訴えた控訴審で逆転無罪となり、それに対する検察の上告が最高裁で棄却されたという事案です。最終的に最高裁はタトゥーが「装飾的ないし象徴的な要素や美術的な意義がある社会的な風俗」であることを認定し、「医学とは異質の美術等に関する知識及び技能を有する行為」であると判断しました。補足意見で「タトゥーを露出することの可否について議論を深める余地があるとしても、タトゥーの施術に対する需要そのものを否定すべき理由はない」と述べられたそうです。タトゥーについての漠然とした賛否は様々あろうかと思います。もちろん異なる文化背景をもつ国によって、それぞれの人が抱く認識も様々だろうと思います。裁判ではそのことについての判断を下すわけではもちろんありません。あくまでも医師法に規定された医行為に該当するのかどうかという判断について検討がなされたということなのだと思います。これと似たような行為については例えば、一般美容整形、脂肪吸引、腸内洗浄、ケミカルピーリングやアートメイクなどが挙げられます。ここに挙げた行為は過去の判断で、すでに医行為であることが認定されています。特にアートメイクとタトゥーは非常に手技が似ていると思われるのですが、前者はほぼ美容が目的で大きく美容整形に含まれるため医術とみなすと判断されているようです。たしかに、タトゥーは美容とは一線を画するものであるように私は思います。すこし話はそれますが、インスリン自己注射や喀痰の吸引、電気ショック(AED)の使用などは原則医行為に該当すると判断されていますが、状況的には常に医師が行うことができない場合にはそれ以外の判断も認められています。家庭内での痰の吸引処置や、学校でのAED使用がその状況にあたりますかね。関連して思い出したのですが、時々医師の雑談でとりあげられる「フライト中の機内に医師の方おられませんか?のアナウンスにあなたならどうする問題」があります。医師の倫理として当然名乗り出るだろうというのが王道の対応だとすると、自分の専門外で、十分適切な対応が取れなかったらいけないので名乗り出るのが憚られるという主張をされる先生もおられます。もしもそのことが不十分な対応だったとして後に訴えられたら誰が責任を取ってくれるのか・・という意見もあります。そんな議論になると決まって引き合いに出されるのが『善きサマリア人の法』というやつですね。すなわち、急な場面でその人を救うために無償で善意の行動をとった結果、たとえその救命に失敗したとしてもその結果については責任を問われないという趣旨の法です。これを実際に立法化している国もあると聞きます。

さて、ミルクを飲みほしてと・・・・そろそろお仕事に取り掛かることにしましょうか。みなさん雨の一日ですが、良い休日をお過ごしください!