6月8日 火曜日

ひょんなことから心理学者の故河合隼雄先生の最終講義をお聴きすることがありました。約30年前の大学退官の際の京都大学でのものです。講義の題目はコンステレーションです。言葉としてその意味は「星座」です。一つ一つの星がたまたま偶然の配置を伴って一つの形を作っている。そこに人間が意味を見出して名前をつける。そうして一つ一つの意味を持たない存在が集まるとやがて何か大きな意味を作り出すということです。人はものごとの意味がわからないと安心できないということや、この世の色々な出来事に因果を見出そうとすることなどを説かれます。自分(私)と世界の中に境界線を引いて眺めるのではなく、無意識に引かれるその線を取り払う必要があるのだと仰います。物事に因果を見出すことついて、ポジティブな意味もあるのですが、あまりそこに囚われすぎるのも問題だという二面性に注目する必要があるということも大事な提言だと思いました。ある困った人に相談を受けている場面を想像してみましょう。その時に、じゃあこうしましょう!とか目に見えるすぐそこに飛びつける手を差し伸べてあげることは重要なことかもしれませんが、先生は、そこには与してはならないと説かれます。与してはならないとは言い過ぎですが、まずはそこに重大な関心を持って困った方の心にできる限り寄り添う(?)ことが重要だと仰っているように思います。気持ちや心は全面的に関わっているのだが、関心を寄せていながらも、外見的に直接的に関わらないことの意義を強調されています。子育てもそういうことありますよね、子供の気持ちを全力で理解しようとしているのだけれど、あーだこーだと口出しを敢えてしないというやり方。確かに「〇〇ばっかりしていると□◆になってしまいますよ!!」っていうふうに自分の子供に言ってしまったこと、一度や二度ならず思い当たることがありますね。そんな安易な因果関係で物事を考えることの弊害を教えて頂いたような気がしています。時間がないのであまりにも要約しすぎて書いていますが(相変わらずの悪文です・・・今回は特に、時間がないのでお許しくださいね)、ご興味のおありの方は、先生のご著書、もしくは動画を検索して一度ご覧になってください。平易な言葉で話しておられる先生の講義に引き込まれることは間違い無いと思います・・・。40分間、手柄話もなく、感情的になられることもなく、ただ淡々と語られる、まさに伝説の名講義です。

では今日も、お元気で良い1日をお過ごしください!