京都府与謝郡与謝野町 内科・外科・リハビリテーション科・在宅診療 いとうクリニック

ふくろうくんのブログ

どちらがお上手?

11月8日 水曜日

徐々に気温は下がってきているようですね。さて昨日興味深い論文を教えてもらいました。

https://jamanetwork.com/journals/jamasurgery/article-abstract/2808894#:~:text=patients’%20postoperative%20outcomes.-,After%20accounting%20for%20patient%2C%20procedure%2C%20surgeon%2C%20anesthesiologist%2C%20and,those%20treated%20by%20male%20surgeons.

Surgeon Sex and Long-Term Postoperative Outcomes Among Patients Undergoing Common Sugeries JAMA Surg. Published online August 30, 2023. doi:10.1001/jamasurg. 2023. 3744

「外科医の性別が一般的な外科手術後の結果に与える長期的な影響について」というタイトルです。私も以前に女性外科医と一緒に仕事をしていた時期がありますが、別段性別間の能力の差異を気にしたことはありませんでした。こういった論文が生まれる背景には、やはり女性についての負のジェンダーバイアスが人々の意識の中にあるのではないか?という問題意識が根底にあるからなのでしょう(残念ながらフルテキストで読んでいないのでBackgroundでの議論は分かりませんが)。結果はそれどころか、女性に手術を受けた患者群の方が、長期的な成績は上回っていて、術後合併症の割合も低かったということのようです。投稿に対するレターの批評を読むと、いくつかの論点は指摘されています。例えば、患者割り当ての際に、技量が考量されて担当医が決められていた可能性があるとか、時間経過による影響なども考えうるといった指摘です。つまり、やりやすい手術が技量に応じて担当医に割り振れていた可能性があったり、女性担当医は比較的年代が現在に近く、その間の医療全体のレベル向上の影響が入っている可能性があるのではということです。様々な論点が残されているとはいえ、なかなか興味深い結果を導いた論文であることは間違いないのではと思います。

お金はまわっている?

11月7日 火曜日

新聞に出ていた記事からの引用になりますが、「介護費膨張、20年で4倍」という見出しで始まるものです(日経新聞11月7日朝刊3面)。過去20年間で介護保険からの給付費が約4倍に急増しているとあります。これに対して、保険料の引き上げや、給付費の自己負担増額で対応しようということが書かれてありました。先日担当した緩和ケアの勉強会の資料を作成しているときに、終末期医療についての国民へのアンケート調査を行った厚労省の資料に目をとおす機会がありました。自分が終末期医療や介護を受ける場合に優先したい事柄の項目で高い比率を得ていたのは「家族や近しい人になるべく迷惑をかけたくない」という希望です。この比率は10年前の数値よりもさらに増えているようです。当地で療養される介護保険対象の方達は、子供さん世代が遠方にお住まいで、高齢者ご夫婦のみが残っておられるケースが少なくない状況です。当然ケアの担い手は、介護保険を利用した制度で賄われるわけです。それによって、直接のご家族へのご負担が軽減され、利用者さんも安定して、ご家族も現在の職や生活に大きな影響を受けることが少なく回るようになっているのです。当然そこにはコストが発生します。やはりこの問題も、人口減少や人口の都市への偏在など、現代の抱える問題にモロに影響を受けているのは間違いないことかと思います。同様に、社会福祉のコストとして医療や年金が問題になっているのはご存知の通りでしょう。議論の方向性を誤ると、現役世代と高齢世代の軋轢を生んでしまう危険性を孕んでいると思うのですが、現役世代とて、わずか数十年後にはケアを受ける世代になっていくわけです。また、発生するコストもまた回り回って若い世代の方の給与などに変わっていくという側面もあるので、このような記事を読む際には、かかる費用の増加だけに着目して暗澹たる気分になるのではなく、もう一回り大きなストーリーとして考えていくのが精神衛生上よろしいような気がしています。社会福祉の費用とその使われ先についての考察記事も以前に読んだことがあるので、次の機会にまた紹介しようかなと思います。今日はこれから天候が荒れ模様のようです。みなさん体調に注意して、インフルエンザも大流行の兆しを見せておりますゆえ、人混みではマスク、体調不良の時には自宅療養を心がけて良い1日をお過ごしください。

気になる本

11月4日 土曜日

昨日は金曜日のお休みでしたが、あまり経験しない曜日の休日なのでなんだか変な感じが残っています。さて、タイトルの本ですが、中村文則さんの「列」なのです。ラジオ番組で作者本人のお話を聞いて知ったのですが。確かに今の時代、列っていろんな場面で遭遇しますよね。作品冒頭部分では、そんな列あるあるで読者が引き込まれるように構成されているのだとか。テーマはそこからどう展開していくのかは、まだ未読なので未知数なのですが。ちょっと考えただけでも、日常生活での列って簡単にいくつか思い出します。ラーメン屋さんの店頭に作られている「列」、スーパーのレジで、どちらにつくか迷う「列」、駅のエスカレーターに作られている左側だけの「列」・・・なかなか興味深いところに着目されたものです。早速クリックしてしまいました。ついでに前作がまだ積読状態の逢坂冬馬さんの新作も。さてと・・・世の中は3連休とのことですが、半日お仕事頑張ることにいたしましょう。皆さんも良い週末をお過ごしください!

医療費とは

11月2日 木曜日

目の前に給水地点のある長距離ランナーの気持ちでおります(なんのことだ・・)。さてさて、朝からTwitter改めXでは、こくみんみんしゅとーの方のツイートじゃなくって投稿がプチバズりのようです。仰る内容は皆様各自で味わっていただくとして、それへの反論が多種多様でなかなか面白かったですね。一番共感できたのは、やはり訪問診療を中心に地域医療に関わるトップランナーでもある佐々木先生のコメントでした。社会保険は内なる国防であるという辻哲夫先生のお言葉を引き合いに出して、ご自分の考えを述べられています。社会保障とはそもそも「誰もが病気や障害になったときに、必要な医療やケアが安心して受けられるシステムであって、どこかの国みたいに、加入している健康保険の約款によってカバーされる医療が違ったり、お金を理由に拒絶されることがないように工夫されて構築されたもの」であるべきです。医療費を抑制すること自体が目的なのではなくて、より効率よく無駄を省いた医療やそれに必要な資源が確保されるような対策を講じることが、ひいては維持可能な医療提供体制を確立しうるただ一つの道であると思います。もちろん医療提供側(わたしたち)にやるべきことはたくさんあります。行政からも昨今取りざたされているデジタル化はその一つの手段となるはずです。また、国民の側としても(患者さん側ですね、もちろん私自身も仕事を一歩離れるとこちらに属します)やれること、やるべきことは少なくないと思います。医療費の伸びを圧縮するのが国の将来にとって不可欠ですという政治家の言葉は、往々にして国民に提供される医療の制限に直結しがちです。国の財政難の悪者としての文脈で医療費が取り上げられるときには、よーく注意して耳をダンボにして聞いて頂きたいなと思っています。ちょっとお時間になりました・・・また後日別の機会でこの大きなテーマは考えてみたいと思います。それでは休日の前、みなさん良い1日をお過ごしください。

昨日はなんのひ

11月1日 水曜日

昨日の渋谷は割と穏やかな様子だったそうです(某Yフーニュースより)。事前に警察からの念入りのアナウンスを行なっていたため当日の混乱はなかったとのことです。ミネソタ州にいた頃に経験したハロウィーンはめちゃくちゃ寒かったことを記憶しています。とにかく子供たちがいろいろな仮装をして近所の家々を歩き回るので、それに付き合って走り回らねばならず、なかなか大変な1日だったことを覚えています。日頃行き来のないご家族のお宅にお邪魔するので、大人としてはやや緊張もするわけですね。日本にいると体験できないことなので、楽しい思い出になっているわけでもあります。翌日からは毎日いろんなスナック菓子が食卓にばら撒かれている光景になります。そこからはリンゴ狩りとか、感謝祭にターキーのクランベリー&グレイビーソースがけとか、クリスマスの時期に移ろっていきますのでウチの人なんかはとてもワクワクするのだと言っておりました。多分ブラックフライデーのセールなんかも脳内活性化に刷り込まれていたのかと想像しておりますが・・・。明後日は文化の日でお休みです。そういえば去年は母校でちょっとおしゃべりしたのでした。あと二日がんばろ・・。

いよいよ始まる!

10月31日 火曜日

10月も最後の1日となりました。今年も残すところあと2ヶ月ですね。早いものです、ホント。さて・・いよいよ始まりました。周りに誰も共有できる人がいない私の好きなFISアルペンスキーのシリーズです。今年もオーストリアのセルデンで第1戦目を迎えました。10月開催という状況で、現地もかなりの陽気だったようですが、やはりそこは本場のしまったピステで、コースの荒れもなくコンディション良好な中で行われました。初日は女子大回転ですね。素人目には一番面白く見られる種目です。ビブ#1を引いたスイスのLara Gut選手が1本目4位からの大逆転で優勝したようです。どちらかというと高速系の得意な彼女ですが、開幕初戦のセルデンという場所はかなり相性が良いようです。確か総合優勝した数年前も初戦を優勝で飾っていたような記憶があります。そして、3位にはもう一人の推しのスロバキアのPetra Vlhova選手が3位に入るというなかなかの楽しいレースでした。何回も見てしまいました〜。本命のアメリカMikaela Shiffrin選手は惜しくも6位という結果でしたが、役者の揃っての入賞に今年は面白いレースになる予感がしてますます楽しみな気がしています。

いつかは1週間ぐらいのんびり信州に籠ってみたいものですな〜・・・

週末考

10月30日 月曜日

昨日は午後に緩和ケア研修会に参加しました。夜は撮り溜めしていたドキュメンタリー番組を視聴しました。今のパレスチナの戦争状態の発端と言っても良いかもしれないオスマン帝国崩壊の頃のお話しです。有名な映画アラビアのロレンスの時代ですね。イギリスの二枚舌の外交とか、ドイツのユダヤ人迫害の歴史など、現在の悲劇に至るところで当事者以外の国のやらかした過ちはやはり知っておくべきなのかなと思いました。元々同じ一神教のユダヤとイスラムですので、水と油の存在ではなかったはずなのでしょうけれど、報復の連鎖になってしまった今となっては折り合える地点を見つけるのがなかなか難しいのが現実です。どんどんと過酷さが増す現在、現地では国境なき医師団など、懸命に活動している団体は数少なくなってきているとも聞きます。私も少しではありますが、できることをやっておきたいと思い寄付を行いました。さて、今朝の朝刊には2050年に無くなるかもしれないという記事で書かれていたのがなんと「スマホ」であります。なんでもスマートグラスとかスマートコンタクトと称されるような、メガネとかコンタクトレンズのようなデバイスにとって変わられるのではないかという予測です。仮想空間でスマートグラスをつけて、AIの選んでくれたアバターと会話を楽しみ、カップルが成立する・・・のだそうです。仮想の分身同士が仮想空間で出会って実際に結婚するとか、ちょっと想像できないのですけど、まあその頃は私も生きていたらおそらく相当高齢になっているでしょうから、自分ごととして心配する必要はないですね。せいぜい仮想空間でお葬式でもしてもらおうかなというぐらいのものでしょうか。

無題

10月29日 日曜日

朝から晴れたり曇ったりです。昨日の夜は某医大病院発信の消化器がん関連の講演会を視聴していました。その後は医学書院企画の医療者向けセミナーを登録していたことを思い出して、これまた寝ながら視聴。怒りと不安への対処についての教育番組でした。小難しい医学理論や数式の話ではないので、ながら聞きにうってつけの内容でしたね。数日前からまたまた顔の表面がガサガサしてきてポリポリと掻きながらなんでやろな〜とか考えています。環境因子か、はたまたストレス反応なのか・・・。今日はちょっと関係者各位とお会いする集まり会があるので、それまで雑事とかおそうじとか頑張りましょうかね。皆さんも良い週末をお過ごしください!

じぇんとりふぃけーしょん

10月28日 土曜日

朝から屋根を叩く雨音で目が覚めました。というか、まだ深夜の2時半でしたけど。いまは晴れておりますので、今日も秋晴れの良いお天気となりそうです。昨日のお勉強ワードは”ジェントリフィケーション”でした。得意のWikiによると『ジェントリフィケーションとは、地域における居住者の階層の上位化とともに、建物の改修やクリアランス(都市再開発)の結果としての居住空間の質の向上が進行する現象のことである』とあります。大分前に東京下町の元々町工場の栄えた地域がまさにこの影響で地価が上昇し、その影響で元々の居住者離れや、商店街の空洞化が進んだというニュースを見たことがあります。市街区の美化には寄与することはそうなのですが、一方で格差の拡大につながる側面もあり、一様に歓迎というわけにもいかないようです。そういえば・・京都市内でもそんな雰囲気を感じさせる工事中の区画・区域があるような気がします。あそことか、あそことか、小さな区画でも、あ〜ここ潰してこんな道路作ったんや・・・みたいな。少し内容は異なるのかもわかりませんが、半導体企業の誘致でバブっている(らしい)熊本県や北海道のお話はすでにオン・ゴーイングなものとして注目されていますよね。熊本の周辺の渋滞たるや凄まじいそうですな。知らんけど・・・

匂い?臭い?

10月27日 金曜日

晴れの日が続きます。お昼に外に出ると5角形の小さな蠢く物体が大発生しています。不思議なことに知らないうちに踏んづけてしまっても漂ってこない異臭が、格闘しようとすると出てくるということですね。臭いの源は足の付け根にあるそうですので、踏んづけてしまっても噴霧されなければさほど臭気は漂わないのでしょうかね。ちなみにこれを良い匂いと感じる方もいらっしゃるそうです・・・羨ましいですね。さて、昨日は最近感染者が増加していると言われている(実際にそうです)梅毒のお勉強をしていました。ケアネットという医療者のためのプラットフォームがあります。先日2日間にわたる祭りがあったのですが、その時に流された先生方の講演を視聴しています。無痛性の皮膚粘膜病変を経て、II期に移行すると時に発熱を伴う全身の発疹を認めますので、このような時期に診療所を受診されることがあります。なかなか普段よく目にする疾患ではありませんので、私たちも想起することができない場合があります。この期も無治療でも自然に軽快しますので、そこを取り逃すと潜伏期に入っていってしまいます。幸いに(と言っていいのかどうかわかりませんが)、後期になると、感染性が低くなると言われますので、診断は迷宮入りとなってしまうわけですね。認知機能低下を引き起こす可能性がある神経梅毒の時期はかなり遅れてやってきます。物忘れ外来を受診していただいた患者さんのご家族が、診療明細を見て”??”となってしまうのが、そこに梅毒抗体検査の測定項目が入っている時でしょうかね。うちのお爺さんになんで性感染症の検査を?と思われるかもしれませんが、元を正すと上記のような理屈があるのですね(もちろん主治医から説明がある場合が多いかとは思いますが)。それでは、秋晴れの日も残り少なくなってきます。いろいろありますけど、頑張っておしごとに勤しむことにいたしましょう!皆さんも良い一日をお過ごしください。

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