6月11日 土曜日

感染症を診断するときにチェックする項目に白血球数というのがあります。血液の中に存在する”戦う細胞”です。感染症による発熱などの時にはこの細胞たちが先頭になって微生物掃討作戦を繰り広げているのです。そこで発生するサイトカインと呼ばれる物質などがその時の発熱の原因になったりしています。発熱は自分の身体が頑張ってくれている証でもあるのです。血液検査をすると白血球の中の好中球と呼ばれる細胞の数が増えているのが確認できるわけです。因みに戦う相手がウイルスの時には通常好中球ではなく、リンパ球が先頭集団の中心となります。戦闘細胞たちはそれぞれに得意とする相手があるのですね。いつも診療中に緊急採血検査結果で弾き出される、感染症の患者さんの体内に増えている「好中球数」を見ながらふむふむ・・・と考えています。戦闘態勢になると戦う細胞を急遽前線に動員しているということです。しかしこの動員されている細胞くんたちは・・・最近血液中に駆り出された若手兵士ということを意味しています。熟練兵とか壮兵・老兵はすでに戦場にいてどんどん失われているのです。血液細胞はその前駆細胞から順を追って成熟していくのですが、その成長過程を医学のテキストでは、左から順に矢印で書いていくものですから、この若い細胞たちが動員されている状況のことを「左方移動」と呼ぶならわしにしています。戦闘集団は増えているのだが、前線ではどんどんと兵士が死傷枯渇しているので、学徒動員となっている状況を見ているような気もします。人間社会の人口ピラミッドを想定すると「下方移動」ということになるのかもしれませんね〜・・・以上、多分医療関係者しか理解できない「なんのことか??記事」にお付き合いいただきありがとうございました。それでは皆さん、ヨキ1日を〜!