京都府与謝郡与謝野町 内科・外科・リハビリテーション科・在宅診療 いとうクリニック

ふくろうくんのブログ

意思決定過程の共有ということ

9月27日 木曜日 晴れ それもさわやかな

日本医大で腫瘍内科をたちあげられた勝俣範之先生のご主張です。インフォームドコンセントを曲解している医師が多いのではないかという事。なるほどな、と思いました。ツイッターで彼のつぶやきから学びました(いつもツイッターですみません)。

がんが再発しました。抗がん剤治療をすると、○○%の確率で奏功率が期待できます。五年生存率は××%上がることが期待されます。しかし副作用は起こりえますし、かなりしんどい治療方法です。数字は以上ですが、患者さんそれぞれでは実際のところ行ってみないとどの程度効くかはわかりません。それではよく考えて、ご家族と相談の上で来週の外来診察で結果をお聞かせください。

これではいかんと・・・。もちろん自分で何もかも決められて、情報だけ与えられれば良い、という方もおられましょう(特に、ある一定のインテリジェンスと経済的基盤のある方に多いと思われます)。しかし、まるっきり良くわからないのでお医者さんのいいと思うようにやってほしいと思われる患者さんや、情報は理解できるしこれかなあという考えもあるけれど、最後には決めきれないという患者さんもおられる事でしょう(特に最後のタイプの方は多いと思われます)。結局のところ大切なのは、どいういうタイプの患者さんかということを見極めて、それにあったかたちで治療をすすめて行くという事が大切なのではないかということです。患者さんとの充分なコミュニケーションが要求されるのは言うまでもありませんし、大変な労力を伴います、が、それこそが臨床医の臨床医たるゆえんではないかと私も思いました。情報提供をせよ、あとは患者さんに決めてもらえ、という一方通行の治療は決して望ましい ”shared decision making"ではありません。特に、若い研修医の先生方には肝に銘じて欲しい事柄です。

板尾

明日からガソリンに環境税が上乗せされるとか聞きましたが。知らなかったです。皆さんご存知でしたか?うーん今日満タンにしておくんだった〜  朝日デジタルでの村上春樹さんのエッセイです。昨今の日中関係にまつわることについての論考・・http://t.co/Woc5Acsi  

丹後ちりめん製品アイデア発表会

9月25日 火曜日 晴れ

比較的、涼しく過ごしやすい日々が続いています。訳あって2年前に入院生活を送っていた私にとっては、その時の猛暑の体感がないのですが、その年ははるかに今年よりも暑いと言われていたように思います(家族一同同意のようです)。

足腰が痛くて受診される患者さんは結構多いです。聞くと、長年機織りで立ち仕事をしてきましたから・・と仰る方が多く、生きてきた証のような膝と腰のレントゲン写真を見せて頂く事となるわけですが。総理大臣のくれる勲章はそういう方々にまでは行き渡らないわけですが、いとうクリニックの発行する勲章をお贈りしたい気分になります。節くれだった手を見せてくださる畑仕事現役の80歳の方を身近に診察したり、外来の合間にいろいろと考えさせられる事も多いです。そしてわりと最近多いのが、『足の裏のタコ』です。おばあちゃんの爪切りをするのと同様に、心を込めて削らせて頂いています。経営的にはそんなに時間をかけてはいけない部分なのかも知れませんが(オフレコです)、大好きな処置のうちの一つです(もう一つ好きなのは巻き爪の治療です)。そしてNHKのニュースで、丹後ちりめんが取り上げられていました。これだな、って思いました。まだまだこの産業、捨てたものではないんですよ!!がんばりましょ、タンゴ。

ふくろう時計

またまた頂きました!ふくろう君の時計です。ふくろう君がカチカチしています。かわいいっ

ありがとう!大橋ご夫妻

今日は当番日です。

9月23日 日曜日 あめ

昨日の祝日は30数年ぶりの22日の秋分の日だったようです。朝から雨が降っており一段と涼しい秋らしい休日の朝です。今日は外科系当番日です。

Olive

絵を頂きました。金沢や東京・京都で個展を開かれたりしている前田有加里さんというかたの作品です。常緑樹で「平和」が花言葉のオリーブを描かれています。院内に落ち着ける場所をゆっくりと考える事にしましょう。ありがとうございます。

 

か〜の奴め!

9月19日 水曜日 晴れ時々曇り もしくは曇り時々晴れ

気づいたら、右腕に1センチくらいの赤いマルが一つ。何となく診察中にかゆくって、ぼりぼりしながら終わってみると皮がめくれてました。夏も終わりだというのに、まだおられたんですね。裏の田んぼの稲刈りが終わってこちらに逃げて来たとか?B型の血液で良かったのでしょうか?吸ってから、『まずっ』とか言われてるとちょっと悲しいものがありますが・・・そういえば、蚊の事、呼び捨てにするときには(あまり敬称では呼ばないと思いますが)大阪では『かーに咬まれたわ』っていう具合に語尾を延ばすんですね。大阪だけではないのかもしれませんが、とにかくいまだに “か〜” って言ってしまいます。

 

手術に使う機械・・・いろいろあります。外科、整形外科、脳外科、婦人科・・・各科それぞれに独特な機械がありまして。自分の専門以外の手術にお手伝いに入る時は、機械や術式のお作法にいろいろな違いがありまして、とても楽しかったのを覚えています。この機械『モスキート』って呼ばれる、外科でよく使用する鉗子です。モスキートって言うのは奴のことです、ハイ。

あえてこっそりやるんです

9月18日 月曜日 晴れ
政権交代はなんだったのか?などという声は大きいわけですが、それなりに意義ある成果も挙がっているようですよ。子育て関連の法案で、画期的なことが決まっているそうです。今までは少人数では認められなかった保育所が、九人程度の小さな施設でも開設許可が出せるようになるという法案です。特に都会部でそのほとんどをしめる待機児童の解消にその効果が期待されるとか。法案の作成に携わった、NPO法人代表の駒崎弘樹さんのラジオでのインタビューで知りました。曰く、今後保育業界は大きく変わって行くということです。興味深かったのは、インタビュアーの方の質問『マスコミはあまり大きく報道していないようですね』に答えて、『それはそうなのですが、あえてこちらもそれを狙っていたということもあります。あまり大きく騒がれると潰されてしまうというのもあって、マスコミの無関心をむしろ旨く利用したという側面もある』という要旨の返答をされていました。そういう評価を受けるマスコミってどうなのでしょうか?そして、その法案の成立に大きな役割を果たされたのが、マスコミや検察にひどい扱いを受けた、厚労省の村木厚子さんだったそうです。何か屈折した現在の状況を象徴するような事柄だなあと感じました。折しも、党首選挙の報道のさなか、強力な主張を、声高に張り上げて訴え続けるリーダーでなくとも、こういうように着実に物事をすすめて行くことのできる人々を生かす事ができる人物であるならば、それはそれで良いのではないかなあと思ったわけです。いろいろな人の進言に冷静に耳を傾ける事ができて、かつその実現に向けた手練手管を巧妙に使い得る、バランス感覚をもった人物がいてくれればなあと願う今日この頃です。

Glico

NO的なるもの

9月15日土曜日

NOはNew Orleansのことです。もうかれこれ10年ちかくなるのでしょうか。壊滅的な打撃をうけたハリケーンカトリーナの直撃の直前に帰国したのですが、楽しい街でした。一言で表現すると、”泥” ”汗” ”ドブネズミ” ”ザリガニ” ”沼地” ”ワニ”・・・次から次へと褒め言葉のオンパレードが連想されます。褒めているんですよ、あくまでも。京都?って言われてもこれだけの迫力あるたとえにはならないですね。思えば日本にこんな場所はなかなか存在しないです。日本のラテンと称される大阪でもせいぜい”道頓堀” ”たこ焼き” ”ヒョウ柄のおばちゃん”・・まちがっても泥とかどぶとか言おうものなら、袋叩きにされそうです。まあその実、かの地も”deep south”と呼ばれる複雑な歴史的過去を背負っている土地ではありますが。人間も社会システムも、きれいに出来上がった既製品よりも、少しキズのある個性的な方がお茶目なのかもしれません。そんなNOも、かつてフランスの皇帝ナポレオンが失脚して亡命した場所である事は広く知られていたりそうでなかったり・・・。なんでいきなりこんな話かというと、ネットでたまたまニューオリンズセインツというアメフトのチームの記事を見かけたからでして。すこし懐かしくなったわけです、ハイ。

 

 

 

 

中心部のフレンチクオーターはフランス植民地帝国の香りを漂わせる、雰囲気のあるシブい街です。ケイジャン料理と呼ばれる庶民のレシピとクレオール風といわれる都会的なレシピは双方美味しいものです。ちょっと辛めのケイジャン料理が個人的には軍配ですが・・・

わずか4%の隔たり

9月14日 金曜日 晴れのちにわか雨

人間に一番近いとされている動物のチンパンジーは、その脳の体積をみるとヒトの3分の1くらいであるそうです。それでありながら、チンパンジーは一瞬だけしか表示されない複数の桁数の数字を瞬間的に記憶できる能力がとても優れており、そういう意味ではヒトの能力を遥かに凌ぐそうです。アイちゃんやアユムくんの研究で知られている京都大学霊長類研究所の松沢教授によると、彼らの認知能力は、『そこにあるもの』(みえているもの?)に集中しているらしく、人間は可視範囲を超えて認知しようとする力に秀でており、それこそがヒトをヒトたらしめているのではないかと主張されています。寝たきりになったチンパンジーは将来を悲観することをしないため、きわめて普通に元気に振る舞うそうです。一方、人間は『そこに存在しないもの』までをも想像し、考えを巡らせるが故に、絶望や後悔をするのだと仰っています。厳しい自然界で生き抜くために、そこにあるものを見抜く力に秀でたチンパンジーと、複雑な社会を渡るために、見えない将来を想像する力を獲得した人間。また一方では、まだ見ぬ将来に絶望する人間は反対に、絶望をするからこそ希望をもつこともできるのだということもできるだろうということです。DNAレベルで見るとほんのわずかな4%の隔たりが、見た目や特性の大きな違いを作っているのですね。身体を構成するタンパク質(もとはアミノ酸)は3つの核酸の配列で決定されますので一つのDNAの違いが全く違うタンパクを誘導しうるわけで、4%は結局大きな違いとなって現れ得るわけですが・・。はたしてアイちゃんと我々には、実際どれほどの違いがあるのでしょうか?

Op.

音楽はな、演奏する時は男前で、楽器おいたら普通の兄ちゃんになるところが音楽やねん。(綾戸智恵さん弁)かっこつけるいうことがジャズではとっても大事やねん・・・。あ、特に意味はありません。

母子手帳あれこれ

9月13日 木曜日 晴れ

夜はかなり過ごしやすくなって来ました。夜診が終了する頃にはあたりは暗くなっており、確実に季節の移り変わりを実感します。

さて、日頃予防接種業務にも積極的に取り組んでいます。日本ではワクチンの暗黒時代(言い過ぎかな?)があり、公費負担のワクチン事業が積極的にすすんでいなかった側面があるのですが、昨今の啓蒙活動などにより徐々にその役割を取り戻しつつあるように思います。VPD (vaccine preventable diseases; ワクチンで予防できる疾患という意味)という概念があります。一度感染してしまうと、無視できない後遺症を発症してしまう細菌やウイルスによる感染をワクチンで予防しましょうという事です。もちろん一定確率でワクチンの副反応も起こりうるわけですが、それはワクチンによるメリットをして凌駕しうる範囲内であると考える医療者が多数になってきています。最近は同時接種や不活化ワクチンなどについての知識の豊富なお母さん達も増えており、われわれも最新の知識を学ばなければなりません。9月からはかつて生ワクチンしか存在しなかったポリオの不活化ワクチンも始まり、冬のインフルエンザの季節を控えて、ますます予防接種の役割は大事になって来ました。

ワクチンと言えば、接種の際には必ず母子手帳を持参して頂くようにしています。過去のワクチン歴や、疾病の罹患歴を確認する事も非常に大事なことです。ぱらぱらと見せて頂くわけですが、ところどころにお母さんの手書きのコメントが入っているページがあるわけですね。小さな日々の進歩や成長について、本当に暖かい、愛情にあふれたまなざしでお子さんを見守っておられる様子を感じることができます。小学校の高学年くらいの時期に、『自分の母子手帳を見てみよう。』みたいな授業があっても良いのかもしれませんね。こんなに自分の事を思っていてくれたんだなと、また別の視線で親のことを眺められるようになるかもしれないなあと思ったりします。

よさお3

近くのお家の窓に、また灯がともっています。Y病院にお世話になっていたとある患者さんが元気に退院されました。ほっとしました。関係者のみなさまどうもありがとうございました。

9月10日は…

9月10日 月曜日 雨

今日は『世界自殺予防デー』だそうです。全世界では1年間に100万人の人が自殺で死亡しているということです。仕事柄そういうことに関わる事も二度三度はあったわけではありますが、にしても多い数ですね。世界地図でみると日本はレッドゾーンに入り、決して自殺率の低い国ではないようです。WHOのサイトに”how can suicide be prevented"という記事があり、それによると

  • reducing access to the means of suicide (e.g. pesticides, medication, guns);
  • treating people with mental disorders (particularly those with depression, alcoholism, and schizophrenia);
  • following-up people who made suicide attempts;
  • responsible media reporting;
  • training primary health care workers.

という事柄が列挙されていました。自殺の手段(農薬やクスリや銃など)へのアクセスの制限、精神疾患の患者へのケアに取り組む、過去に自殺を起こした人へのフォローアップ、メディアの責任ある報道、医療者を育てる、とあります。たしかにいずれもなるほどなの項目です。中でも報道の項目に着目しました。たしかにアイドルの方の不幸な報道に一般の人の自殺報道が続く事があるのは事実でしょう。何よりも、緊急速報的に中学生や高校生が自殺をしたという即時的な情報に我々が接する価値や意義がどれほどあるのか、ということを考えると少々懐疑的になります。小さな囲み記事でよいような気がします。そしてそれなりの意識を持ってアクセスする人たちにむけては、もっと深く掘り下げた記事を用意しておけばよいのではないでしょうか?テレビ番組ではセンセーショナルな効果音付きで報道したあとの決まり文句がいつも同じです。『徹底的な原因究明と責任追及が必要です・・・』 未成年の(だけに限りませんが)自殺報道は本当に悲しい気持ちになります。そこまで追いつめられた本人の気持ちを考えるとまず悲しいですし、残された人たちの気持ちを考えるとまたさらに悲しくなります。自分にできる事は、医師という仕事柄、日常の患者さんの訴えに敏感に耳を傾けて、すこしでも精神的に参っている患者さんに対して、思いやりの気持ちをもって接してあげる事くらいです。そんなことを考えながら文章を書いていると、インターネットラジオの番組から、現職大臣の訃報が聴こえてきました。

遊歩道

”決められない○○” よく耳にしますが・・・決められることそのものに価値があるのではなくって、どんな事が決められようとしているのか、という事のほうがよほど大事だと思うのですが。悪しき事が決められるのなら、何も決められない方がよっぽどましです。即決できるリーダーシップ、っていう事にそれほどの価値があるのなら、かつてのどこかの国の社会体制を彷彿とさせます。これからは、ほどほどの時代、都会集中型ではない田舎重視の時代が来ると思っています。みなさんには一笑に付される、ここだけの話ですが・・・。

20年ぶり?の再会

9月8日 土曜日 曇り

およそ20年前にお世話になった他業種の方と、およそ20年前からずっとお世話になり続けている同業種の先輩と、ひょんなことから食事会ということになりました。お二人とも見た目も中身もかわらず、”あの頃”にタイムスリップしたような感じで楽しいひとときでした。同行のうんと若いお二人も加わって、話題は(わたしのせいで)あれこれと飛びまくりの様相を呈しておりましたが、20年を経ても気さくに話のできる異業種の方には、そうは出会うことはできないなあと帰りのタクシーで考えていました。ありがたいことです・・・。

話題

この本の話題提供をしてみました・・。いわゆるノウハウ本ではなく、含蓄のある内容で今の時代にこそマッチしている内容だなと思っています。しばらく橋本治モードです。みなさん良い週末を。

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