4月30日 土曜日
1974年10月30日に奇跡は起こった。「キンシャサの奇跡」と呼ばれるその物語は、世界ヘビー級王者ジョージフォアマンと、1967年にその座を不当に奪われたとされる「蝶のように舞い、蜂のように刺す」元王者のモハメドアリの伝説の一戦である・・・って書いてみましたけど、お休みに「アリ」っていう映画を見てみたのですね。アリと言えば、アントニオ猪木との異種格闘技でのアリキックとかしか知らなかったのですけど、その人生はアメリカという巨大国家を相手に闘った壮絶な一生という感じです。カシアス・クレイこと、モハメドアリはムスリムに改宗してアメリカ政府との間に確執が生じ、さらに兵役拒否をきっかけに法廷闘争(国家家権力との・・・!)に翻弄されるのですが、1人で闘い抜いて再び世界戦を実現させるのですね。映画では、ブラックムスリムのカリスマ的存在であるマルコムXが登場したり、ベトナム戦争当時のアメリカ社会の深部に迫るものがある。対共産主義の戦争、偏見、差別、国家機密・・・などに一個人が立ち向かうその様が描かれているハリウッド映画ならではの秀作・・・と思いました。
ウィルスミスがアリ??って思ったのですけど、映画の終わり頃にはもうアリとしか見えなくなってるってくらいでした。でも・・アリって女性関係にはややだらしない・・いや奔放な感じなのですね。
その後、フォアマンは・・バーベキューマシンのキャラとして定着していましたし(何となく微笑ましいキャラです)、アリはアルツハイマー病を患ってアトランタオリンピックの聖火ランナーとして注目されていましたね。1960年のローマオリンピックで得た金メダルを彼は、その後にひどい人種差別を受けて川に投げ捨てたらしいのですが、36年後にアメリカ社会と和解するっていうことになったのです。彼と表向きはやり合っているのだけれど、裏で気脈を通じているというTVキャスターの役どころがとっても秀逸・・・!。諸々含めて・・ほんと、アメリカってつくづく懐の深い国だなあと思います。