10月22日 金曜日
かぜの季節です。今年はインフルエンザが流行するのかどうか・・?と尋ねられることもよくあります。「わかりません」未来の自分がそばにいたなら教えて欲しいです。今冬の南半球では流行しなかったようです。でも地球上の人口の大半はそれと反対側に住んでいるので、そこを論拠にしてもやや説得力に欠けるのかな〜とも思います。だから結局「わかりません」になります。新型コロナで有名になったPCR検査とか抗原検査とかですが、インフルエンザの診断にはもっぱら抗原検査キットが使用されています。PCRまでするのは重症例など限られた状況のみです。なので、皆さんご存知のように偽陽性とか偽陰性とかの問題がつきまといます。患者さんはこぞって疑わしい時には病院に来られて検査を希望されます。時には学校や職場から検査をしてこいと言われて・・・と言う場合もあります。多くの医師はこのキラーワードに”イラッと”します。なぜかって?「検査の適応は医師が決めることだっ」という、財務省や厚労省が聞くと褒めてくれそうなのですが、その一方でややパターナルなあまり褒められない感情が一因です。私などは、患者さんのそのお気持ちもよくわかるなあと思います。だからと言ってなんでもかんでもその通りにするわけにはいかないのですけど。他にも例えば、咽頭痛を主訴に来られた患者さんに行うことがある「溶連菌」とか「アデノウイルス」と言う感染症に対する迅速検査キットもあります。私たちはこれらをどういう時に行うのか?それは、検査の結果によって治療方法や選択する薬剤に変化が見込まれるときに施行するのです。実際には、ただの風邪(ウイルス)か、溶連菌か?で選択する薬剤に抗菌薬を入れるかどうかが決まります。すなわち、検査結果が治療方法の選択に反映されるということになるのです。一旦溶連菌が否定されたら・・・あとはインフルエンザであろうが、アデノウイルスであろうが、ライノウイルスであろうが、リスクのない方にとっては”ほぼ”同じことなのです(やや極端な言い方ですが)。self-limiting diseaseと呼ばれる、自然治癒の見込める疾患になるわけです。・・・なので、わざわざ迅速検査しなくてもよくね?・・・になってしまうのですね。このネタ、毎年脳内で繰り返されるのですけど語り出すと、この5倍くらいの分量が必要になるのでそろそろお開きにさせて頂きますね・・・。
今年はお上のご指導がオンラインで自習になりました 😀
資料のスライドを見ると最後の方は社会保障費(医療・福祉・年金)の国家予算の占める比率が35.8%になったと赤字で示されています。その内訳は半分年金、3割医療、2割が福祉とのことです。財源は6割が社会保険料、残りが国庫金となります。まあ国のお金は本を正せば税金ですから、ほぼ全て私たちの懐から出たモノではあるのでしょうけれど。
賢明な皆様はもうお分かりだと思います・・・この医師への指導での重要なメタメッセージ・・・「だからな、無駄な検査とか、無意味な治療とか、効果のない薬剤の処方はやったらあかんねんで」