京都府与謝郡与謝野町 内科・外科・リハビリテーション科・在宅診療 いとうクリニック

ふくろうくんのブログ

何事にも百年の計

4月25日 快晴

初夏の陽気です。半袖で往診に行ってきました(いつも半袖着てるのですが)。STAP細胞ではありませんが、医療/科学の進歩は目覚ましく、肝炎や糖尿病など新しいお薬が出てきています。最近は某準国営放送の番組にも個別の薬剤の名称が放送されたりする世の中ですので、患者さんも新しい知識を学ぶ場が多くなっているようです。どんどん新しいお薬が使えるようになり、我々もその恩恵に浴する事ができれば本当に有り難い事なのですが・・。そこは少し立ち止まって考えなければなりません。新薬は期待の大きい反面、まだ未知数の面もたくさんある訳なのでして、状況に応じて医師である我々も慎重に投与して行かねばなりません。日々の健康管理でも、血液検査の数値ばかりにのめり込んでしまうと、大局的なものの見方を失う恐れがあります。例えば・・・糖尿病で問題にされるヘモグロビンA1cですが、この数値ばかりに気を取られてしまっても良い結果ばかり得られる訳ではないという臨床研究もあるほどです。究極的には数値がいくら悪くても、最終的に合併症なく長生きできればそれで良いわけですから、治療に当たっては、その最終地点を見失ってはなりませぬ、ということなのです。

最近はすべての事において、あまりにも短期的なスパンで評価されたり、語られたりするようになっているのではないかと思う事がよくあります。内田樹先生はそのことを、すべての事が株式会社化された現代と表現されています。すなわち、国家百年の計を考えるべきところが、目先の次の四半期にばかり目が行ってしまっているのではないかと。政治も経済も、それから医療も福祉も、やはり見据えるのは百年の計であることを再認識する昨今のわたくしです・・・。

stock market

オバマ大統領が安倍総理と行った先はやはり高級すし店だったそうな。私のかなりの確信に近い考えから言わせて頂くと(だれも気にされないでしょうけれど・・)、ここはやっぱり街中の回転寿しが正解だったのではないかと思うわけです。何となれば、小難しい顔をした親父が素手でこねくり回してちょっとずつカウンターに並べられる三ツ星の寿司よりも(行った事はありませんけれどね)、ものづくり日本の生み出した皿の流れるカウンターを乗って出てくるTPPマグロを使ったお寿司のほうが大統領はお気に召したのではないかなあと思ったわけです、ハイ。その方がきっとアベノミクス効果にも寄与した事でありませう。何せ裏返しに巻いたお寿司をカリフォルニアロールなどとお喜びになる彼らですから・・。その上5皿食べる毎におまけのくじ引きルーレットが回ろうものならば、14皿と言わず15皿目に突入されていたであろうことは間違いない!!

そういう日があってもいい・・

4月24日 木曜日 晴れ

ツイッターでフォローしている在宅医のかたのつぶやきより・・”今日は◯◯さんも▽▽さんも具合がよいという表情をされていた。普段は具合の悪い××さんも気分が良さそうであった。今日はそういう日なのではないか、エビデンスはないけれども。神様がそういう日を作って下さっているのではないか” というのを見ましたが・・・。小生はそれと反対の一日でした。幾人かの患者さんがそろって具合が悪くなってしまったのです。何とか切り抜けた(ように思います)のですが、bad dayな1日でした(泣)。北部医療センターさんや訪問看護さん(うちのスタッフも)達、ありがとうございました。

good day to die

 

ネイティブアメリカンであるナンシーウッド著作の詩に、「Today is a good day to die」というのがありました。3年前くらいに購入したのですが、引っ張りだしてみています。毎日を広大な自然の中に身を委ねていると大きな人生観に到達するものなのですね。

まだ流行?

4月15日 火曜日

ようやく長い冬が終わり、ポカポカ陽気の日が続いています。ツバメの巣作りもそろそろでしょうか。そういえば当院軒下の巣は昨年は黒い大きな鳥のプレデターが現れたおかげで惨劇の結末となってしまったのでしたが。ところで暖かくなってきた昨今ですが、いまだにインフルエンザの陽性の患者さんがお見えになっています。B型が主体のようですが、寒暖の差が大きいのも一因なのでしょうか?喉に症状の出るかぜも流行っているようです。ちなみに、かぜはその多くがウイルスによる感染症であり、インフルエンザなどを除けば特別な治療薬はありません。ほとんどのお薬はいわゆる対症療法といって、不快な症状を抑えておくものを処方する事となります。参考までに申し述べておきますと、クスリで症状を封じ込める事と病気が治癒する事は直接イコールではありません(症状がなくなると病気は治ったように見えるのですけれど、かならずしもウイルスが排除されたという訳ではありません)のでゆっくりと休養を取れる方は、お仕事を休んでしっかり栄養をとって療養するのが良いでしょう。

めだか

 

ヤフーニュースで、学校の先生が、自分の子供の入学式を理由に受け持ち学級の入学式を休んだ事が問題になっていました。学校の先生になると自分の子供の記念式典にも出席しづらくなるのですね。入学式で担任が休んでいたら、たとえ高校生であってもショックをうけるものなのかしらん?それから先嫌というほどおつきあいが始まるというのに・・・とも思いましたが。いずれにしても色々な考え方の方がおられる事とは思いますが。ま、医者などはハナから自分のこどもの入学式などへの出席は諦めている事が多いですが・・・。

今日は大体こんなものでしょう

4月9日 水曜日

今日は意識的にテレビは見ないでおこうかなと思ってます。ショウアップされた記者会見に真実は見えないだろうと思っているからです。自らの正当性を証明するのであればソリッドなエビデンス(いま風に言うと)を提示すればそれで事足りますし、涙が頬を流れる瞬間にフラッシュの嵐がパシャパシャッていうのも容易に想像されますので・・・。こんな事に公共の電波をジャックされる間に、もっともっと大事な事がスルーされて行くというのもある意味的を射ているのでありましょう。なのでっ!STAP細胞さんが真実なのでありますならば、必ずや数年後にはその正体を我々の目の前に現してくれるでありましょうし、そうでなければ女史の研究生命は絶たれるであろうということであります。それ以外の事には興味はございません・・・。

ブラジル料理を食べたいなあと考えていたら、こんな刺激的なmusic clipに出会いました。マイケルジャクソンのメッセージ性あふれる作品です。原始的な(おそらくブラジル土着の)パーカッションが素敵・・・

いろいろ変わる4月

4月4日 金曜日

また明日から冬将軍が来るとか。まだまだインフルエンザの感染が続いているわけです・・・。アレルギーなのか風邪なのか・・・という症状の患者さんも結構おられます。まさかスタッドレスタイヤが必要な状況にはならないとは思いますが、週末は冷え込むようです。さて、4月からたくさんの事が変わりました。もちろん卒業生や新入生には、例年どおりの新しい出発の春なのですが。消費増税に関連しては、買いだめに走ったり並んだりする消費者と、駆け込み値上げをする小売り業者などの報道もあり、私たちの生活には大きな影響のある出来事です。さらにさらに、医療費も変わります。そもそも医療費には消費税はかからないのですが、われわれ医療機関の仕入れる薬剤や医療材料には消費税がかけられているという事もあり、その増加分は初診料や再診料などの医療費に上乗せされることになったのです。年金、社会保障など、現行の税制度では明るい展望が見えないということで、税制の再編という事なのですが、狙いどおり少しでも良い方向に転じて欲しいものです。

緩和

 

社会面のニュースも ”再稼働” ”解釈変更” ”冤罪再審” ”原発輸出” ”捏造疑惑” など色々と気になるキーワードが並んでいます。少し前に、故大平正芳首相が常々口にしていた「政治とは、明日枯れる花にも水をやることだ」という言葉を耳にしました。子供の頃は、「あ〜う〜」などという彼を小馬鹿にしたような人物評しか記憶になかったのですが、何と素敵な言葉を発した人なのだろうと思いました。間違っても身近な人々といがみ合う国づくりや、子供や、孫や、近所のお兄ちゃんや、おっちゃんを戦地に送り込むような国にはしないで欲しいと願うばかりです。

つめのお話

3月23日 日曜日 快晴

週間天気予報にお日様の印が連なっています。老若男女問わずに時々診せていただくのが爪の病気です。爪周囲炎とか爪囲炎とか呼称されるこの病気ですが、ひどくなるととっても痛いのです。爪の周囲にはいろいろな細菌が常在しており、小さなキズやささくれから細菌感染が生じてしまうのです。特に指先の組織は小さなコンパートメント(小部屋)状の構造をしており、また先端で行き止まりの場所ですから、化膿すると膿みの逃げ場がなくなり果ては赤く腫れ上がった”ひょうそ”と呼ばれる状態になります。こうなると切開処置をしないと治らなくなります。多くの場合に陥入爪と呼ばれるいわゆる”まきづめ”が合併していますので、そういう時には爪の処置が必要になることもしばしばです。しっかりと麻酔を施してから爪の一部と、巻き込まれた不良肉芽(にくげ)と呼ばれる組織を切除することが必要です。当然のことながら患者さんによって、炎症の度合いは様々な段階で受診されますので、初期ならば抗生物質の内服のみで経過をみることもありますし、すこし圧迫排膿をして薬を出して終わりのこともあります。いずれにせよ指先の炎症は早めの受診が良いですね。昔は巻き爪の根治手術として爪母と呼ばれる根元の組織を完全につぶしてしまう手術もしていたのですが、今はもうほとんどすることはなくなりました。根治手術をしなくてもその後必ずしも再発するわけではないようです。

つめ

 

中くらいの炎症で来られたときに、どこまで処置をするか、お仕事や学校にもっとも差し支えない範囲で、効率的に治癒させることができるかを考え、ほどほどに処置を施すのがポイントですね。ほどほどが難しい・・・というのは何事にでも共通でして。数日後に、あんまり良くならないんですけど〜って再診させていただくこともあります。そのときは素直にすみませんって、方針を修正して治療して差し上げます。そうして良くならないときにでも、もう一度来ていただいた時には医師として非常に嬉しいものです。多くの場合は他の医療機関に行かれることが多いと思うのですが、信頼してもう一度治療を受けてみようと言って下さっているのですから・・・。必要最小限の薬剤と費用で治療するのが良い医師であると考えていますので、少し足りないかな?と思うこともありますし、処方し過ぎかな?と迷うことも、時にはあります。そんなときには患者さんに、いついつまでにこうなったら◯◯してくださいねということを伝えるようにしています。

穏やかな日曜日(今のところ)

3月16日 日曜日 気温上昇

穏やかな一日です。今日は当番日にて最小限のスタッフさんたちとのんびり過ごしています。患者さんも多くなく溜まっていた雑用業務がはかどるはかどる。世間はよいお天気だったようです。花粉にお気をつけあれ・・。

消防訓練

 

先日消防訓練に参加しました。どんな町にも消火栓が一定の割合で備えられていて、いろいろと安全装置があるのですね。恥ずかしながら知らなかった。

http://blog.tatsuru.com/2010/10/

私のこころの師匠である内田樹先生の過去ログからひっぱってみました。学術論文とレポートの違いについて。僕もいまなら成る程なあ・・と思うのですが、自分が実行できていたかどうかはよくわからないです.

 

やっぱりか‥…

3月11日 火曜日 寒さは一段落

昨日のぼやきの続きですけれど、やっぱりかという感じです。ニュースサイトに「文科大臣が 論文を撤回して再提出を 云々」の記事。科学論文への政治介入は小生は断固反対でありますっ。科学論文とは一流の同業者である科学者の複数人による査読というピアレビューシステムを経て認められたものが掲載されているのです。しかも今回はその最高峰であるネイチャーという雑誌です。もはや日本の政治家が口出しするなどという国内問題ではなく、立派な世界トップレベルでのイシューになっているのです。それぞれの雑誌にはletters to the editorと呼ばれるようなコーナーがあり、掲載論文への疑義、批判などはそこで堂々と議論がなされれば良いだけの話です。結果として、アンフェアなことが発覚すれば、その研究者はその後の研究活動の道はほぼ断たれると考えて良いでしょう。それほど過酷な罰を受けることになります。それでおしまい、ただそれはそう証明されるまで、安易に批判やましてやワイドショーや国会レベルでバッシングする等、ちょっと他の先進国ではあり得ないと思います。一旦バッシングモードに入れば何でもありの我が国の悪い所ではないかなと思います。もちろん、今出回っている情報をもとに推測すると、かの論文の旗色は極めて悪い状況ではありますが・・・。

gg

 

世間が叩きだしたら何でもあり・・・っていうこの風潮、もしかするとこの国の病理かもしれません。

肩を持つ訳ではありませんが

3月10日 月曜日 さぶいっ!

そうです、ご存知の方はご存知のように、ついこの間テレビや新聞を賑わした「リケジョ」騒動・・・ぴたりっと静かになってしまっています。なんとなれば、論文そのものに疑惑が生じているということなのです。あれだけ大騒ぎをしたメディアも様子見を決め込んでおられるのですね。そしてコトの真偽の趨勢が決するに至るや否や、またぞろ大騒ぎしだすのではないでしょうかね。後だしジャンケンのようで、小生はその態度にやや不満を感じております。何が起こっているのか、まったくあずかり知らぬ立場ではありますが、大胆な発言をお許し頂けるのならば・・・おそらくSTAP細胞はできたのだと思います、経過はどうあれ。共著者のY大学の先生は非常に素直なコメントをされているのが今日のニュースに出ておりました。あとは所属のRIKENがどういう判断を下されるのかという所に注目したいと思います。どういう結果になるしても、交響曲贋作疑惑のようなスキャンダルで終わってしまうようなネタにはならないだろうなあと推測しています。

UP

論文のスキャンダラスな取り下げネタなんて、じつはそこかしこに存在しているのです。pubmedで”retraction”っていうのを調べると・・。風雪に耐えうる研究をして行くことの何と困難なことよ・・。なので、雪崩を打ってバッシングモードになっているときには、なおさら冷静に検証していく姿勢が大切なのではないかなと思います。誰かがインチキをしたぞ〜って叩いてしまうのは簡単なのですが、科学実験って、色々なファクターが入り込んできている世界だと思うんですよね(肩を持つわけではないのですけれど・・・)頑張れ、未来のリケジョ達よ!!

タショクシュキョウドウ

3月6日 木曜日 雨

今日は午後の診察が終わってから地域医療関連のシンポジウムを聴講してきました。少しおくれて到着したのですが、駐車場が一杯でビックリでした。たくさんの方々が関わっているのだなあと再認識。日頃お世話になっている方や、尊敬する先輩先生方も登壇されて色々なお話を聞くことができました。どれも成る程なあと思うお話でしたが、「すべての場合において本当に在宅療養が最良の解なのか、最近色々と考えるようになりました」っていうお話をされていた先生のご意見には納得。はたまた、介護支援専門員の方のお口からふと出た一言に唸りました。在宅患者さんが家に帰ってホッとされる瞬間は・・・「おうちの匂いとか、置いてある家具の位置なんかに安心感を感じられるのでしょうね」っていうコメント。家具の位置ですか・・・やはり現場を踏まれている方は感じられることが違うなあと思いました。何かとても実感を伴う感想で非常に印象に残りました。私なんかですと、そう聞かれてもそこまでリアルな表現はできそうにありません。今日はそれが聞けただけで、診療後にちょっとしんどかったのではありますが、参加した甲斐があったというものです・・・。

shiba

最近しょっちゅう耳にするキーワード「多職種協働」とか「多職種連携」シンポジウムで聞くと簡単にできそうなのですけれど、これが実際には難しい・・・

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