4月10日金曜日 雨

訪問するお宅のほぼすべてに暖房が入っていた。4月なのに・・・なかなか春到来とは言えないこのごろの天候である。唐突なのだが、最近は下ばかりを見ながら歩いていたような気がする・・と、患者さん宅へ歩きながらふと考えた。マンションの階段を上って行くと自然と空と海が視界に入ってくるのだ。ちょっと視点を変えてみて、少し目線を挙げてみれば、美しい空や海が見えるというのに、何気なく過ごしているとそんな事にも気付かなくなっているんだな・・。首をグイとあげて空を眺めてみた。なんだ・・・人間の存在なんてちっぽけなものなんだ。最近経験した、とある方とのおわかれの時には、本当に考えるところが多かった。あんなにきちんと折り目正しく挨拶をして旅立たれたひとにボクは巡り会ったことがなかったのだ。このお仕事をしていて良かったなと、再認識させられた。その彼もこの空を上って行っているのかなあ〜と思いながら眺めた空はどこまでも透き通っていた・・・。

capa

またまた久しぶりにロバートキャパの自伝を読んでみた。戦争写真家として、奔放に生きた彼の筆致は本当におもしろい。かの有名なイングリッド・バーグマンとも浮き名を流した彼だが、一度も誰とも結婚しなかったそうな・・・(一度アメリカ国籍取得のための偽装結婚をしているそうだが)。ともに戦場で散った最愛のゲルダ・タローを生涯愛していたからではないかとも伝えられているが真相は良くわからない。彼の著作を読んでいると、報道写真家という職業がとってもロマンにあふれるものに感じられる。最近の中東での事件を考えるとそんな事軽々には言えないのだけれど・・・。今度生まれ変わったらどんな職業になりたいですか??キケンと隣り合わせの波瀾万丈な人生もまた一興だなと思うことがある・・ボクにはそんな度胸は多分ないのだろうけれど。生涯伴侶や家族を持たず、自由な身で何かをしてみたいという欲望がちょっとあるんですよね、昔から。でも、開業医って言う仕事はたいそう楽しいです。それまでは勤務医で、ただ単に医師をしていれば良かったのですけれど、開業医になるとそれに経営者という立場も加わる訳で・・それも大変なのですけれど、まさに”禍福はあざなえる縄のごとし”で、色々な事が巡り巡ってやってきます。それもこれも楽しまなきゃね・・・!