8月8日 水曜日 晴れ

F1と呼ばれる野菜がある。F1とは自動車レースのことではなく、いわゆる一代雑種と呼ばれる、ある一定の特徴を持った規格のそろったものを収穫するための種を使用した野菜などの作物のことである。モノクローン(単一のクローン、遺伝子)というほどではないが、遺伝学的にかなり似た配列をもつもので、そこからできる作物は同じ大きさで、同じ味がする。普通なら1−2週間の幅で収穫されるところのものが、3日間などの短期間に集中的に収穫されるため、非常に効率よく、流通させ易いものが収穫できるようになっているのである。その結果、食べ易い、安価な野菜を消費者は手にする事ができると言われている。これに対して、固定種と呼ばれる、農家独自の代々受け継いで来られている種は、味がおいしいという観点でセレクションを受けてはいるものの、長いものや短いもの、曲がったものやまっすぐなものなど、雑多なものが生えてくるのである。各農家で独特のものが受け継がれ、また翌年のための種を取るためのいわゆるネギ坊主などが育てられ、引き継がれて行くのである。過度に単一化されていないこれらの品種は、ある病気が流行したり、低気温などでその収穫が危機に瀕しているときにも、一定割合で残っているその多様性のおかげで、全滅を免れる事ができるということになる。一方F1は収穫されるためだけのものであり、そこから種は収穫できたとしても、同様の均一な品種を得る事はできないという点で、一代限りの使い捨ての種なのである。当然、生育環境が厳しくなると一様にすべてが台無しとなってしまうリスクを抱えていると言える。そしてこのような種は、世の中の種苗市場を席巻しており、モンサント社やデュポン社などの多国籍企業3社が全世界のシェアの半分を占めているらしい。消費者が製品を選んでいると思っていても、その実、もとを正せば、種は同じ、なんていうことが日常茶飯事であるようだ。おもえば、市場がグローバルになればなるほど、企業体は均一で安価な原料、素材、そして労働者を作り出そうとするものであろう。世界に打って出て競争しているつもりが、相手の土俵にまんまと乗せられて、競争しているつもりになっているだけ、ということになっているのに気づく頃には時すでに遅し・・・である。安全保障とは、オスプレイの問題だけではなく、はたまた食糧自給率の確保という数字だけでもなく・・なんとも奥の深い問題である。
火の鳥ニッポン決勝戦も頑張れ!!