10月20日 火曜日 あめ

ヨーロッパではまた新規患者数が増加しているとのことだそうです。冬場のかぜシーズンを控えて、なかなかに身体に応えてくるニュースですね。科学論文雑誌の頂点の一つでもあるランセット誌のcorrespondenceには若い世代の人々を中心にした集団感染による集団免疫での危機回避を否定する論文が発表されています。感染を発症しても比較的軽症で元気な若者たちがたくさん感染することで、感染症に対する集団的な免疫を獲得して、社会全体が守られるという概念を集団免疫と呼ぶならば、それは現在のところ説得力不足であるという主張です。まずは一度感染すると二度と感染しないということが実証されていないというのが理論的背景にあります。実証されていないどころか、二度目の感染の報告がすでに存在しています。感染後の長期的な後遺症の問題もまだ決着がついておらず、若者が無症状や軽症で治癒したからといって安全であるとは言い切れないのです。また、軽症とはいえ感染者が多数発生した場合の社会的負荷は非常に大きいものが予想されます。保健所などのお仕事だけでなく、一時的に医療機関にかかる負担は無視できません。コロナ関連の疾患だけではなく、その影響は他の重大な病気への対策を遅らせてしまうことに繋がりかねません。最近はGotoキャンペーンも行われており、周辺でも社会における警戒が解かれつつあるなという感覚を持つことが増えてきましたが、今回の論文は今一度耳を傾けておくべき主張であると思いました。ロックダウンのような状況が繰り返されると、人々の精神は病み、経済にも大きな負の影響が起こります。誰もが避けたい状況であることに変わりはありません。だからといって急ぎ足で対極的な施策に飛びつくのではなく、現状ではベーシック(敢えてそう呼びますが)な考え方に立ち戻るのが良いのではないかと考えています。

すなわち・・・find, test, trace and isolate(発見し、検査し、追跡あるいは分析し、そして分ける)ということですね。医療従事者である私もその考え方に従って行動し、今冬の医療活動に備えたいと思っています。

 

今日は国立国際医療研究センターの大曲先生がゲストです。京都ではリアルタイムでは聴けませんので後から音源をどうぞ!(ラジコなら聴けますよ〜)