5月24日 金曜日
梅雨前線が南にお出ましになっているようですが、もうしばらくは良い天気が享受できそうです。さて、先週末頃から胃腸炎症状の方が一定数お見えになります。局所的に流行している事業所であったり、学校、園などがあるようです。ノロウイルス、ロタウイルスなどが有名ですが、他にもいくつか原因となるものはあるようです。感染力は非常に強く、子供さんたちの吐物などを処理することだけでも容易に感染することがあります。ウイルス粒子の付着した塵埃を吸引することでうつることもあるようですから、床を拭いたりするときにもマスク着用、手袋、ガウンなどを怠りなくしたいものです。保育園や幼稚園の先生方もやはりリスクは高いので、気をつけながらお仕事をされる必要があるので大変ですね。発熱・嘔吐・下痢が3徴候です。経口摂取ができずに脱水症状が強いときには点滴などを必要とします。そういったことがなければ、大体は1−2日でピークアウトして、3日目あたりにはかなり治癒に近づくことが多いと思います。一方で、食中毒と称されるような、主に細菌感染による胃腸炎の場合には、抗菌薬などで治療を必要とする場合もあります。しばしばみられるのは、鶏肉の加熱不十分で感染するカンピロバクター腸炎でしょうか。これは発熱や頭痛、血便や強烈な下痢症状に見舞われますので、まずは食材の取り扱いにも注意をして、予防に留意する必要があります。幼稚園や保育所で流行する前述のウイルス性胃腸炎の場合には、抗菌薬などは無効ですので、基本的には治療方法は特別なものはなく、ある程度の排菌(出し切る)を終えるまで、脱水症状などに注意して、ゆっくりと少しずつ水分・糖分・塩分の摂取を行いながら自宅療養されても良い場合が多いかと思います。水やお茶だけではなく、甘いものや、コンソメスープや味噌汁の上澄などで塩分も含めると、より効果的な脱水予防になると思います。子供さんの場合には、少しずつ飲ませてあげるのも重要です。一旦嘔吐すると、少しスッキリするので、子供さんたちは気分が良くなってついグイグイと飲んでしまいますが、その後は再び戻すことになります。コップにごくわずかだけ入れて、少しずつ、時間をあけながら与えるのが良いでしょう。