京都府与謝郡与謝野町 内科・外科・リハビリテーション科・在宅診療 いとうクリニック

ふくろうくんのブログ

承認欲求というもの

5月27日 水曜日 晴れ 暑い

人間の性(さが)というものですね・・・。誰かに認めてもらいたいという欲求。”粛々と”というのは今の世の中の一種の流行語のようになっているのですけれど、人生それこそ粛々と生きて行ければ良いのだけれど、そうはいかないのが人間の性。自分はこれだけやっているのに・・・こんなに強い思いを持ってやっているのに・・・。あるいは、これだけやってるのだから、もっと認められてもしかるべきではないのかなと・・・。2、3年前にとある書物で知ったこの言葉、「承認欲求」っていうやつです。いや誰や彼やを指弾したいわけではなく、自分自身がこの欲求にまさにとらわれているなと思いました。いまだにとらわれているのかもしれません。みんなそれだけ頑張っているのだもの・・だれかに認めて欲しいって思うのが人間っていうものですよね。でも本当は、そんな利己的なしがらみから開放されて、利他的に生きる事ができればなんとすばらしいことでしょうか。

今日は午前中の外来診察の後、往診の旅に出ました。在宅医療で色々な人々が演じている役割・・・。そのほとんどは誰にも気にも留められず、讃えられもせず、ただひたすら目の前にあることを淡々とこなしていかざるを得ない・・そんな出来事の連続で成り立っているなと思いました。でも時々帰り際に、患者さんのおられないところで、ご自分の心の葛藤や、納得いかない事など色々と吐露される事があります。そんなことどもをお聞きすると、在宅医療の深〜い闇の部分を感ずるのであります。2025年問題だとか、病床がないから在宅だとか、そんな数の論理で埋め尽くせない大きなものを感ずる瞬間があります。

今日は・・画像の挿入はありませぬ m(  )m  ただひたすら・・・すこし考え込んでおります、小生。

とか偉そうな事言いながら、きのう忘れてたんだ・・・ひとつ大切な事。すみません◯◯さん だめだな・・こんないい加減な事では(ヤレヤレ)。

ブラックボックスを操る職業

5月25日 日曜日 晴れ

暑かった・・・けどお家の中は寒い、っていう日が続いている。往診のお宅も、つい最近コタツをしまわれたっていうのが少なくないのだ。小生もじつは、この2週間以内で暖房っていうスイッチを入れた事が‥‥‥ ある。

そういう環境なわけで・・おそとが暑くてもおうちの中が寒いっていうことがまかりとおるこの季節。不思議だなあ・・・

娘の理科の試験課題につきあっていた。「ブラックボックスを操る職業はどれか?」という問い。ブラックボックスを操るというのはつまり、何かのインプットと、それから出てくる結果の因果がよくわからないということなのである。そこでその問題の選択肢の(3)番目に・・「医師」というのがあった。お父さんの仕事、ブラックボックスな〜ん?という娘の問いかけに、はたと困ってしまった私。ブラックボックスではないというのはすなわち、何かをインプットすると、それに呼応して結果がこれこれと予測できるって言う事なのかな?と考えると、医師は患者さんの症状とその結果の因果について、熟知していてしかるべきなのかなと・・も思うのであるが、私の頭は即座に・・・No!!! 現実はそんなに単純なものではないなと思ったのであります。良くわからない事だらけの臨床・・困ったものだな(泣)。まあそんなのは小生だけの戯言なのでしょうけれどね。

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アメリカウォッチャーの小生として、現在目を離せないのは・・・そう、大統領選挙であります。YouTubeをみるにつけて、そのディベートで両者に投げかけられた質問。イラク戦争が始まった時期に、自分が大統領だったとして、その戦争に参加していたか否か?。ヒラリーは、自分の行った賛成論は誤っていたと答え、共和党対抗馬のジェフブッシュは、いったん自分が大統領なら、兄と同じくやっていただろうと答えたと。でもその後、それを訂正しているという現状(オバマさんは明確に反対して当選したのですけれど)。ジェフブッシュさんは実のお兄さんの始めた戦争を否定するのはさすがに難しいだろうと思ったりもするのですけれど・・アメリカでさえも、こんな赤裸々な話が行われているというのに、翻って我が国ではそのような問題提起すらなされていないという現実・・・。そんなで良いのかしら。

耳のしわはいけない

5月19日 火曜日 雨のち晴れ

はい、タイトル・・・耳のしわはいけないのであります。医学の世界では”フランク徴候”とも呼ばれるものですが、心臓が悪い患者さんに現れるという、耳たぶにたてにはしるしわの事を言います。

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こんなやつです。人間の身体って不思議ですね。耳たぶと心臓・・・つながっていそうにないのに。

 

美しい文章

5月18日 月曜日 曇りのち雨

前回の掲載から約10日間である。その間、世の中色々な事があったようである。政治的な事は話題にすまい、と思っているのだが、それにしては大きすぎる話題が二つ。某政令指定都市の住民投票とか、安全保障の改正とか・・・。小生の意見を開陳するのは差し控えようと思うのだが。まずは住民投票については、あまりの僅差だったので、そのようなことをall or noneで決めてしまわざるを得ない事への違和感。もひとつは、憲法の改正にもつながって行くような事が、何となく流れるように決まって行きそうな予感。いずれも多数決原理のなせる所作である。何に賛成、何に反対かはさておき・・・国会審議で言うと党議拘束なるものを廃止しては如何かと思うのである。党の決めた事に唯々諾々と議員が従うのであれば・・それは総選挙ですべて決まってしまっているのである。それはいかにも面白くないなと思うのだ。だからして、党議拘束なるものは早々に廃止して、各議員が各自の頭で考えて国会で意思表明をすると、そう言う事にして頂けると、議員に投票する際にももっと真剣に考えるようになるのではないかなと思う。組織に埋没する事を嫌って行動した(ように記憶している)小生の考えなのだが、そうでないと面白くないじゃん。同じ政党とて、色んな考え方があって良いのである。そうすると国会の話し合いも真剣なものになるのではないかな。総選挙で、もっと言えば衆議院総選挙で多数をとった政党の、ある一握りの人たちの考えでその後四年間のすべてが決まってしまうのならば・・・国会は要りませぬ。あと、政治課題を勝ち負けになぞらえて、負けました・・・あとはよろしくお願いしますっていうのも違うかなと思う。民の生活を良くして行くためにはこうでなくてはいけないっていう事柄があるのなら、負け続けながらも少しずつ改めるべく粘り強く努力をし続ける素質が政治家には絶対的に必要なのだとも思う、ボクならそういう人に行政を任せたいな。

ところで・・・切れ目のない安全保障っていったいどういうことなんだろう??おそらくseamlessっていうのを日本語訳してるだけなのだろうけれど・・・女性の靴下の話でもあるまいし、切れ目のないっていうのは、むしろ社会保障に使ってこそなんぼのものじゃあないのかなと、医師である小生などは考えるのであります!

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美しい文章っていうのは・・・最近小生がおもうに太宰治の文章はいいなと。女性に語らせたような文章を書かせると右に出るものはいない・・・。かれの著作の最後には必ずと言っていいほど著者年表がついているのですけれど、彼の人生はそのまま受け取ると無茶苦茶です。でも、その文章は美しい・・

 

気になったニュースふたつ

5月8日 金曜日 晴れ〜

お休みはあっという間に過ぎ去って行きましたが、幸い明日からまた週末です。こういうのは良いですね。最近気になったニュースふたつ・・

一つめは今日のインターネットに流れていたのですが、お猿さんの名前に英王室の名前はいかんだろ〜っていうやつですね。えっなんで?と思っていたのですが、ツイッターでは同じような感想を持つ方がたくさんおられました。「おさるのジョージはブッシュ大統領に失礼じゃないの?」とか、結構著名な人々が素早く反応なさっていました。そのほとんどは、そんな事別に気にする事じゃないでしょっていう論調です、モチロン。王室お膝元のBBCのニュースでも取りあげられていたそうですが、本場での反応も??だったらしい。岩田健太郎先生の「これが猿じゃなくてネコとかパンダとかライオンだったら問題なかっただろうに・・」というのが的を射てるように思われました・・。動物に対する差別のこころですナリ。そしてそれがまた世界に伝わり日本人の考え方を貶める結果になったりするのかも・・。命名は変更せずって決定をした大分市の対応は良かったですね。

もひとつ・・・これはちょっと前に話題になって週刊誌でもスキャンダラスなまとめ方をされていましたが。神戸の病院での肝移植の死亡例についての記事です。小生一応外科医の端くれですので、この記事についてはずっと心に引っかかるものがありました。この施設、あまり詳しく知らなかったのですが、神戸のポートアイランドにできた最先端医療を担う医療機関だそうです。院長は肝移植の第一人者である田中紘一先生ですね。でもって、先生の行った8例(だったかな?)のうちで半数が不幸な転帰をとったというのが事の発端のようです。その半数は海外からの渡航患者だったそうですが、本来なら移植のドナーの適応にならない脂肪肝症例だったり、レシピエントが悪性腫瘍であったりというのが問題であったという記事でした。施設のサイトを今回初めて見たのですが、確かに常勤医師が10名弱というのでは、本来チーム医療を必要とする臓器移植医療がうまく行えるのかちょっと不安ではあります。週刊誌の記事では、あまり品のおよろしくない男女関係の事柄にも絡めておもしろおかしい仕立てになっておりました・・・。でもっ!!田中先生って、あまりにも全世界的に有名な、いや有名すぎる生体肝移植の第一人者じゃあないですか。7000例か8000例かに達しようとしている肝移植のおよそ4分の1にも及ぶ症例に関与して来た先生に対する敬意というものを微塵も感じさせない書きっぷりには、逆に驚かされるものがありました。かつて京大には全世界から先生の手術を見学に毎回誰かが来ていたのです。日本に誇る生体肝移植の金字塔を打ち立てられたのは、教授になられてからも毎週病院に寝泊まりしては手術に没頭された田中先生その方なのでありますぞ。確かに、術後管理の不足や人手不足という点は否めないのかもしれませんが、それをKIFMECというその施設の立ち上げの際に、日本最先端などと報道していた方々の立ち位置は免罪されるものなのでしょうか?チーム医療の重要な移植医療がこの人数で可能なのでしょうか?と質問した報道者は果たして何人おられたのでしょうか?医療特区などと騒いでいるだけのメディアに田中先生を一方的に非難する資格があるのでしょうか?ドナーの選択に問題があったというのならば、そもそも健康な人にメスを入れる必要のある生体肝移植そのものに疑問を挟むという論点を投げかける記者はいないのでしょうか。多くは海外からの患者ということなのですから、これはおそらく保険診療ではないでしょう。それならば尚のこと、先生の腕を頼って自費を費やして海外からやって来た患者家族と、執刀医の間に契約関係や信頼関係があれば、他人があれやこれやと非難する余地のあるものではないのかもしれないとも思います。同時期に問題になった群馬や女子医大の件とは明らかに異なる性質のものではないでしょうか。一人の人を讃えたり、叩いたり・・権力を持つメディアならば尚の事、軽々にそんな事をして欲しくないものだと思いました。そしてこのような事は、保険外混合診療を一旦認めるとそこかしこで発生しそうな、そんな気すら覚える今日この頃であります。

https://www.youtube.com/watch?v=VscVOkasONU

いっつも古くさい曲や、うるさいだけのハードロックばっか聴いてるわけじゃないんスよ。ぼくだって今流行の(?)曲には一応・・・あ、娘に教えてもらっただけです、ハイ。もんぱちさん・・・いいね。

おっと、約束がちがう・・・

4月30日 木曜日 暑かった・・・

そう、ブログは連休明けにおあいしましょう〜ってことだったような気もしますがね。

事態は時々刻々と変わっているのであります・・そう日経平均のようにね(笑)。

お休みの日は、やはり読書に始まり読書に終わりました。そして休む前に奥さんといろいろとおしゃべり・・・やっぱりお話しする事は大事だな〜って思い直しました。そう、ボクは何を隠そうおしゃべりが大の苦手なのであります。患者さんとならいくらでもしゃべるのですけれど・・「イトウって何考えてるのか全然分からないな〜」って、幾度言われた事でしょう(泣)自分でも十分に自覚症状ありですコレは。近代日本で口べたを美徳で通せるのは、健さんだけですよね。我々のような有象無象は・・心を尽くして伝える努力をせねばなりません・・自分の思いを(^ ^)

読書は・・・「人間失格・・太宰治」「こころ・・夏目漱石」「あまのじゃくに考える・・平川克美」けっこう読みましたね。読んでる尻から頭から抜けて行っているのですけど。漱石は、高校生に読んだときの感じとかなり違うかたちで心に響きます。それからやはり今という時代を共有している平川師匠の著作にはホント救われるものがあります。彼の盟友、内田樹先生の著作も大ファンなのですが、彼らの言説の一番大事なところは、決して人の考えを頭ごなしに否定しないというところなのかなと思います。とりあえず、自分と意見を異にする人たちの主張も一旦飲み込む。その上で、おもむろに、中腰で、あくまでも表現は柔らかく・・・反論して行くのであります。でも、論理で人を決して追い込んだりしないのが、ボクにはとってもまねのできないところでして、美しいなあと思うところでもあります。私にはまったくそんな境地にたどり着けるような心持ちはないのですけど、うん、すべての人を、主張を、環境を・・受け入れてやって行こうと思います(キリッ)。でも、とりあえず連休はゆっくり休みたいな(願望)。

仁義

仁義なき戦い・・です。文太さんの沖縄知事選での演説は何度聴いてもすごいなあと思います。山森さんよ、まだタマは一発残っとるでよ・・・仁義なき戦いって任侠映画の云々っていう解説を目にしたのですが、あれって任侠の世界を否定する映画なのじゃなかったのかと。任侠の世界で生ずる矛盾がテーマなのかなと思うのですけれど。広島が舞台で、何度も原爆ドームが出て来たり・・なんだか色々な含意が込められてるような気がして、もう一度じっくり観てみようかなと思っています。その当時から、文太さんの敵って、自分の組の組長だったのですよね、晩年は自分の国の組長さんになって行ったようですけれど・・・。しかも早稲田大学法学部卒っていうインテリだったりするの・・ご存知でしたか? 田中邦衛さんはその昔からちょっとずるこい役柄でした(笑)。北の国からは支持者と非支持者が拮抗してたりするんだな・・やっぱり。

 

The first cut is the deepest

4月27日 月曜日

暑かった・・。でも往診先のとあるお家では、入っていたのです・・暖房が 年に数日ありますよね、おうちのほうがお外よりも寒い日・・そう、そういう日だったんですよ今日は。Don’t blame on him….

https://www.youtube.com/watch?v=orMpqHQTpRE

The first cut is the deepest.  シェリルクロウの曲の中で一番好きな曲です。その意味は、初恋の傷は最も深いのよ・・ということらしい・・そんなことはボクには良くわからないのですけれど

ともあれ、しばらくブログはお休みしま〜す。

また連休明けにお会いしましょう。

PPKが幸せとは本当か

4月22日 水曜日 晴れ

「もう◯◯歳になったから十分ですわ。コロリーっと逝かせて下さい」とか「ピンピンころりといかせてもらうために先生に診てもらってるんやから」っていうことをよく外来や往診先で耳にする。ピンピンころりが一番幸せな死に方である、というのはしばしば人口に膾炙される、比較的市民権を得た考えのようである。信州にはピンコロ地蔵なんてものもあるらしい。だがちょっと待って欲しいなと・・・。それって本当にそうだろうか?元気にしていた人が突然ころりと死ぬ訳だから、その瞬間を誰も共有してはくれない・・いわゆる孤独死ということになる。その時は突然やってくる訳だから最愛の人にも挨拶などできないのだ。明日食べようと思って楽しみにとっておいたものも冷蔵庫に入ったままである。これは人に見られると困るから明日片付けようかな・・なんて思っていたとしても後の祭りである。子や孫達に相続してもらおうと思って密かに蓄えていたものも、もしかすると誰にも見つけてもらえないかもしれない。ボクなら・・・そこそこじわじわ死にたいな、と思う。自分はこの後かくかくしかじかの経過をたどって死んで行くのだろうな、と思いながら、それなりに身辺整理をしてから、世話になった人にも挨拶をしてから死にたいと思う。PPK(って略してみた)がもてはやされる理由はと言えば、おそらく誰にも迷惑をかけずに(それは金銭的にも身体的にもということであろうが)人生を閉じたいと考えるからであろう。もちろん現実は、それとは反対の方々がほとんどである(みんなが迷惑をかけながらという意味では決してないが)。子や孫に迷惑をかけたくないというのは相当に現代の世相を反映している、ある意味この世の病理とも言える現象なのかもしれないと思う事すらある。果たして他の国々の人たちも、私たちと同様、そう願っているのだろうか?そもそも、それは本人が思っているほど周りは迷惑だと考えていないことも多い訳で、亡くなられた後に、その頃を懐かしく笑顔で思い出されることのほうがむしろ多いのも事実であり・・・。ボクは結局、人って ”生きて来たようにしか死ねない”のかな・・と思っている(なので私はやがてはエンマさんのもとに行くのだ、と自分で勝手に決めているのだが《泣》)。他方で、地域連携医療というのは、まさにそういう括弧付きの迷惑というものを、皆で分散しながらシェアをして助け合って暮らしましょうという制度である(と思う)。人にはそれぞれ事情があり、介護したくてもできない家族もあれば、介護できるのにしない家族もあるだろう。そういうのをひっくるめて、家族だけの責任にせず、社会で支え合って行きましょうというのが良いのではないかと考えた我々の知恵なのではなかろうか。でもって、これ以上語りすぎると、小さな政府至上主義の方々にお叱りをうけそうなのでこれ以上深入りはせずにやめておこう・・・。

PPK

佐久市のピンコロ地蔵さんです。

ひきこもりの休日

4月19日 日曜日 雨

この休日は半分お仕事、半分ひきこもり生活であった。

起きる⇒車で走る⇒お仕事に出かける⇒食べる⇒お仕事に出かける⇒戻って本を読む⇒食べる⇒お仕事に出かける⇒iTuneで観る⇒食べる⇒寝る・・・・

やっておくべき雑用がはかどらなかったな・・・

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かなりのお気に入りになった映画だった・・・そうだった、パックマンのハイスコアの名前登録って3文字だったよな。「攻略法は使うな 自力で切り抜けろ!!」・・深い

関係ないが、高橋源一郎さんによると太宰治とか谷崎潤一郎とかって戦後の沈黙の時代においても、とっても多作の作家だったそうな。細雪が反戦小説なんだっていうのは目からウロコの解説だったな。例によってどうでもいいブログ記事・・・・泣

踊らされる私たち

4月13日 月曜日 しとしと雨

往診先のクロネコ君が今日は何やらハイテンションだった。患者さんのお話も聴き取りにくいほどニャーニャー、私にいったい何を伝えたかったのだろう・・・?

以下は、とある患者さんとの会話である。

「先生、私の頭痛なんですけど もしかしたらくも膜下出血じゃないかと思って・・検査してもらった方がいいのじゃないかと思うのですけれど」

「頭痛ってどの程度のものなのですか?」

「いやあ、昨日もテレビを見ている最中に何となくズキズキして来て、今朝は大丈夫なんですけどね」

「くも膜下出血って、救急室で大急ぎで検査をしないといけないような病気で、通常辛抱できないような激痛ののちに倒れてしまう病気なのですけどね・・」

「いやあ、お隣の◯◯さんに”それ、くも膜下やで!”って言われて、心配なのでやっぱり検査をお願いします!!」

「・・・・」

結局は検査をしても異常なしという結果なのですけど、患者さんにとっては不安や心配がまず先んじてあり、そうなるといてもたってもいられないという状況に陥っているという、何とも不幸な循環を引き起こしている状況であるな、と考えた次第であります。病気の啓蒙や注意喚起は、単なる不安の惹起と紙一重だなあと考える事が多々あります。逆に、早めに気付いて良かったなと思う事を経験する事もある一方で、「知らぬが仏」とはよく言ったもので、知らなけりゃ何も心配はしなくて済むものを・・と思う事も多いです。結局は情報に踊らされているだけだったな・・というオチ。

経済の世界でも、よく消費刺激策云々と耳にしますけど、あれってちょっとムカつくなと。我々にものを買わせようとする経済政策の事なのでしょうけれど、必要なものは買うし、不必要なものには手を出さないし、政府にそんな事をあれこれと指図されたくないと思うのであります!景気とは確かに循環なのかもしれません、買うつもりのなかった人たちにモノを買わせて、そして経済を回すというのもまた一理あるのでしょうけれど、小生はちょっと違う考え方をしています。消費をさせたいのであれば、まずは貯蓄をしなくてはいけないのではないでしょうか?誰しもバカではありません。充分な老後の備えなくして、そんなにバカみたいにモノを買う事はできないと思うのです。そもそも、デフレが経済を悪くする・・というのも、本当なのかしらん? その議論って、デフレになると、何かを買おうと思っても、将来もっと値段が下がるからそれを買う事を先延ばしにする人たちが出てくると。そうすると、もっと消費が冷え込んでさらに景気が悪くなってという悪循環に陥るでしょ?というのがその理論的根拠だと思うのですけど、そこまで考えて買い控えをするってこと・・・自分に置き換えたらあまり考えられないのですけど!? 健康に気をつけろ!とか、経済を良くするには、一般国民にモノを買わせろとか・・私たちをそんなに踊らせてどうするのかな。もっと、地に足をつけて、毎日毎日地道に一歩一歩生きて行こうよ・・それで何か不幸なことが起こったら、みんなで助け合えればいいじゃん・・・。

って書いてみたけど・・全然言葉足らずだし、こんなの世間には受け入れられないわな・・・

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