京都府与謝郡与謝野町 内科・外科・リハビリテーション科・在宅診療 いとうクリニック

ふくろうくんのブログ

大発生中

6月30日 金曜日

今日はプレミアム・フライデーにあたる週ですね。今の勤務形態になってから金曜日はさしたる意味を持たなくなっているのですが、なんとなく嬉しい空気には浸っておこうかなと思っています。午後のお仕事の後にも少しタスクがあるのですが・・・。裏の田んぼでは小さなカエルが大発生しており、駐車場にも乱入してきています。何気なく置いた荷物の下敷きになっているという人身事故も発生しています。鉄板のような冷たいところが好きなようでして、廃棄物コンテナの周辺にはさらに密集地帯になっています。田んぼに水が入るとすぐにワーって来るのですけど、一旦いなくなって、また今復活してきています。彼らの生態は一体どうなっているのか・・・どこから来るのか、ちょっと謎だなと思っています。何やら予報では局地的に大雨があるかもしれないとか、昨日も夕方にゲリラ雨的なものがありましたので、雷と雨に注意して参りましょう。皆さんも週末に向けて良い1日をお過ごしください。

沈黙の臓器

6月30日 木曜日

今日も雨がしとしと曇り空です。アメリカ女子サッカーのラピノー選手が記者会見で、来月末から始まる女子サッカーのワールドカップについて話しておられました。3日間の一次リーグでは日本もスペイン・コスタリカ・ザンビアを相手に2位に残ることができれば、次のステージに進むことができるそうです。応援ですね。さてさて、最近の診療で話題になった肝臓とアルコールと体重の問題について少し。つい先日も肝臓学会のステートメントが大胆なものであるとお伝えしたのはその通りなのですが。健康診断で赤字になりやすい項目の一つが肝機能です。その2大原因とされるのが前記の二つ、体重超過と過剰なアルコール摂取となります。そもそも肝臓って何をしている臓器なのでしょうか?消化管を通じて吸収されたり排泄された物質は、門脈という血液循環を経由して、まずは肝臓に直送されます。そこで栄養素を分解吸収したり、不要な物質を処理したりします。できてくるのはビリルビンという色素ですね。尿とか便に色がついているのはこのためです。身体の維持に必要なホルモンやビタミンなどがリサイクルされます。解毒という観点から言うと、飲酒を通じて体内に入ったアルコールは一晩かけて水と二酸化炭素にまで分解処理されます。途中で生成されるケトン体などは二日酔いの原因物質でもあります。酔っ払って眠っている間中、肝臓は一人黙々と化学工場をフル稼働させて体を元に戻そうとしてくれているわけですね。過剰に体内に入った糖分はグルコースからグリコーゲンの形で肝臓に蓄えられます。運動をしているときに必要なエネルギー源として、それらは肝臓から適時動員されて筋肉で使われます。このように・・・肝臓は24時間365日黙々と休みなく、下水処理・化学工場・輸送機関などとしてフル稼働してくれているのですね。ここに腫瘍が発生したりしてしまうと、私たち外科医が病巣を健康な肝臓ごと切除するのですが、なんとその後肝臓は切除前の体積近くまで自己を再生するのです。健康診断でAST(GOT), ALT(GPT), γGTPという項目に赤字警告が出ている方がおられるかもしれません。その場合は、どんなしんどい時でも、黙ってひたすら働き続けてくれている、自分が傷ついた時には自分で再生してまた頑張ろうとしてくれる健気な肝細胞がSOSを発しているのだということで、彼らを労ってあげて欲しいのです。以上、肝臓の原告代理人である私からの陳述を終わらせていただきます。

折返し

6月28日 水曜日

気がつけばもう6月も終わりを迎えようとしています。ちょうど1年間の折り返し点です。可もなく不可もなくという感じですが。月初から共に診療している研修医の先生とも今週でお別れです。良い学びや貴重な経験となってくれていると良いなと思います。また新しい週からは別の先生が来てくれる予定です。これまた楽しみです。今日は午後からおそとの日です。天気が持ちこたえてくれると良いのですが・・・。皆さんも良い1日をお過ごしください。

ちょっとへん

6月27日 火曜日

覚悟しているとはいえ、朝からモヤモヤっとした湿度と曇天は気持ちが塞がります。身体にまとわりつくような湿気とはこのことでしょう。さて、週末車の運転をしながら聴いていたのは、今問題となっているマイナンバーカードの誤登録とか健康保険証の廃止の話題とか、秋から始まるとされるインボイス制度のことでした。特にインボイスの仕組みなどは日頃耳慣れない言葉とかが出てくるので、一度聴いてもなかなか理解が深まりません。自分自身にも関わりのあることなのでもう少し掘り下げて理解する必要がありそうです・・・。そもそも論として消費税とはどういう制度なのかということからの理解が必要なようです。30年余り前に導入された頃は3%の消費税でしたが、現在は10%となりまだまだこれから上げられこそすれ、下がることはないだろうとのこと。あまり意識しなくなっていますが、軽減税率制度が今は採用されており、食料品とか新聞は8%となっているのでしたね。もう一つの話題である健康保険証廃止についての問題はもう少し身近で切実なことになります。医療機関側の感想としては、オンライン資格確認ということが可能となると、保険証であろうがマイナンバーカードであろうがどちらでも良いという感じでしょうか。せっかく読み取り機器の設置をしたわけですから、カードの利用が進まないと無用の長物ということになるのですが、それよりも保険証番号の確認がシンプルに確実にできる方法を確立することの方がより重要と感じます。もとよりマイナンバーで全ての資格を運用していくという仕組みならまだしも、今ある個別の番号、健康保険とか年金とか公的支援の制度などを手作業で紐づけていく作業をするので、一人当たり3−4個の番号を1億人以上やるとなると・・・間違いが起こらないほうがおかしいですよね。しかし今よりもはるかに安全で便利な社会を作るためにはそれが必要なのだという覚悟で、私たちが理解をしながら、一定のリスクを許容しながら修正しつつ進めていくほかないのだと思います。総点検を行ったら全て解決ですという説得には首を傾げざるを得ないような気がします。ポイントという餌で我々を誘導するのはやめてもらって、導入するとこういう実質的なメリットがありますということを深く理解を得る努力をしてもらうのが、結局は安定した制度活用には近道なのではないかなと感じています。まあ、健康保険だけで考えると、私たち皆がかなりの費用を負担しながら得ている健康保険資格ですので、何らかの資格証明証を発行してもらうのが筋ではあると思いますけどね。例えばとあるスポーツクラブに入会して、会員証はありませんけど、マイナンバーカードを持ってきてくださいって言われたら、えっ?てなりませんか??

週末のおはなし

6月26日 月曜日

今週は雨つづきのようです。週末は久しぶりに・・の先生方とお会いしました。お一人は肝臓の専門家で、もうお一人は内視鏡の達人の先生でした。開業すると疎くなってしまう病院勤務や大学でのお話を伺うことができたのでとても有意義なお時間でした。今どきの研修医の先生たちのことも話題にあがりました。みなさん色々と試行錯誤しながら臨床に、教育に、研究に取り組んでおられるようです。私も大いに刺激を受けたので、これからまた頑張ろうと思いました。やはり人と直に会ってお話しするというのは大切なことですね。道中、医療のデジタル化の解説をポッドキャストで聴きながらでしたが、ずっとどういうことなのだろうと疑問に思っていた電子カルテ標準化のお話がためになりました。そう言われると、今数多ある色々な会社の電子カルテが何か一本に標準化されるの?みたいな感じがしていたのです。やはりそれはナンセンスのようでして、あり得ないようです。おそらく電子カルテα版のような比較的シンプルな、はじめは紹介状(診療情報提供書)や検査結果などのデータベースを統一されたプラットフォームに載せるみたいなところから始まるのではないか?というお話しでした。なるほど・・手書きの(時々達筆すぎて読めない時があります)紹介状を受付時にスキャンして、読み込んで、また返事を書いて、ファクスして、さらに郵送するという手間が→ダウンロードして閲覧して、お返事をアップロードしておしまいになります。手間も大幅に削減しますし、即時やりとりができますし、郵送代もかからないし、ファクス番号間違いを心配することもなくなりますね。おまけに書類を格納するスペースが不要になります!これはめちゃいいですね。今でも書類のファイルは大きな本棚3つ分くらいありますし、7年間の保存が決められています。受付の事務の方の作業効率も上がりそうです。電子処方箋も導入されると、ファクス機の出番が大幅に減ることになりそうです。何なら今すぐにでもやってほしい・・・

花開く人とそうでない人・・

6月24日 土曜日

来週は見事に傘マークが並んでいるようです。昨日は(も)早くに眠りに落ちてしまったのですが、その前に書籍紹介サイトをのぞいていると「50歳で花開く人と、50歳で止まる人」というタイトルの本の紹介が載っていました。有川真由美さんという作家の方の著書のようです。私もモロにそのゾーンなのでレビューは怖くて読みませんでしたが少し気になるフレーズではあります。確かに50歳を過ぎてからの実感としては、やはり30代40代とは異なる何かを感じることは多くなったと思いますね。一つの節目であると言えそうです。まだ一般的な定年までは10−15年ありますが、そこそこの人生経験を重ねてきているので、世間的にはそれなりの人と解釈されますし、相応の行動を要求されるわけです。それまでに得た知識と経験をもとに、感情をコントロールして生きる・・・というのができれば良いのでしょうけれど、なかなか簡単ではないですね。まあ、他の人に与える影響を考えると、せめて ”日々機嫌良く振る舞う” ということは心がけないといけないと思っています。さて、あと1日頑張ってお仕事して、明日は休養を取りたいと思います。そういえば・・自衛隊の方達の定年って55歳だそうですね。

はっきりしないこと

6月23日 金曜日

梅雨の中休み。お昼のワイドショーで小児感染症が流行という話題が流れていたようです。確かに多彩な病原微生物による疾患がみられているように思います。手足口病・ヘルパンギーナというのはよく耳にされるところかと思いますが、他にもRSウイルスもまだ少し懸念されるかもしれませんし、溶連菌とか、もちろん新型コロナもまだまだ油断できません。コミュニティで罹患された子供さんたちから親御さんがもらう・・・というのもパターンとしてはよく見かけることです。これだけ情報があると、この発熱は一体何の疾患なのかはっきりさせてほしいというお気持ちになられるのはよくわかりますし、私たちもそれを探るわけですが、残念ながら特定の病原体を同定できるケースが全てではありません。そもそも保険適応となっている微生物は数えるほどしかありませんし、それとて年齢の制限があったりもします。疾患名がわかったとしても、それに対する特異的な治療薬が存在しなければ、対応策は変わりませんし、そういう検査は保険適応にならないのです。限られた医療資源や医療費を有効活用する観点から見て、これは仕方のないことですね。特定の治療方法の存在しないウイルスによる上気道炎症状をきたす疾患を、昔から私たちは「かぜですね」と言って、その症状を和らげるいわゆる対症療法を行ってきましたし、それは今もこれからも変わらないでしょう。せっかく忙しくてしんどい中をおして病院に来ていただくのですが、答えがはっきりせず、モヤモヤとしたまま帰宅されることも多いと思います・・・・すみません。では週末に向けて今日も頑張ることにいたしましょう。皆さんも良い一日をお過ごしください。

目のはなし

6月22日 木曜日

昨日研修の先生とのお話で出た”目の話題”です。瞳孔を形作る虹彩と呼ばれる組織の色が人によって様々です。人種による違いもあります。日本人は一般的にメラニン色素の多さから黒っぽい濃い色の虹彩を持っています。欧米・北欧の方は青く見える方も多いです。これに個性をつけようとする目的で、カラーコンタクトを装用されている方も少なくないようです。眼科の先生からはこれの適正使用の啓発がなされています。消費者庁もウェブサイトで資料を公開しているようです。目の表面を覆う角膜という組織に傷が入ったり、細菌や微生物による感染症の報告もあります。中でもアカントアメーバと呼ばれる寄生虫の感染による角膜炎は治療に難渋すると視力を失うこともあるようです。水道水からも検出されるようですので、簡単な手洗いだけでは完全に予防することはできないようです。特にコンタクトレンズの洗浄では専用の消毒液でのこすり洗いが感染症予防対策に重要と聞いています。眼科の先生によく指導を受けて適切な使用装着を心がけるのが良さそうですね。あと、季節的に屋外での草刈り作業をされる時期になりました。機械での除草作業中には必ずゴーグルを!

ゆきすぎたリアル

6月21日 水曜日

午後からおそとの1日です。さてソシアルメディアでひそかに(?)話題のリアルな医療マンガをちょっとだけ斜め読みしてみました。医療関係者と思われる方の論評は二つに分かれていますが、肯定派:否定派が3対1ぐらいの印象ですね。私は多分後者です。作品そのものは確かに現場を再現させるためにたくさん取材というか考証をされて作り込まれている印象です。熱の入った力作だと思います。なので後は受け取る側の理解力や洞察力が試されるのかなと感じました。作品をどう解釈するのかは、もちろん受け取り手の自由だと思うのですけど、私が日々感じながらやっている医療とは少しかけ離れた印象を持たれる方が多いのではないかなと思いました。週末に終末期医療に関する二人の医療者の対談本を読んでいたところでしたので、余計にその内容と基盤の違いに差を感じすぎたのかもしれません。娯楽としての漫画を楽しむのならそれで良いのかと思いますが、それだけを理論的な背景にして医療を語られるとちょっと違うかな〜と感じるでしょう。折しも総務省から令和5年版高齢社会白書なるものがリリースされております。何はともあれ・・・漫画をきっかけに、医療のリアルについて深く考える方が増えてくれることを期待しています。

令和5年版高齢社会白書(全体版)

ネガティブ・ケイパビリティ

6月19日 月曜日

今週は色々なことがある予定です。昨日はネガティブなテーマの学びでした。「診断エラー」とか「臨床における不確実性」ということについての講演とワークでした。エラーについてはこういう場所で書くべき話題ではないと思うのですが、常に私たちの仕事に付きまとう主題です。例えば大谷選手が大活躍で話題になっていますが、一流打者の打率って3割で、4割には満たないですね。医師の場合にそれを当てはめると、えらいことになってしまいます。ところが、たとえ99%の正診率の診断力を持っていたとしても、1000人の患者さんを診察すると10人の誤診をしてしまうことになります。いかがでしょうか?一般の方はどのような感想を持たれるのか興味があるところです。私自身実際に99%の診断力があるかと問われたら、おそらく首を横に振らざるを得ないと思います。はい、今日の受診患者さんがドドーって減ってしまいましたね(泣)。もちろん100%を目指してやらねばいかんとは思っています。疾患の診断というのはある程度の時間を経ないと、正誤の判断ができないですから、診療しながら同時に不確実性というものが常に付きまといます。そんなこととの付きあい方をどうするのか、エラーに対してどのように対峙していくのか?ということについて、気づきを得ることができる講義でした。それでは新しい週の始まりです、みなさん良い1週間をお過ごしください。

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