6月30日 火曜日 雨

今年もはや折り返し地点を過ぎた。外来では高熱を出してのどを真っ赤に腫らせて来られる患者さんがぱらぱらと。このような症状の病気には例えば溶連菌感染症とか、アデノウイルスとかEBウイルスによるものだとか名前のついた病気が幾つかあるのだが、正直言って迅速診断キットを駆使しても最終的な結論に至らないものも多くある。正直にはっきりと病名は分かりませんが・・・という前置きで患者さんに説明することも多々あるのだが、つまるところ診療所の外来で一番大切なのは、見逃してはいけない疾患をいかに見逃さないか・・・ということに尽きるのではないかと考えている。その意味で言うと、風邪のひき始めかと思って早めに病院に来ました・・・っていうのはあまり賢い判断ではないのである。なぜなら、見逃していけない病気とよくある病気は初期の段階では判然としないことが多く、ある程度の時間経過とともに顕在化してくるからである。始めの症状が出現してからおよそ48時間後に重症化の端緒が見え始めるとして、始めに中途半端な対症療法をしてしまうと48時間をみすみすやり過ごしてしまう可能性があるのである。そもそも風邪ウイルスを早期に食い止める方法があるのかと問われるととても難しいのである(と、正直な医師ならきっとそう言うと思う)。そんなこと仕事の合間に今日は考えてました。

みぞの鏡

夜たまたまテレビをつけていると・・出ました!番組改編期によくみかける「スーパードクター◯◯」とか「神の手◯◯」モノ。まあ紹介されているお医者さん達はとってもすばらしい方々ばかりなのだけれど、世間の医者って神の手を持つ人と悪魔の手の人に二分されているわけでもなく、スーパードクターとそうでないドクターに二分されているわけでもないのです。あることはメッチャ得意だけど、その他は苦手な医者がいたり、だいたい何でもそこそここなすことができるけれど、ものすごく秀でた何かを持っているわけではない医者だったり、あんまり臨床はできないけれど研究は抜群の人がいたり、さまざまなグラデーションとして分布しているのである。そこ、分かってんのかな?テレビのディレクターさん達。まあ番組としてはスーパードクターものとして切り取った方が視聴率は取れるのでしょうけれど、大方の人は地元の無名の医者に診てもらわなければならない患者さん達な訳で。医療情報番組としてはほとんど限定的な役割しか持たないのですね・・。まあ面白いのでついつい見てしまうのですけど・・。なんて思ってたら、ギリシャの財政危機に起因する株安の連鎖を東京株式市場が止めた!とかいうものすごく日本バンザイ俺たちってすごいぜ的なネットの記事に思わず吹いてしまった。そんな経済アナリスト達の記事って未だ読んだ事無いし、そこまで日本経済って底力があるっていう世の評価だったかな・・・って思ってしまった。世の中何が虚で何が実なんだか・・惑わされないよーにしなきゃ、みなさんそれぞれ真実の鏡を持ちましょ。