7月14日 木曜日 晴れのち曇りのちにわか雨(どしゃ降り)

小生、一応外科医の端くれである。朝の9時から夜中の3時頃まで飲まず食わずで、ずっと立ちっぱなしで手術をする(あ、これは時々ですよ)。何も傷のない真っ白な人さまのお腹にメスを入れて、病気を取り除いた後に一針一針丁寧に皮膚を縫合してその手術を終える。「ありがとうございました」と宣言して、汗のにじんだ帽子を脱ぎ捨て、ゴム手袋を自分の手からむしり取ってゴミ箱に入れる・・・。そんな生活をかれこれ20年近く続けていたのだ。時々思い出すのは、医学部学生実習のころの経験である。ポリクリ・・・と言われる、臨床病棟実習を5年生から6年生にかけて行うのだが、当時の第一外科(イチゲって呼んでました)の実習で、術後の患者さんの回診に同行していた時の事である。患者さんの傍らに腰をかけた教授が、にこやかに何かを話しかけながら、手をいそいそと動かしているのだ。何してはるんやろう・・・?と思って、ちょっと背伸びをして覗き込んでみると!何と、患者さんの衣服が開かれた腹部には、あみだくじよろしく、線路のように規則正しく縫合された糸が並んでおり、その脇から、な・なんと!管がニョキニョキと2本突き出ているではないか。その管の周りには、(今はもう使われなくなった)焦げ茶色のイソジン消毒液が同心円上にグルグルと塗りたくられているのだ。そもそも・・・お腹からあんなものを突き出して、あの患者さんは何であんなにニコニコしていられるのだろう!?。そう考えた小生は、その途端にクラクラとめまいがして、その後なんだか胃の底からこみ上げて来たムカつきに、おそらく真っ青な顔をしていたのであろう、指導医の先生に「伊藤君、ちょっとこっちで休んでおくか?」と言われて、戦線離脱を余儀なくされたのである。懐かしい、学生時代の思い出である。事あるごとに幾度となく思い出すのだ・・。

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血液をみて、時々思い出すのは小学生の頃だろうか?学校の図工の授業で版画彫刻をしていた時のことである。一生懸命に木版に彫刻をしていた私は、力余って自分の左手人差し指に刀を刺してしまったのである。何思ったのか当時の私は、その怪我を隠して、にじみ出る血液を他の指で握り込みながら作業を続けていたのだ。なんだか、自分がとっても悪い事をしてしまったような気がした事を覚えている。できればこの事を隠し通して授業が終われば良いのに・・と思いながら版画を続けていたのだが、あえなく担任の先生の知れるところとなり、何で黙ってたの?!などと怒られた(ような気がするが、その辺りの記憶は定かではない)のだ。指で押さえる傷口からは、容赦なく溢れ出てくる血液が机の上ににじみ出し、それを指先で消し去ってしまおうと思いながらこすりつけると、血液は幾筋かの斜線の模様のように残ってしまうのである。『水はすぐに蒸発するのに、血液って簡単に消えないものなんだな・・、それからこの傷、全然痛くない!!』と思ったのがその時である。と同時に、今になって考えてみると『子供って、大人が考えつかないような突飛な事をしでかしてしまう生き物なのだな』って思うのです。だから未だに、なんだか訳の分からない、理屈の通らない事をついやってしまった・・こどもを見ると、なんだか愛おしい感情をもってしまうのです。

皆様にはなんだか良くわからないであろう・・小生の心の闇ブログでした。