7月26日 月曜日

知り合いの(医師ではないが、半分同業者のような)方に治療をする機会があった時のことを書いてみます。ある細菌感染症が疑われたため、抗生物質の点滴をして治療をすることになりました。お仕事柄、薬品の名前などもよくご存知でした。私がこのお薬でいきましょうか・・・ということを話すと、「一番良いやつでお願いしますね」という意味のことを仰いました。このニュアンスがうまく表現できないのですが、何となくちょっと誤解されているのかな?という印象を受けたのです。抗生剤には良いものとか悪いものとかがあるわけではありません。Aという薬剤はBという細菌に効果があるとか、Cという薬剤はBには効かないけどDの細菌はターゲットにできるとか、あくまでも標的とする微生物にどの程度の効果を有しているのか(スペクトラムと言います)という事実が存在するだけなのです。当然薬剤には公定の価格がありますので、高価なお薬もあれば安価なそれもあります。しかしながら価格もまた薬剤の良不良を推し量るものではありません。あるのはひたすらどの標的にどの程度の効果があるのか?というファクトだけなのです。たとえCがAよりも良い(高価)としても、Bという細菌感染症に罹患している方にとっては、CよりもAの方が望ましいのです。それどころか、いわゆる”高い薬”を濫用して、抗生剤に耐性を持つヤバい細菌を生み出してしまうという皮肉な現象すらあるのです。例えば、夏の台所の風物詩でもある(?)私たちに蛇蝎のごとく忌み嫌われている茶色の昆虫「GKBR」について考えてみましょう。発見した時に、よく効くアレを持って来て!と言われて、水鉄砲を持っていくと呆れられるでしょうけれど、さりとてそこにライフル銃を持っていっても副作用の害悪が懸念されますよね。それと同じこと・・・コレは例えが悪すぎるかな。まあそんなことですよ。もう随分と古い時のことについて、ちょっと思い出したので今日のお話の素材にしてみました。それでは本日も皆さん良い1日をお過ごしください!