6月25日 火曜日 曇り
晴天続きだった梅雨にもようやく”らしい”天気が戻ってきました。在宅診療をしておりますと、時にグループホームであったり介護施設の患者さんを診察する事があります。グループホームと言えば、今年の2月でしたか、長崎市の施設が火災に見舞われて5名の入所者が亡くなるという痛ましい事故があったのをご記憶の方もおられるのではないかと思います。現在グループホームと言えば一般的には、介護保険制度の中で全国に広がった、いわゆる認知症高齢者型グループホームを指します。全国に1万を超える施設があるそうですが、高齢化の進む我が国では認知機能の低下により独力では生活できない方が、病院以外で暮らす事ができるという、非常に大切な役割を果たしているものです。そのような中で、先般の火災事故を契機として、全国の施設を一斉に点検して、安全性に不備のある施設に現在行政指導が入っていると聞きます。何故この話題なのかと申しますと、小生の心のメンターでもある池田市にある浄土真宗本願寺派如来寺の住職をされている釈徹宗先生が運営されているグループホーム「むつみ庵」にも行政指導が入り、対応に苦慮されているという記事を目にしたからなのです。もともとお寺の裏にあった檀家の空き家を利用して開所されたこのむつみ庵、築40年の古民家を改修して作られており、敷地内に畑があったり、床の間でお花を生けたり、利用者が皆”我が家”のような感覚で住まわれているといいます。もちろん設立当初もその後も行政機関と折衝を重ねて法令遵守して作られたものではあるのですが、今回の火事を契機として、壁と天井を耐火仕様の素材に変更せよという命が下っているそうです。釈先生はそれこそホームの閉鎖を考えるところまでいかれたそうですが、何とか改修存続の方針で動いているとの事です。曰く、『グループホームは、認知症の方々が、家庭的な雰囲気のもとで介護を受けながら共同生活をする場で、ただいまと言って帰る事のできる里親ならぬ里家』になればよいなと考えておられるようです。池田モデルを目指して、防災耐火の機能を備えた古民家改修のモデル作りをしましょうと、行政機関に働きかけているそうですが、なかなか腰が重いそうです。安全性の担保や法令遵守はもちろん大切なのではありますが、壁とコンクリートに囲まれた生活環境が本当に”人としてその最後を全うする場なのか?”という問いかけはとっても重いなあと感じました。それこそ、全国チェーンの企業体には絶対に着想できないであろう内容であります。昨今もてはやされている”イケてる経営者”をチヤホヤするのもよいですが、こうして地に足をつけてじっくりと本当の意味での介護を考えながら運営されている施設にももっと光が当たれば良いなあと感じた一日でありました。『介護の世界にも文化は必要なんです!!』
もう毎日毎日”株価がどうなった”とか”投資ファンドがどうだ”とか、無粋なニュースばっかりトップで報道するのやめましょや〜 すべてはうたかたの夢でありましょう・・・