4月3日 水曜日
いつの頃からでしょうか。自己責任という言葉が語られるようになり、規制緩和、既得権益を見直すという方針とセットで、いわゆる新自由主義的な社会の方向性が主流になっていったように思います。かつての住専処理問題でノンバンクが倒産し、メインバンクはそれではいけないと護送船団方式とも呼ばれた公的資金注入で救済されました。そのトラウマもあってか、その後の小さな政府、自己責任社会に突入していったように思われます。社会人として私がすすんできた、まさにその時代の生き証人でも、我々はあるはずです。現在大きな問題となっている、トクホと機能性表示食品の違いもまさにそこに関わることなのかもしれません。企業は自分たちが作り出す商品に、様々な付加価値をつけることで商品価値を高め、売り上げを伸ばそうとします。企業の経済活動が盛んになれば、国民の生活も潤い、税収も上がり、国民と企業と国が三方よしとなるというのが理想的な想定設計図であったのだろうと思います。機能性表示食品は、トクホで定められたような基準の取得に際しての査読論文データとか、大きなサンプルでの試験や、申請後の消費者庁での検査なしに、企業が所定の手続きを経れば、届出のみでそのタイトルを謳うことができる立て付けになっているそうです。悪くいうと言うたもん勝ちの世界かもしれません。何せ官庁の実質的な審査がないのですから、企業は正直で善であると言う建前でなされた制度設計とも言えるのはないでしょうか。今回命を落とした方もおられるようだとの現状を踏まえて、消費者・食品安全担当大臣は「制度の検証が必要だ」と仰っているようです。そして、全ての機能性表示食品の緊急点検を行うと表明されています。結局制度設計の時に想定されていた、性善説に基づく部分が破綻しつつある現状です。何かの規制というのは、必ずしも誰かの既得権益を守るためにできてきたものではなくて、私たちの社会が、自分たちの身を守るために一つ一つ考えて構築されてきたものであるという見方をする保守主義的な考え方をする方がおられます。そしてそれはいっときの賛成反対の多数決のみで簡単に崩していくのではなく、丁寧に吟味しながら、歴史的な経緯を尊重して評価していくのが良いのではないだろうかと仰います。最近の政治を見聞きしていると、保守主義と位置付けられる党派の方ほど、既得権益を打破して、改革を行わなければならないという論陣を立てておられる方が多いように思います。今回のことは、その矛盾を浮き彫りにしているのかもしれないなと思いました。私たちもよーくその辺りの制度的なことを知っておかないと、痛い目に遭うことがあるかもしれないっていうことなのでしょうかね・・・しらんけど。
今日は一日雨模様のようです、昼からおそと・・・大ぶりにならなければ良いのですが。