5月29日 日曜日 晴れ

さぶんちゅうしゅつきのう‥という便利な機能が最近のレントゲン機器にそなわっているのですが。差分、すなわち前の写真とその時の写真の差を引っ張り出して来て、それだけを可視化するという誠に優れた機能です。デジタル写真の成せる技なのですけどね。これを利用すると、その時に撮影した写真から、前回の写真を差し引きしてくれるので、前回撮影した時にはなかったもの、それは腫瘍だったり、炎症だったりする訳ですが、それを明らかにしてくれるという訳です。これだと誰でも見落とす事無く診断ができるということになるのです。なんとも便利なシロモノです。

スクリーンショット(2016-05-29 11.03.03)

この差分抽出っていう作業なのですが・・・普段の診察でも無意識的にやっていると思うのです、頭の中で。ある患者さんを定期的に診察している時に、頭の中で”前はこういう状態だったから、今日のこの所見は少し異常だな・・”とか、常にいつもの状態との差異をピックアップしているのですね。かかりつけ医をつくると言う事のメリットの一つはそこにあると思うのです。初診で診察をする患者さんと、いつもの状態がある程度把握できている患者さんとでは、自ずとアプローチが異なりますし、診断効率や精度も違ってくるのではないかと思います。それはそれで良い事だと思うのですが、一方で、いつも見ている症状だから敢えて目がそこに行き届かない・・という状況も考えておかないといけないのかもしれません。オオカミ少年の寓話はよく知られたものですが、いつもいつも同じ症状を繰り返し仰る患者さんの何回かに一度は、まったく別の、もしかすると重大な訴えが混じっているのかもしれません。それに気付く事ができるように、時々は主治医の頭の中も整理、リセットする必要があるかもしれないな〜などと考えておりました。