4月26日 土曜日
最近、咳を主な症状とする患者さんが増えてきました。
原因はさまざまで、感染症によるもの、アレルギーが関係しているもの、慢性的な肺の病気が背景にある場合など、幅広い可能性があります。
花粉の飛散はかなり落ち着いてきましたが、その一方で、感染症の流行状況は少し複雑になっています。
中でも、今話題になっている百日咳感染症やマイコプラズマ感染症は、適切な抗菌薬による治療が可能なため、ウイルス性感染症とは異なり、正確な診断がとても重要になります。
また、新型コロナウイルスの陽性例も一定数認められており、引き続き注意が必要です。
百日咳は、予防接種が普及していなかった時代には、小さなお子さんが重症化して命にかかわるケースも少なくなかったそうです(私は医師になってから、そのような状況は経験していませんが…)。
現在は、主にティーンエイジャー世代が中心となって発症しています。
これは、幼少期に受けた三種混合ワクチン(現在は五種混合に進化しています)による抗体が、年齢とともに低下するためだと考えられています。
幸い、多くの方は基礎免疫を持っているため、重症化する例は少ないようですが、抗体価が高く保たれている方は、そもそも感染しないこともあります。
百日咳の特徴は、
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潜伏期間が長めであること
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診断にはPCR検査や血清抗体価の測定など、感染時期に応じた方法を選ぶ必要があること
など、少し対応が難しい感染症です。
このため、今後もじわじわと感染が続く「生煮え」のような状況がしばらく続くと予想されます。
咳が長引く場合には、無理をせず早めに受診してくださいね。