12月26日 月曜日
「とにかく早く医療機関を受診してください」で締め括られることが多いですよね、テレビの健康番組って。それが一番無難であるからなのでしょう。今流行りのPC(ポリティカル・コレクトネス)っていうやつです。ちょっとゆとりを持って・・などというと、何か後でクレームがくるかもしれないので心配。私がディレクターならそう考えます。実際の番組もやはりその通りに締め括られます。風邪はひきはじめが肝心、とかよく耳にしますがそれは果たしてどういう意味なのでしょうか? さて、ここから先は読んでくださる対象の方を二つに分けて考えなくてはいけません。一つは2−3歳以下の子供さんや、65歳以上の方、あるいは心臓・呼吸器・糖尿病・がんなどの臓器疾患をお持ちの方。もう一方はいずれにも該当せず、日頃お元気でお過ごしの方。前者に属する方は、やはり早め早めの受診が望ましいでしょう。ただ子供さんであっても、いわゆる流行期の胃腸かぜで、発症後早期でありさほど脱水症状によるぐったり感のない場合には少し猶予があると考えてください。お元気な方の場合には、早め早めに行ったがために、病院の待合室で隣り合わせた他の人から本物のインフルエンザをもらってしまう・・何ていう笑えないことになってしまうこともあるのかもしれません。医師の立場からすると、いわゆる普通の風邪が受診が遅れたためにインフルエンザに切り替わる訳ではありませんし、それなりに風邪症状の初期の段階で自己養生(十分休養を取って社会活動を控えて療養すれば)すれば、肺炎に至るようなこともまずあまり考えられないのでありますから、早めの受診というのが必ずしも全ての場合に当てはまるものではないと考えています。
病院経営者の目線で考えると、この内容を病院のホームページに掲載するというのは、やや(かなり)勇気のいる事柄なのです。小生は、いくら保険医療の財政が危機で逼迫していようとも、むやみに自己負担率(窓口負担ってやつです)を引き上げることには反対する立場なのですが、しかしながら、その立場を主張するのであれば、普段の医療活動をより無駄がなく、必要な人が過不足なく医療を受けることができるように誘導・啓蒙していくことが私たちの義務なのではないかと考えています。う〜む、柄にもなくちょっと今日は、真面目な話題になってしまいました・・・・とはいうものの、皆さんまあそこそこ病院にも来てくださいね〜(^ ^)・・・そこかいっ!!
はじめに触れた、風邪はひきはじめが肝心の意味・・・何となくわかってきましたね。そう、ひきはじめが肝心なので、なるべく水分や栄養を摂ってゆっくりと休んでください。そして、自分の状態がどういう状態なのかを考えて、普段健康な方ならば、”まず受診” から ”まず休養と養生” に頭を切り替えて、それからおもむろに病院受診の必要性について考えてみてはどうでしょうか? まあ、なかなか行うには困難なことだとは思いますけれど・・。これから寒さは一段と厳しくなります。インフルエンザの足音もそろそろ当地にも聞こえて来ているように感じています。年末年始を控えて、皆さんが健やかにお過ごしくださいますように・・・。