6月17日 金曜日
最近咬傷の患者さんをみることが何度かありました。犬、猫、ネズミ(!)、虫ではやはり定番のマダニでしょうか。頻度はやはりワンニャンですね。ニャンは引っ掻き傷も多くて、猫ひっかき病というのみなさん一度は聞かれたことがあるかもしれません。バルトネラというグラム陰性桿菌がその犯人となります。動物の常在菌ですし、ノミがベクターになったりすることもあるようです。かき傷の上流のリンパ節が腫れてきます。咬み傷ですと、やはりパスツレラという口腔内常在菌とか嫌気性菌に感染する可能性があります。いずれの場合にもまずは受傷直後の流水での洗浄が非常に大事です。抗菌剤は有効です(オーグメンチンなどの処方となります)。海外なら狂犬病も注意しなくてはならないですし、汚染外傷一般には破傷風予防も考える必要があります。土壌中に存在する破傷風菌は、予防注射を受けていない大人で普段土に触れ合うことのない方ほど危険性が高まると考えられます。例えば・・・都会に住んでいる人が、田植えのシーズンに帰省して畑作業を手伝っている際に、土壌汚染のある釘を踏んづけた・・・などという場合には、ぜひ破傷風トキソイドやグロブリンの注射を考える必要があります。これから屋外活動のシーズンになりますので、ぜひみなさんもお気をつけてお過ごしください!
インハンドというドラマ(山Pさんのやつですね)では、片手を失った博士の設定があるのですが、その原因が動物に噛まれた時に感染したためとなっています。culpritは・・・カプノサイトファーガ・カニモルサスというグラム陰性桿菌です。これもまた・・・犬猫の咬傷から感染する可能性のある(極めて稀ですが)、発症すると重症化する恐れのある細菌感染症ですね。この細菌は莢膜というバリアを有しているため、特に外傷や手術で脾臓という臓器を摘出されている方には特に注意を要するもの(脾臓が莢膜を持つ細胞を免疫処理しやすくするオプソニン化という過程に関わっているため)となります。現在定期化されている肺炎球菌ワクチン(60歳以上)が対象とする肺炎球菌もその莢膜を有していることから、罹患しやすいと考えられる脾臓摘除後患者さんには保険適応となっています。
では・・・週末です!みなさん楽しく穏やかにお過ごしください