京都府与謝郡与謝野町 内科・外科・リハビリテーション科・在宅診療 いとうクリニック

ふくろうくんのブログ

stay calm

8月2日 日曜日

梅雨明けした(ですよね?)途端に、猛暑日とかいう単語が飛び交っております。暖かい季節には感染症は広がらないのではないかというわずかな期待も砕かれつつある最近です。管内でも感染者が発生しています。今後も状況に応じた対応をしていかないといけないですのでまた考える日々が続きそうです。ただし、みなさんがやることは変わりませんので落ち着いて生活してくださいね。①人前ではマスクを ②人との間隔をとる ③換気と密閉空間に注意 ④体調が悪いときにはまずお休みをとる 以上です。ウイルスは屋外の風に漂ってやってくることはありません。人の口から出てきます。ウイルスは自分では増えることも動くこともできません。人が動かなければ拡がりません。よく確認されていない情報に踊らされず、人づてに聞いたことを無闇に他人には話すことはせず、地元で経路不明の感染者が発生している事が判明したときには、いつもの寄り合い集会はひとまず向こう2週間は辛抱しましょう。

さて、今年の10月から新たに定期接種に取り入れられるロタウイルスワクチンです。8月以降に生まれた赤ちゃんから対象になります。針を刺すのではなく、飲むワクチンですね。ぐびぐび飲むワクチン・・・もっと増えればいいのですけどね(実際には1.5〜2.0mlなのでぐびぐびではないですけど)。あとはおたふく風邪か〜、それと9価の子宮頸がんワクチンが定期接種に使用できるようになるとほぼ完璧かなと思います。

お天気の良い日曜日ですが・・・月末月初のおしごとを一人黙々とやることになりそうです。では!

all the way from the equator

8月1日 土曜日

昨日知った面白そうな本「新敬語 マジヤバイっす 社会言語学の視点から」です。まだ読んでませんよ、もちろん。ラジオで紹介されていたのですがなかなか興味深い内容のようです。確かに最近よく聞きますよね、〇〇っす!ていう会話。若者達の間で流行する新語みたいなくくりになるのでしょうけれど、この語法はなんとなく可愛さや親しみの響きがあるように思います。ところで・・・ウナギの生態ってご存知っすか?先日スーパーでたくさん売られていましたが、養殖ウナギの稚魚であるシラスウナギの漁獲量が今年は去年の倍ほどになっているということだそうです。まあ数十年前に比べると激減しているので、絶滅危惧に挙げられているのですが。謎に包まれていたウナギの生態もかなり解明されているそうです。グアム島に近いマリアナ諸島の海域が産卵場所らしく、そこで孵化したレプトセファルスと呼ばれる幼生は赤道の海流から黒潮に乗って日本周辺の海域にやってくるのです。ここで黒潮の海流に乗る事ができるかどうかが彼らの運命を決めるようで、不幸にしてそれを外れると死滅してしまうとのことです。半年くらいかけて大きくなりながら、約3000海里もの長旅を生き延びてやってきたシラスウナギたちは捕獲され養殖されたのちに私たちの食卓に並ぶわけですね。無事成長した野生のウナギはまた産卵のためにその道筋を戻っていくということなのでしょうけれど、オスとメスがどのようにして巡り合って、どうやって回遊していくのか・・そのあたりの生態はまだよくわかっていないのだそうです。なんだかロマンを感じる話です。大事にしないといけないですね〜自然環境。それでは・・今日は朝からお天気も良いようです、みなさま良い週末をお過ごしくださいっす (^^);

誤情報には気をつけて

7月31日 金曜日

感染拡大の傾向を示す報道がなされています。地元保健所管内でも米軍基地内からの感染者が報告されています。それに関連して心無い噂の拡散で心を痛めておられる方がいると聞いております。感染者が利用されていたという誤情報に基づいて、民間経営の宿泊施設に対する誹謗中傷が拡がっているということだそうです。きちんと感染対策などにも留意して運営されていたようですし、今回の感染症との関連も特にないとのことで施設の代表の方は誤情報の拡大をやめて欲しいと訴えておられます。経営されているご夫婦やその子供さん達は、心無い噂で大変な心労を受けておられるようです。たとえ他人のつぶやきをリツイートするだけでも法的に責任が問われた判例もあることからもわかるように、デマの拡散については有罪と判断されることがありますので注意が必要です。人づてに聞くお話に安易に飛びついて信じて他人に伝達する前に、一呼吸置いてそれってほんとかな?って考えるようにしたいものです。健康ネタでも荒唐無稽なことを患者さんからお聞きすることがよくあります。何気ない会話から人は影響を受けやすいものですね。身近な人たちをターゲットにして、噂話の餌食にしてしまうことはやめて、もっと行政のやることに目を光らせましょう。私たちの託した一票が適切に暮らしを良くするために公正公平に履行されているのかということにこそ批判の矛先は向けられるべきです。上(っぽいもの)にはペコペコ、下には偉そうにする文化からそろそろ卒業する時ですゾ。

聞くと旅館の経営者は、当地を心から気に入ったということで移住して起業されたという方ではないですか。なんでそんな人たちに辛い思いをさせるようなことをしてしまうのでしょうか・・・悲しいです。

あ、それから昨日見たことないって書いたマスクですが・・・昨日の外来でとうとう一人目に出会いました。「それ、配布されたやつですか?」って尋ねたら、めっちゃ笑いながら「そう!これアベノマスクね」って教えてくれました。その後診察室は笑いの渦に・・・これも一つのマスクの効果やなと思い電子カルテに向かったとさ・・・(完)

 

unpromising economical outlook

7月30日 木曜日

本当に時間がすぎるのはやいです。ところで、むちゃくちゃ真面目に言いたいのですけど、未だに配布された布マスク(らしきもの)をしている方に出会ったことがないのです。別に何かを揶揄しようとか、反体制的な主張をしようとか、そういう意図はまったくなくて、純粋にあれを装着した患者さんにお出会いしたことがないのです。これはちょっと驚きです。配られたやつ、今頃どこでどうしてるんだろう。洗ったらちょっと縮んでちっちゃくなるとか、喋ってるうちに下にずれてくるとか、色々な噂を小耳にするのですけど。実際には見ないのですよね日常で。一般に販売されているのは滅菌密封された包装で店頭に並んでいるのですが、配布されているのは比較的ルースな感じで収まっているので、やや清潔感に乏しい感じがするのも良くないと思います。追加で配布するならそういうことも考慮してはどうかと思います。まあそれ以上に自分たちで作ったマスクとかが浸透しているのでしょうかね。なんとも先の見通せない今日この頃です。四半期決算がぼちぼち発表される時期となりましたけど、やはり大方の予想通り厳しい数字が並んでいるみたいですね。ANAが四半期決算が過去最低となることを発表したというのを耳にしました。観光・飲食店だけではなく、病院も小売業も軒並み窮地にさらされているようです。そろそろGAFAの決算も出る時期なのでしょうか、ちょっと世の中恐ろしい状況になっています。びくびく・・・・

When I was a high school student.

7月29日 水曜日

ぼちぼち新しい構想が固まりつつあります。アイデアとお金のはざまで悩む経営者の心境からやっと脱出できるぞ・・。ま、そんな大げさなものではないのですが。ささやかにではありますが色々と考えております。一方で5年前頃に抱いていた大きな夢にはちょっと蓋をしつつある今日この頃です。あ・・夢って簡単に書いてしまったけれど。最近ようやく出会えたなっていう著作のことを書いておこうと思います。「ドリーム・ハラスメント 夢で若者を追い詰める大人たち」という新書です。いつか誰かが書いてくれるかもしれないな〜って思い続けていたテーマのドンピシャに出会うことができました。高校三年生の頃から心の片隅にくすぶり続けていたことにピリオドを打ってくれました。ありがとう高部さん。あなたの「夢」は何ですか?で始まった進路指導個別面談で抱いた心の中の屈折は、その後も私の頭の片隅に引っかかり続けていたのです。その問いかけによって「夢なんて、別にないかな・・・」と感じていた当時の私の心に何となく窮屈な気持ちが芽生えました。そもそも文学部を志望していたのですけど、気づくとなぜか理系を選択してしまっていた自分にできることの選択肢があまり残されていなかった私は、迷うことなく消去法でその後の進路を選んで行ったのであります。当時の花形はというと、工学部電子工学科とか航空工学科とかでした。けどそのどれにもほとんど興味を感じられず、理学部動物学科に惹かれていたのですが、K大は難しそうだしな〜とか漠然と考えていて、挙句には建築工学科なら何とか自分の興味も繋いでいくことができるかなとか色々と思ったのです。でもいずれにも決断できず、最終的にはメジアンだったか4ステップだったか?いずれにしても数研出版の問題集に出ていた母校(となる)大学の問題を、たまたま綺麗に解くことができたということだけで、みょ〜な自信を持つに至った無謀な高校三年生は医学部への道を志したとな・・・。でもほんと、夢を持つことを押し付けるのはやめてあげてほしいなと心から願います。仕方なく選んできた道で、苦悩しながら華々しい成果をあげた人物とか普通に一杯いると思うのです。というか、むしろ成功者の伝記って読んでみると、何だ偶然の産物じゃん・・って思うこと結構多いですよね。それでいいんじゃないかな、人生。なるようになりますよ。神経を研ぎ澄まして、大人(カッコつき)の言うことなんかに耳貸さずに、自分が好きになれそうなことを探すことに集中するノダ。肩の力抜いて、のほほ〜んと頑張るんだ若者たちよ!

もーでるな??

7月28日 火曜日

新型コロナウイルスワクチンの開発のニュースを目にしました。以前にも触れたことがある米国Moderna社のmRNAワクチンです。現在第3相臨床試験に入ろうとしているようです。実際に多くの被験者に投与して、実際に疾病予防効果があるのかどうかを検討するという、いわば最終段階の試験になります(最終段階とはいえ、これが最大の難関なのですが)。他にもたくさんの開発がなされていると思いますので今後の成果に期待したいと思います。mRNAワクチンとかDNAワクチンは現在定期接種で利用されているワクチンと異なり、ウイルス関連のタンパクを投与するのではなく、病原タンパクが作られる元になる遺伝子そのものを接種するというものです。最大の利点は大量生産が短期間で可能であるということでしょう。ぜひ早期に実現されると良いですね。先日森田先生の講演で知った、ソニーコンピュータサイエンス社の船橋真俊さんのお話を聞いてみました。共生農法の開発提唱者です。農法というとまず土を耕して、畝を作って一品一品の品種のタネを蒔く・・みたいなイメージかと思います。彼の農法はそれと正反対で、選りすぐりの何か一品の品種を育てるという概念ではなく、多種多様なものを共生させる形で作っていくというもののようです。実際にブルキナファソというアフリカの国の砂漠を密林に変えてしまったという実績の持ち主でもあります。考えてそれを自分で実行する・・の塊のような人ですね。机の上で考えて、パソコンを叩いて、次の日には作業着を着て飛行機の飛び乗って実践できる国に入り込んで人々とディスカッションして実行する。カッコ良いな〜自分には絶対無理だけど。ということで、今日もまたちまちまといつものお仕事に勤しむ予定の私です。天気予報では数日先からニコニコマークが並んです・・・も〜来るな、梅雨明け。

サステナビリティ再考

7月27日 月曜日

今日も朝からどんよりです。次の祝日いつなんかな〜って思いながらカレンダーを見てしまった人・・たくさんいると思いますけどね。梅雨明けが待ち遠しいわけですが、裏の田んぼの稲が見事に育っているのにふと気付きました。そうか・・・君ら自粛とか、コロナとか関係ないもんな。オリンピックが延期になったのも関係ないし。地球上の全てのバイオマスのうちにホモ・サピエンスが占める割合は1%以下だそうです。そんなちっぽけな群がのさばっているのが現在の状況ですね。意思も持たず、自分では移動もできない、わずか数十kbpの核酸の塊に翻弄されている人類なのですが、このままの傍若無人さを維持し続けると将来世代にツケを回すことになるのは確実です。ここらでそろそろちゃんとやりや・・ってことなのかもしれないですね。昨日はドーナツ経済学というキーワードを知りました。生活が成り立たない、生きてはいられないという水準を回避するのが最低限の経済、これ以上のさばらせると将来に禍根を残すかもしれないというのが最大限の経済、その間のゾーンで大多数がハッピーに暮らすことができる社会を作るということが大事なのですね。私たちの感覚も、エコバッグからもっと大きく広げていかなくてはいけません。てなことを数学者の森田真生さんのお話で学びました。紹介されていたいくつかの書物をまた購入してしまった・・。ちょっと高かった講演のお代金ですが、聴いてよかった(^^)。森田さんだけではなく、元日銀審議委員の白井さんとか、ソニーのなんとか研究所の船橋さんとか、最近聴いた講演の内容がことごとく地球環境や温室効果ガスなどに関連するものだったので、大いに感化されている今日この頃デス。

ストレスとは

7月26日 日曜日

現在は感染症対策にメディア報道が埋め尽くされているように思います。一方では九州地方の豪雨災害もまだまだ十分な対策ができていないようですし、先日も再び被災地に浸水が発生したとの報道もあります(残念ながら割かれている時間は少ないようですが)。他にも地震はいつ何時発生してもおかしくないと言われておりますし、地球温暖化のような長期的視野で対応していかないとけない問題もあります。なかなかに悩ましい課題山積の社会です。このようなストレス社会では、先日も述べましたように、ある程度楽観的に物事に対処していくことができる能力というのは結構大事だなと思います。急に楽観主義者になれと言われてもそれは無理ですので、ことはそう簡単ではないのですが。日常よく耳にする「ストレス」という言葉ですが、臨床でも結構自分の口をついて出てきているなと感じています。自戒を込めて申しますと、やや安易に口にしすぎているなと反省しています。そもそもストレスとは・・・自分の意識の範囲を超えて感じている負の心理状態であると思いますので、〇〇がストレスで・・というのは、語義矛盾があるのですね。それは悩みごとかもしれないのですが、ストレスであるとは言えないと思うのです。日常会話でみなさんが話される内容にどうこういうつもりはないのですが、私たち医師が患者さんと交わす会話の中でその言葉を用いる時には十分注意が必要であると思っています。免疫力が・・・とか、自律神経が・・・とか、ストレスが・・・ということを根拠なく言ってしまうのは避けねばなりません。でも一般的にはそういう説明をした方が良い場面も多々ありますので・・まあそれほど目くじらを立てなくても良いかなと、急に楽観論者に変化してしまう私です。でもホントに、ストレスは自分で認識していないところで牙をむいてくるので怖いです。はー毒にも薬にもならない当ブログを読んでいただきありがとうございます。それでは・・・

連休最終日、みなさんお元気でお過ごしください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日のおまけ

まだ大丈夫

7月25日 土曜日

当方4連休ではありませんので、今日はお仕事です。開業医の仕事って、それほど毎日イベント的なものがあるわけではなく、地道にやることばかりです。今日どんな患者さんがいらっしゃるのかなんて初めからわかっているわけではありません。当たり前です。なので、体調がすぐれずにうだうだしている日に限って、予想外の対応をしなくてはいけなかったり、忙しかったりしてちょっと大変な思いをすることもあります。どちらかというと毎日コツコツ積み上げていくという印象の毎日です。皆さんは・・ムッチャやるタイプ と コツコツやるタイプのどちらでしょうか?私は圧倒的に後者です。ムッチャやるタイプの方は天才的だったり、直観力にすぐれていたり、楽観的なという要素と親和性が高そうな気がします(特に根拠やエビデンスはありません)。そうだとすると、私は平凡で、鈍感で、悲観的な人物ということになりますね。あながち間違っていないような気がします。ところで、4連休の街中はどのような感じなのでしょうか。医療体制はまだ逼迫していないので・・と仰るのですが、逼迫したらその時点でアウトなので、それは大丈夫な根拠たり得ないと思います。病床数はこれこれで・・と仰るのですが、実際のソフト(人的・物的)について語られないのが気になります。第一波で首都圏や京都市、大阪などの入院患者に対するケアをした医療機関従事者は相当疲弊したと思いますよ。それをもう一度というのは何としても避けねばなりません。N95に限らず、医療用マスクは未だに開業医レベルには卸からは入ってこないという現実をどう捉えれば良いのでしょうか?患者数がどうだとかいう速報はあまり気にしていませんが、対策が万全なのか?という問いに実感できる答えが得られていないというのが、今の率直な感想です。また悲観的な内容になってしまった・・・心理学者の間では、楽観的な人間ほど成功しやすいというのは定説になっているようです。では悲観的な人間はどうするのか?それなりに対策があるようですのでちょっと研究してみよっと。

では雨の週末、さんみつを避けて過ごしましょうか・・・good luck!

とりいそぎ書きますが

7月24日 金曜日

嘱託殺人の容疑で医師二人が逮捕されました。そのうちの一人は元厚労相技官であったこともあり事件は大きく報じられています。患者さんは筋力低下は相当にあったようですが、生活支援などを受けており、メールの送受信などでのコミュニケーションは取ることができたようです。医師らは主治医ということではなく、患者さんとはSNSでつながりを持っていたようです。詳しくメディアをチェックしていないので、それ以上の詳細な内容については存じません。第一報を聞いた私の感想は、ただただ怖いことが起きたなということでした。ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、進行性に手足や喉、舌、呼吸をする筋肉が衰えてきて、嚥下や呼吸にも困難が生じてくる病気です。病状は進行していても、思考や知覚や内臓機能は維持されていますので、栄養と呼吸療法をしっかりと行うことができれば長い期間生きることもできます。前回の衆議院選挙でも同疾患を患っておられる方が立候補し当選されたことは記憶に新しいところかと思います。私自身もこの疾患で在宅療養をされる患者さんを受け持っていたことが幾度かあります。まずは今回の事件を聞いて私が感じたことは、こういった難病を持つ方は病苦や将来の不安、家族への負担を苦にして困っている存在なので、”健常な”私たちがなんとかしてあげないといけない存在である・・というようなステレオタイプが一人歩きしてはいけないということでした。適切に必要な支援を受けながら、毎日を過ごしておられる患者さんや支えている家族はたくさんいらっしゃいます。先ほど申し上げた危惧は、ややもすると病気の方はかわいそうで、私たちはそれを何とかしてあげる立場の人、というような上下の関係を持って語られることと言い換えても良いかもしれません。もう一つ感じたことは、これをきっかけに安楽死・尊厳死議論が語られ始めるのだろうなということでした。すでにその兆候は見え始めています。世界初の安楽死法制化を行ったオランダでは、そして過去の事件における日本の司法においても、安楽死の条件が示されています。大まかには以下のようなものです。医学上不治の疾患で死が迫っており避けられないと判断されること。患者が耐え難い身体的、精神的苦痛に苛まれていること。苦痛を除去し得る手段が他にないこと。明示された患者の意思表示があること。今回の事件は死期が迫っていることや、代替手段が講じられたか否かについて大いに疑問があるので、安楽死議論の俎上に載せることすら憚れるものだと考えています。ましてやその議論を政治家が口にすることにはおおいな違和感があります。議論をすることがいけないのではありません。この事件を端緒に口火を切るということがナンセンスであると申し上げています。ましてや政治の役割は、まず第一義的には、病気で困っている人であっても生きづらさを感じることなく過ごしていようと感じられるような社会を作ることであると思います。このような事件と絡めて安楽死の議論を深めていこうという発信をするのは、あまりにも現在の当事者である患者さんや家族に対して配慮を欠いていると思います。議論はすればいい、しかし今回のような事件、ある意味優生思想に繋がるような背景を持つ事件と関連づけるのは筋が悪すぎると思いました。過去に裁判がなされた安楽死をめぐる事件では、東海大学でも川崎協同病院の事件でも、主治医と患者の関係があって、そこで色々な葛藤があり・・という文脈があったわけですが、今回はそんなものすらありません。行き当たりばったりの、まことに醜悪な事件であるとしか言いようがありません。とりいそぎ書いてみましたがもう少し考えを深めてみたいと思います・・・。

 

TOPへ