3月23日 月曜日
週明けの診察日でした。ニュースでは格闘技の大会が何千人かの観客を集めて挙行されたとか、お花見が結構な賑わいであったとか、やや自粛解禁ムードが漂っているような感じです(みなさんそう感じられたでしょう?)。でも、先週の専門家会議のニュアンスは全然そうではなかったように思います。むしろ大都市ではじわじわと濃厚接触のない患者が増えているという報告もありますので、より一層引き締めて対応してほしいという旨ではなかったかと思います。特に、東京などの感染症受け入れ病院では結構際どい診療体制のようでありますし、こういった第一線の医療機関でもマスクの調達に全くめどは立っていないとのことです。今日診療後に製薬会社(ファイザー製薬さんありがとう)の協賛で、最前線にたつ先生方のウェブ講演会がありましたので視聴しました。患者増に拍車がかかると、マスクや防御材料が十分でない医療機関とその従事者に過重な負担を強いることになります。我が国の首都がロックアウトされないように十分な注意が必要です。さて、今日の当院の診療でも、普段ならちょっとした風邪かなというくらいで、無理してでも仕事に行っておられそうな患者さんが心配して来院されています。自分の体だけではなく、周りに感染を拡げたらどうしようという心配が強いようです。正直言って、初診時に ”まじめに” 心配されている方達の不安を直ちに解消することはかなり困難なのです。なぜなら、コロナウイルスは最大2週間の潜伏期間ののち、発症後数日は他の風邪ウイルスと区別がつかないような共通の咳や熱などの症状しか引き起こさないからです。なので、発熱や咳症状で病院を受診される場合には、もちろんインフルエンザとか、細菌性肺炎とかコロナウイルス以外の感染症との区別をできる限り考えた上で、それでも(!)その後数日間は経過観察するしかないのです。明日から仕事に行っても大丈夫ですよという太鼓判を出すことはできません。繰り返しますが、それしか方法がないのです。小生も感染管理の専門家ではありませんので、一般的に認知されていることまでしか言えませんが、これまでの議論でほぼ間違いないであろうと思われる対策方法を挙げてみることにします。
コロナウイルスによる感染症のほとんど(8割くらい)は軽症で治癒します(中には感染していたことすらわからないこともあるようです)。ただし、高齢者や基礎疾患のある患者さんは肺炎が重症化し死亡する可能性があります。
ほとんどの場合、初期症状は風邪と同じで、発熱と気道の症状(咳や鼻)など一見して区別が困難なものしか見られません(ただし、非常に強い倦怠感、だるい、しんどいという症状が強いという特徴があるようです)。
コロナウイルス感染後、肺炎になるまでには比較的日数を要します(1週間前後が多いようです)。
予防策としてもっとも重要なことは、人混みをなるべく避けるということです。特に、換気の悪い密閉空間で、多数の人数が集まる密集場所で、間近で会話や発声する密接場面という三密空間を避けることが非常に大切です。
例えば、お花見を少人数で開きたいというような場合を想定すると、屋外で風通しの良い場所で、少人数で、過密な配置にならず、弁当や料理を共有せず、顔を突き合わせて大騒ぎをしないという条件が揃うよう配慮すれば、さほど自粛せずとも楽しんでいただけるのではないかと思います。
単に一人で外を散歩するなどの際にはマスクはほとんど不要であると言っても良いかもしれません。周りに誰もいない空間をウイルスが漂っている訳ではありません。色々なイベントでマスク着用を義務付けられることも多いと思いますので、その時まで温存しておいてください。
ただし、我々のような弱小医療機関はさておいても、第一線の感染対策医療機関ですら防護具は供給が不安定であると言われていますので、無駄に使用することはなるべく避けてほしいなと思っています。
同時に巷間言われている、イベントを自粛で中止した場合の補償の問題は積極的に対応策を考えて頂きたいものです。正直言って、まだまだトンネルの抜け道はかなり遠いのが現実だと思います。息切れしたり、ストレスにやられたりすることのないように息の長い対策を考えて行きましょう!!